フィアット 500/500C ツインエア【ニューモデル試乗】
カテゴリー: フィアットの試乗レポート
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2011/03/31
旧車気分を最新モデルで楽しめる「現代版クラシックカー」
↑上級仕様“ラウンジ”は各部にクロームパーツ、15インチホイールを装着(左)従来の500と同一のインパネ回り(右)
500(チンクエチェント)ファンの中には、かの愛しき2代目ヌォーバ500のひそみにならい、2気筒エンジンを積むこのツインエアこそ、500の正真正銘の復刻版だと信じる人も、少なくないはず。ついでにオープントップの500Cならカンペキだとか…。そんなノスタルジーな思いとはウラハラに、この2気筒(さすがに空冷ではなく水冷)ターボエンジンは最先端で革命的だ。フィアット自慢のマルチエアテクノロジーを活用することで、総排気量たったの875㏄ながら85psを発揮。CO2排出量も107g/kmに抑えられ、実用燃費は20km/L前後を記録するというエコっぷりを同時に達成した。小さなこのエンジン、丈が短いため将来的にはハイブリッド化にも容易に対応できる。
マルチエアについては語るべきポイントが山ほどあるが、それはさておき、まずは2気筒エンジンの味見といこう。何と言っても、45歳の筆者が物心ついて初めて目にする新しい車用2気筒エンジンなのだ。昔の記憶を辿れば、ジムニーの2気筒がパラッパラッパラーッと騒がしいサウンドを響かせて走っていたのを思い出す。
一体どんなフィーリングのエンジンだろう。近頃、これほどエンジンの味見に期待が膨らんだことはない。きっとかなり震えまくり、うるさくわめくことだろう…。
↑シートはファブリック製を採用(左)2気筒ターボは875㏄で85ps/14.8㎏-mを発揮。燃費は21.8km/L(右)
スーパーカーに乗った後のよう?!走りっぷりもいい!
予感、見事に的中。相当に震える。特にアイドリングストップからのスタート時には、ちょっと前の軽自動車より大きく震えて立ち上がる。身震いする、という表現がぴったりくるほど、震える。そして、うるさい。ジムニーほど気障りではないが、最近の車に慣れたほとんどの人が堪え難いと思うほどに、ウルサい。NVH性能に神経質な人は近寄らないほうがいい。リーフに乗った後も辛い。けれども、僕は相当に気に入った。スーパーカーに乗った後のように笑顔がこぼれた。なぜか。この可愛らしいカタチには、人と車の関係の原点、故郷があると思ったからだ。コイツは現代のクラシックカーである。
とにかく走りっぷりがいいし、感覚的に加速時の一体感が素晴らしい。気持ちの高ぶりとエンジンの音と震えが見事にシンクロしているというか。走り出せば雑音や振動が調律される。これはもう、車作りのDNAが成せるワザ、というほかない。
昔の車はこうだった。旧車気分を最新モデルで。音は貴重だ楽しいぞ、と。
SPECIFICATIONS
主要諸元のグレード | ツインエア ラウンジ | |
全長×全幅×全高(mm) | 3545×1625×1515 | |
車両重量(kg) | 1040 | |
エンジン種類 | 直列2気筒マルチエア インタークーラー付きターボ |
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総排気量(cc) | 875 | |
最高出力[ps/rpm] | 85ps/5500rpm | |
最大トルク[kg-m/rpm] | 14.8kg-m/1900rpm | 車両本体価格 | 215万~245万円 |
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