"今の"DSの目指したもの

  • シトロエン DS5 走り|ニューモデル試乗
  • シトロエン DS5 リアスタイル|ニューモデル試乗
ポリカーボネード製一体成型のルーフスポイラーなどを備え、機能性も併せ持つフォルムはCd値0.29を達成
シトロエンのプレミアムラインであるDSシリーズの第3弾となるDS5は、かつてのDSがそうだったようにカテゴライズの難しい、きわめて独創的なモデルだ。4535㎜の全長に対して全幅が1870㎜にもなるフォルムは、ハッチバックとワゴンの中間的な独特の雰囲気。フロントフェンダー上部を走る"サーベルライン"など特徴的なディテールと相まって、強烈な個性を発揮している。

ガラスルーフが陽光を導く室内も、デザインやクオリティに徹底的なこだわりを見せる。ヘッドアップディスプレイ、自動防眩ミラー内蔵のサイド&バックカメラ用モニター、スマートキー等々、装備の充実ぶりも光る。

パワートレインは最高出力156psの1.6L直噴ターボエンジン+6速ATを用意。サスペンションは前ストラット+後トーションビームで、"ハイドロ"ではないコンベンショナルなものだ。

ニュートラルな視点で楽しみたい

  •  シトロエン DS5 インパネ|ニューモデル試乗
  • シトロエン DS5 シート|ニューモデル試乗
航空機の操縦席をイメージした、スイッチ類に囲まれた運転席。シート地は3種類を用意、最上級のクラブレザーは腕時計のベルトをモチーフとした
外観はなかなか個性的。若干、奇をてらいすぎという感もあるが、多くの人が"らしい"と感じるに違いない。室内も同様。細かなスイッチまで専用設計なのも、こだわりを感じて嬉しくなる。ただしデザイン志向の弊害か、空間的な余裕には乏しい。特に後席は、天井が迫り足元も余裕がない。ガラスルーフが開放的なのは嬉しいけれど。

トルクフルなエンジンと6速ATの組み合わせはストレスない走りを可能にし、乗り味も懐深さが感じられる。でも、やっぱりハイドロにしてほしかった…というのはファンなら誰も思うところだと思う。何でC5ベースじゃなかったんだろう?

内外装の見た目や装備は実にそれらしい。けれど乗って、走らせてみると、主張はそれほど強くはない。まあ、広く訴求するには良い按配かもしれないけれど。ブランドの古いイメージにとらわれないほうが楽しめる車だ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード Chic
全長×全幅×全高(mm) 4535×1870×1510
車両重量(kg) 1550
エンジン種類 直4DOHC+TURBO
総排気量(cc) 1598
最高出力[ps/rpm] 156/6000
最大トルク[Nm/rpm] 240/1400-3500
車両本体価格 400万円
Tester/島下泰久  Photo/向後一宏