誰もが心地よく思える、新型ハイドラクティブの乗り味

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コンセプト

ポイントは新世代の油圧サスペンション

エグザンティアに代わるシトロエンの新しいアッパーミドルセダンがC5。ポイントは何といっても伝統の油圧サスペンションが、新世代のハイドラクティブIIIに進化したことだ。

今まで以上に電子制御を多用することで、サスペンションの硬さだけでなく車高も自動的に替えることができるようになった。またハイドラクティブIII自体のシステムがシンプルになったことで信頼性が高まり、またレスポンスが良くなっている点も特徴だ。

ボディはテールゲートを備えた5ドアセダンで、実質の旧型にあたるエグザンティアと比べると、主に長さと高さが拡大している。エンジンは2L直列4気筒と3L V型6気筒が用意され、4速ATと組み合わされている。続いてブレーク(こちらは2Lのみ)も登場する予定だ。
室内&荷室空間

体を包み込むようなシートは文句なく快適

ホイールベースがエグザンティアと同じということもあって、室内は前後方向にはあまり広くなってはいない。でも横方向は拡大が実感できる。ウエストラインが上がって、囲まれ感が強まったことも特徴といえる。質感はかなりレベルアップした。シートは前後ともにサイズが大きく、クッションは適度にソフトで、眠気を誘うほど快適だ。

ボディが長くなったことで恩恵をいちばん受けているのは、ラゲージスペースといえる。しかもフロアは相変わらず低く、ハイドラクティブIIIのおかげでタイヤハウスの出っ張りなどはほとんどない。とにかく広くて使いやすそうだ。もちろんリアシートは6:4分割で折り畳めるが、C5ではヘッドレストを外さなくても畳めるようになった
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ドライブフィール

独特の癖は弱めつつ快適性に磨きをかけた

気になる乗り心地はエグザンティアよりも少しだけ硬め、という程度。足を固め55タイヤを履いたV6では、その印象がさらに強い。でもそう思わせるのは、発進でお尻を沈めたりする姿勢変化が控えめになったためでもある。110km/h以上でダウン、70km/h以下の悪路でアップする車高の自動調節は、乗っている人にはわからないほど自然な動きだった。

今まではサスペンションと同じ油圧を使っていたブレーキとステアリングが、他車と同じように独立したのも特徴。おかげでブレーキペダルを踏んだり、ステアリングを切ったときのタッチは一般的になった。良くも悪くもいろいろな面で普通になっているのだ。ただし、コーナーでロールを押さえ込む感触だけは残っている。
こんな人にオススメ
シトロエンを代々乗り継いできた人は、乗り味が普通になったことを残念に思うかもしれない。でも逆に“ハイドロの乗り味はどうも肌に合わないんだよなあと”思っていた人も多いはず。そういう人にこそ勧めたい。V6でもいいのだが、その乗り味は2.0でも十分堪能できるだろう。
SPECIFICATIONS
グレード V6 エクスクルーシブ
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4620 x 1770 x 1480
ホイールベース(mm) 2750
車両重量(kg) 1540
乗車定員 5人
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2946
最高出力 152kW(210ps)/6000rpm
最大トルク 285N・m(30.0ps)/3750rpm
車両本体価格 422万円
写真:桜井健雄 文:森口将之