スポーツ&ラグジュアリィの新境地

  • BMW 6シリーズ グランクーペ 走り|ニューモデル試乗
  • BMW 6シリーズ グランクーペ リアスタイル|ニューモデル試乗
駆動系を統合制御し好みに合わせ、ECO PROモード含む、5パターンの走りが選べるドライビング・パフォーマンス・コントロールを標準装備
BMWよお前もか、というよりも、やっと出てきたか、だろう。背の低い、いわゆる4ドアクーペ流行りはメルセデスがCLSでブームに火をつけたが、本当は伝統的にクーペ造りの上手いビーエムが先にやっていてもおかしくなかった。

6シリーズ2ドアクーペのホイールベースを115㎜延伸して4ドアとした。ヘッドライトやリアランプは共通も、前後バンパーデザインが異なる。メカニズム的にはクーペ&カブリオレで既にお馴染みのものばかり。今回は試乗車の用意がなかったけれども、650i用4.4L V8ツインターボエンジンがバルブトロニック付きの最新仕様となり、さらなる高性能と高効率を目指した点が新しい。

成人男性が無理なく過ごせる空間が後席にはあった。面白いことに、左右独立タイプの後席ながらセンターにシートベルトとクッションがある。合法的に5人乗りも可、というわけだ。

2ドアより乗りやすいが、硬派は硬派

  •  BMW 6シリーズ グランクーペ インパネ|ニューモデル試乗
  • BMW 6シリーズ グランクーペ シート|ニューモデル試乗
4+1シートとしてデザインされた室内はホイールベース延長で後席空間が広くなった。内外装をカスタマイズできるBMW Individualを用意する
先に言っておくと、後席のまん中はウルトラエマージェンシーである。左右のシートは十分快適で200㎞くらいのドライブなら嫌にならないはず。すっぽりと包まれた感じがいい。

640iで十分にパワフルだ。アクセルペダルを踏み込めば、ダン! とトルクが全身に漲る。暴力的ではないから、気持ちよく踏んでいける。このあたり、全面ターボ化をめざすBMWが、自然吸気の素直な気持ち良さに未練があるようにも思えた。

インテグレイテッドアクティブステアリングの熟成も進んだ。ホイールベースが長くなったこともあって、2ドアモデルよりも格段にカドの取れた、まろやかなドライブフィールである。とはいえ、同門比較でそう、というだけで、絶対的に見れば、全体的に乗り味は硬質な方だろう。それが、ビーエムの新たなスポーツフィーリングであり、ラグジュアリィプランということだと思う。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 640i
全長×全幅×全高(mm) 5010×1895×1390
車両重量(kg) 1860
エンジン種類 直6DOHC+TURBO
総排気量(cc) 2979
最高出力[ps/rpm] 320/5800
最大トルク[Nm/rpm] 450/1300-4500
車両本体価格 986万円
Tester/西川淳  Photo/向後一宏