▲今回試乗したのは、2019年4月に発表された新型のトヨタ RAV4。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道&ラフロード試乗の模様をレポートする。厩舎が並び北米カントリー風の景色も楽しめる(?)富士の麓を走行!▲今回試乗したのは、2019年4月に発表された新型のトヨタ RAV4。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道&ラフロード試乗の模様をレポートする。厩舎が並び北米カントリー風の景色も楽しめる(?)富士の麓を走行!

イメージを一新して帰ってきた5代目

令和元年。国内における最初の新車試乗となるトヨタ車は、5代目となったRAV4である。

先代は日本では販売されなかったが、その4代目RAV4は北米の西海岸に行くと日に何台も必ず目にする人気車である。

今回の新型RAV4は、最新のカムリなどに採用されている「GA-Kプラットフォーム」を携えて、5代目として日本に登場した。

先代はスポーティで美男子なフロントマスクと、どことなく無骨さがあるリアビューとの対比が印象的だった。

しかし5代目はフロントは、北米のマーケットで人気のあるピックアップのトヨタ タコマのような、力強くマッシブな顔つきである。

またリアはレクサスを感じさせる、スタイリッシュかつ上品な装いである。

先代とは真逆な雰囲気なのが印象的だ。

今回の試乗は高原の一般道と、クローズドのグラベル(砂利道)、それとちょっとしたラフロードもドライブした。

車種は「HYBRID X」「X」「Adventure」の3車種だ。
 

▲力強さを感じさせるフロントデザイン ▲力強さを感じさせるフロントデザイン

リアの出力制御が優れた「HYBRID X」

まず「HYBRID X」を試乗した感想をお伝えしたい。

一般道のアスファルトでは四輪駆動の制御を評価することは少々難しいが、ハンドリングは素直でハイブリッド特有の重さによる外側に膨らむような挙動は一切ない。

フロントの駆動力が弱くなるとリアのモーターがアシストする。

E-Fourのイメージだと気持ちばかりの動力と思いがちだが、「HYBRID X」では最大で80%までリアにパワーが分配される。

それらの制御は唐突でなくとてもナチュラルで、駆動力の不安は皆無だ。

しかも「HYBRID X」は、コーナリングも安定していることに加えて乗り心地がすこぶる良い。

サスペンションの取り付け剛性が高く、本格的な四輪駆動に仕立てようと考えただけあってカムリとは全く違う剛性感を感じさせる。
 

▲上り坂でも車体の重さを感じさせない力強さ ▲上り坂でも車体の重さを感じさせない力強さ

ドライバーをサポートする安定性

ラフロードでも全く問題ない走破性を示した。

ボディが捻れるシーソー地形でもみしりともしない。

乗用車ベースのプラットフォームでも、これほど大きなストロークを確保できるのかと感心した。

続いて速度を上げてグラベルを滑らせて走ってみる。

フロントが滑るとリアからの動力で押し出そうとする前に、コーナをトレースする力が働いて出力コントロールをする。

万が一のときに安全にコーナーを曲がる制御だ。

上下に大きく揺れると重さが関連して路面との追従性は落ちるものの、終始安定性を考えたセッティングであると感じた。

E-Fourのコントロールはこのあたりが難しいが上手な制御である。
 

▲ドリフト走行時でもモーターの力によって走行安定性が保たれる ▲ドリフト走行時でもモーターの力によって走行安定性が保たれる

固めな乗り心地の「X」

次に最もピュアな「X」の試乗だ。

こちらはガソリン仕様のNA 4気筒2Lユニットを搭載している。

「ダイナミックトルクコントロール4WD」と呼ばれる、前後のプロペラシャフトの間にカップリングを入れて前後の配分をイーブンした、最もわかりやすくポピュラーな動力方式である。

アスファルトでの走りはとても軽快である。

コーナリングはスムーズに進入するが、少し外にいく感じもする。

しかし、路面とのコンタクトは良好だ。

エンジンとCVTのトランスミッションの相性もとても良好で、スムーズでプリミティブな雰囲気もある。

ただ乗り心地の面では、HYBRIDモデルよりも硬めな印象だ。

エンジンはHYBRID仕様の2.5Lユニットよりも静粛性に富んでいて頼もしさを感じる。

エンジンの音と内燃機関のフィールを感じたい人には、楽しさを感じさせるユニットだ。

ラフロードも、アクセルコントロールのコツをつかめば何ら問題ない。

小細工なしの制御であるが、受け身であるために反応の遅れはある。

グラベルで走ると前後の反応に遅れが出るために、アクセルコントロールでのターンインが思うようにいかない印象だ。

もちろん、こんな極限での走りは、普通の環境では考えられないが。

速度を落として滑らかにコーナーに入ってみる。

すべりを最小限に抑えて走ると、このように車が浮いたような路面でもきれいに走ることができた。
 

▲片輪が浮いた状態でもアクセルコントロールのみで脱出が可能 ▲片輪が浮いた状態でもアクセルコントロールのみで脱出が可能

駆動力とサスペンションの設定が絶妙な「Adventure」

最後に試乗したのが「Adventure」だ。

「ダイナミックトルクベクタリングAWD」という駆動方式を採用している。

これは、出力の前後配分こそイーブンだが、リアの左右バランスを0:100まで細かくコントロールして、滑ってもスムーズに曲がる装置である。

こちらはグラベルの試乗から説明しよう。

速度を上げた状態でステアリングを切ると、外にいこうとする。

これを外側のブレーキを制御しつつリアの駆動力を左右で変えて、滑っている車の挙動を最小限に抑えてくれるのだ。

ゼロカウンターのドリフトのように車を信じていれば自然と曲がる。

ブレーキの細かなコントロールも、ドライバーは気がつかないほど緻密だ。

またデコボコした道にも関わらず、サスペンションストロークの伸び縮みがしなやかでたっぷりある。

このストロークこそスタビリティに大切な素養だ。

コーナーが続く一般道のような滑らない場所でも適切な配分を行う。

これは、少し中速コーナーが連続するところであると良くわかる。

同乗者の左右の揺れも少なく、どんなドライバーでも運転が上手になったかのようなスムーズなコーナリングが可能となる。

今回試乗した中で最も洗練された動力性能はこの「Adventure」であると感じた。

燃費はハイブリッドモデルよりも劣るが、乗っていてこのエンジンと駆動力システムのマッチングがすこぶる良い。

ステアリングを握っていて楽しくなる車だ。

それに加えてサスペンションもダイナミックトルクベクタリングの恩恵で、無理な車体の沈み込みなどなくスムーズな上下運動も可能となった。

車の良質な部分を手に入れたいならば、「Adventure」がオススメだ。
 

▲四輪の細かいブレーキ制御のおかげで車の挙動は最小限に抑えられている ▲四輪の細かいブレーキ制御のおかげで車の挙動は最小限に抑えられている
▲重心が高く左右に振られがちなSUVだがコーナリングでも乗り心地は快適 ▲重心が高く左右に振られがちなSUVだがコーナリングでも乗り心地は快適
文/松本英雄、写真/尾形和美
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●RAV4 2.5 ハイブリッド X E-Four 4WD

型式 6AA-AXAH54 最小回転半径 5.5m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.6m×1.86m×1.69m
ドア数 5 ホイールベース 2.69m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.61m/1.63m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.89m×1.52m×1.23m
4WS - 車両重量 1670kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1945kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.19m
マニュアルモード    
標準色

シルバーメタリック、ダークブルーマイカ、アティチュードブラックマイカ、グレーメタリック

オプション色

ホワイトパールクリスタルシャイン、センシュアルレッドマイカ

掲載コメント

-

型式 6AA-AXAH54
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 シルバーメタリック、ダークブルーマイカ、アティチュードブラックマイカ、グレーメタリック
オプション色 ホワイトパールクリスタルシャイン、センシュアルレッドマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.5m
全長×全幅×
全高
4.6m×1.86m×1.69m
ホイール
ベース
2.69m
前トレッド/
後トレッド
1.61m/1.63m
室内(全長×全幅×全高) 1.89m×1.52m×1.23m
車両重量 1670kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1945kg
最低地上高 0.19m
掲載用コメント -
エンジン型式 A25A-FXS 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 55リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 25km/L
総排気量 2487cc 燃費(WLTCモード) 20.6km/L
└市街地:18.1km/L
└郊外:22.4km/L
└高速:20.7km/L
燃費基準達成 H32年度燃費基準
+50%達成車
最高出力 178ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
221(22.5)/5200
エンジン型式 A25A-FXS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 2487cc
最高出力 178ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
221(22.5)/5200
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 55リットル
燃費(JC08モード) 25km/L
燃費(WLTCモード) 20.6km/L
└市街地:18.1km/L
└郊外: 22.4km/L
└高速: 20.7km/L
燃費基準達成 H32年度燃費基準 +50%達成車
 

●RAV4 2.0 X 4WD

型式 6BA-MXAA54 最小回転半径 5.5m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.6m×1.86m×1.69m
ドア数 5 ホイールベース 2.69m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.61m/1.63m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.89m×1.52m×1.23m
4WS - 車両重量 1570kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1845kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.2m
マニュアルモード    
標準色

シルバーメタリック、ダークブルーマイカ、アティチュードブラックマイカ、グレーメタリック

オプション色

ホワイトパールクリスタルシャイン、センシュアルレッドマイカ

掲載コメント

-

型式 6BA-MXAA54
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 シルバーメタリック、ダークブルーマイカ、アティチュードブラックマイカ、グレーメタリック
オプション色 ホワイトパールクリスタルシャイン、センシュアルレッドマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.5m
全長×全幅×
全高
4.6m×1.86m×1.69m
ホイール
ベース
2.69m
前トレッド/
後トレッド
1.61m/1.63m
室内(全長×全幅×全高) 1.89m×1.52m×1.23m
車両重量 1570kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1845kg
最低地上高 0.2m
掲載用コメント -
エンジン型式 M20A-FKS 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 55リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1986cc 燃費(WLTCモード) 15.2km/L
└市街地:11.5km/L
└郊外:15.5km/L
└高速:17.4km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準
+10%達成車
最高出力 171ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
207(21.1)/4800
エンジン型式 M20A-FKS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 1986cc
最高出力 171ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
207(21.1)/4800
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 55リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 15.2km/L
└市街地:11.5km/L
└郊外: 15.5km/L
└高速: 17.4km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 +10%達成車
 

●RAV4 2.0 アドベンチャー 4WD

型式 6BA-MXAA54 最小回転半径 5.7m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.61m×1.87m×1.69m
ドア数 5 ホイールベース 2.69m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.6m/1.62m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.89m×1.52m×1.23m
4WS - 車両重量 1630kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1905kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.2m
マニュアルモード    
標準色

アーバンカーキ、シアンメタリック、アティチュードブラックマイカ、グレーメタリック

オプション色

センシュアルレッドマイカ、アッシュグレーM/アーバンカーキ、アッシュグレーM/シアンメタリック、アッシュグレーM/アティチュードブラックM、アッシュグレーM/グレーメタリック

掲載コメント

-

型式 6BA-MXAA54
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アーバンカーキ、シアンメタリック、アティチュードブラックマイカ、グレーメタリック
オプション色 センシュアルレッドマイカ、アッシュグレーM/アーバンカーキ、アッシュグレーM/シアンメタリック、アッシュグレーM/アティチュードブラックM、アッシュグレーM/グレーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.7m
全長×全幅×
全高
4.61m×1.87m×1.69m
ホイール
ベース
2.69m
前トレッド/
後トレッド
1.6m/1.62m
室内(全長×全幅×全高) 1.89m×1.52m×1.23m
車両重量 1630kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1905kg
最低地上高 0.2m
掲載用コメント -
エンジン型式 M20A-FKS 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 55リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1986cc 燃費(WLTCモード) 15.2km/L
└市街地:11.5km/L
└郊外:15.3km/L
└高速:17.5km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準
+10%達成車
最高出力 171ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
207(21.1)/4800
エンジン型式 M20A-FKS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 1986cc
最高出力 171ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
207(21.1)/4800
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 55リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 15.2km/L
└市街地:11.5km/L
└郊外: 15.3km/L
└高速: 17.5km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 +10%達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。