【新型】マツダ MAZDA3ファストバック|「外」も「内」も一層深化した新世代のハッチバック
2019/08/21
日本でも長く愛されてきた、スポーティなコンパクトモデルのマツダ アクセラ。2019年5月のフルモデルチェンジで、「MAZDA3」という世界共通のネーミングが用いられるようになりました。
従来どおり、セダンとファストバック(ハッチバック)の2タイプが用意されるMAZDA3。 MAZDA3ファストバックは、アクセラスポーツの後継モデルという位置づけです。
先代アクセラはマツダの基本技術を見直した「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブ・テクノロジー)」を全面採用し、デザインは肉食動物が獲物に向かい飛びかかる一瞬の美しさを表現した「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」という哲学に沿って作られました。
今回は、そんな世界戦略車となった新型MAZDA3ファストバックの全容を紹介します。
【グレード】3種類のエンジン、FF/4WD、AT/MTを用意
先代のアクセラスポーツ同様、新型MAZDA3ファストバックもガソリンエンジンとディーゼルターボの2種類がラインナップされています。
ガソリンは1.5Lと2Lの2タイプあり、1.5LガソリンとディーゼルにはFF(前側エンジン前輪駆動)の他に4WD(四輪駆動)をラインナップ。
さらに、1.5Lには6速マニュアルも用意されるため、グレード数は豊富です。
2Lガソリンエンジンとディーゼルターボに設定される「バーガンディセレクション」は、シックで色気のある赤レザーをインテリアに使ったスペシャルグレードです。
また、2019年12月中旬には世界初の技術でガソリンエンジンとディーゼルエンジンのメリットを兼ね備えた、新世代スカイアクティブエンジン「SKYACTIV-X」を搭載したグレードが追加されることが発表されています。
【エクステリア】引き算の美学がもたらす、ため息のでる美しさ
品の良さと艶やかさ。そしてクールでスタイリッシュな雰囲気。
マツダの魂動デザインには、一瞬で人の視線を釘付けにする魅力があります。
新型MAZDA3ファストバックは、魂動デザインを深化させ次のステージへと引き上げる第1弾モデルです。
そこにある考え方は「引き算の美学」だと、マツダはいいます。
これはとくに、ボディサイドを見ると納得です。
多くの車は、ボディサイドにキャラクターラインと呼ばれる凹凸面があります。これによりデザインの印象を決めたりするのですが、MAZDA3ファストバックには特徴的なキャラクターラインは見当たりません。
しかし光の当たり方によってボディに印象的な影が現れ、様々な表情が生まれます。
これはメルセデス・ベンツがCLSから採用している「Sensual Purity(官能的な純粋さ)」という哲学に近いものがあります。
無駄を徹底的にそぎ落とすことで生まれる美しさは、枯山水などにも通じる雰囲気を感じます。
【インテリア】大人の色気を感じるハッチバック専用色
エクステリア同様、徹底的に無駄をそぎ落とした新型MAZDA3のインテリア。マツダがこだわったのは左右対称のレイアウトだといいます。
コックピットの正面にはステアリングとシンプルな3眼メーターがあり、その横にエアコン吹き出し口を左右に配置。
そこから水平に伸びるインパネのラインが、ワイドな広がりを与えています。
マツダは先代アクセラのインテリアで「バニシングポイント」という考え方を取り入れています。
これはドライバーの視点に、インテリアから延長線上に伸ばした架空のラインが集まるように設計をするという手法です。
そして後継機となる新型MAZDA3も、この手法を踏襲しました。
視覚的な感覚が影響するのか、運転席に座ると適度なホールド感と開放感が両立し、落ち着きを感じることができます。
インテリアカラーはブラックレザーとブラックファブリックの他、ファストバック専用デザインとしてバーガンディが用意されます。
スポーティなだけでなく、落ち着きと大人の色気が同居した色使いは、「プロアクティブ」より30万円近く価格が高くなりますが、それでも欲しいと思わせる魅力があります。
【運転支援システム】スマート・ブレーキ・サポートの機能が進化
危険な状態に陥ってから対処するのではなく、危険自体を回避する。マツダは「MAZDA PROACTIVE SAFETY(マツダ・プロアクティブ・セーフティ)」という考え方を取り入れた車づくりをしています。
先進安全技術は「i-ACTIVSENSE」という名称で様々な機能をパッケージ化。新型MAZDA3はその機能を進化させています。
衝突被害軽減ブレーキ「スマート・ブレーキ・サポート」は機能が進化し、自転車や夜間の歩行者にも対応できるようになりました。
スマート・ブレーキ・サポートは車の後退時にも作動し、MAZDA3では検知範囲を広げると同時に作動速度上限が引き上げられています。
さらに新機能として運転中のドライバーの状態を赤外線カメラと赤外線LEDで監視して、居眠りやわき見運転を検知する「ドライバー・モニタリング」を全グレードでオプション設定。
システムが危険と判断すると警報で注意を促したり、スマート・ブレーキ・サポートとの協調制御でブレーキ警告のタイミングを早めたりします。
他にも高速道路での渋滞時などにアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストする「クルージング&トラフィック・サポート」、前進時にドライバーが直接視認できない側方の死角から接近してくる車両を検知して警告する「前側方接近車両検知」などを新搭載しています。
【価格】プレミアム性が高くなった分、高価格のグレードもあり
最終型アクセラスポーツには設定されていなかった、2Lエンジンが追加されています。
さらに、ディーゼルエンジンが先代は1.5Lと2.2Lだったのに対し、MAZDA3は1.8Lになっているなど、先代と現行型の価格を単純に比較するのは難しくなっています。
参考までに同一グレード名である15Sの価格を比べて見ると、最終型アクセラスポーツが195.5万円なのに対し、新型は218.1万円と約23万円近く高くなっています。
一方で、ディーゼルは先代22XDプロアクティブ(FF)が279.2万円なのに対し、新型XDプロアクティブ(FF)は274.0万円。新型の方が5万円ほど安い価格設定になっています。
【エンジン・燃費】運転動作を自然に行える新世代車両構造技術を採用
新型MAZDA3の15S(FF/6AT)のWLTCモード燃費は16.6km/L、20Sプロアクティブ(FF/6AT)は15.6km/L、XDプロアクティブ(FF/6AT)は19.8km/L。
これら3種類のエンジンはスカイアクティブ・テクノロジーにより、燃焼効率とアクセル操作に対する応答性の良さがもたらす走る楽しさを両立させたものです。
中でもディーゼルターボは、270N・m(27.5kg-m)という大きなトルクがもたらす余裕ある走りが魅力。もちろん実用燃費も高められています。
マツダらしさを味わいたい人、ロングドライブを楽しむ機会が多い人は、迷わずディーゼルを!
運転感覚に関係する部分で特に注目したいのが、「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャ)」と名付けられた新世代車両構造技術です。
理想の運転姿勢を「歩行状態」と定義し、シート、ボディ、シャシー、タイヤなどを連携させて、少ない筋負担で頭部の動きを安定させることを目指したこの技術。
開発者によると、エンジニアは人の様々な動作をひとつひとつの骨の動きレベルで研究し、例えばアクセルを少し強めに踏んだときやコーナリング中に骨格をどう支えればいいか、どのように足回りを動かせばいいかを車に落とし込んだそうです。
シートに座ると、自然に背筋がピンと伸びることに気づくでしょう。
これは座ったときに、骨盤が立つようにシートが設計されているからにほかなりません。
人は歩いたり自転車をこいだりするときは骨盤が立った状態になっていて、これにより頭がぶれずに自然に動けるのだとか。
同じ理屈を着座姿勢にもち込んだことで、車の様々な動きに対して体が自然に合わせられるようになっているのです。
最初はこの感覚に、やや違和感をもつ人もいるでしょう。
実際に運転してみると、新型MAZDA3はアクセルワークやステアリング操作が本当に楽にできることに驚きます。
むしろあまりにも自然に操作できるため、街中や高速道路では「車がいい!」ということに気づかないかもしれません。
でもこれこそがマツダの狙い。自然に操作できることで運転による疲労が少なくなり、また各種操作を正しく行うことで事故を未然に防ぐことにもつながるのです。
スカイアクティブ・テクノロジーを盛り込んだ最終型アクセラスポーツも、自然な運転姿勢をとれて疲れにくいと定評がありましたが、新型MAZDA3はそれがより進化した印象です。
【中古車】先代ガソリン車の割安感が魅力
2019年8月15日現在、新型MAZDA3ファストバックの中古車はまだ流通していません。
希に注文後にキャンセルとなったものが、登録済み未使用車として市場に出てくる可能性はありますが、中古車が探しやすくなるのは新車ディーラーの展示車や試乗車が出始める2019年末頃になるでしょう。
デモカーだった物件が中古車市場に出てくると、走行距離が少ない割に車両本体価格が新車よりお得に設定されていて、装備も充実しているケースが多くなります。
興味のある人はこまめにカーセンサーnetをチェックしてみましょう。
2013年11月に発売となった最終型アクセラスポーツ。2019年8月20日時点での中古車の流通量は約680台。
そのうち約45%にあたる300台強が1.5Lガソリンエンジン搭載モデルです。
1.5Lモデルは車両本体価格が100万円以下の中古車も流通し始めています。
毎年の自動車税など維持費も抑えられるので、コストパフォーマンスを考える人にオススメ。
一方でマツダらしいトルクフルでスポーティな走りを楽しみたい人は、2.2Lディーゼルターボ搭載車を探してみましょう。
全国で100台以上の中古車が流通しているので、物件を見つけるのに苦労はしないはず。
車両本体価格100万円以下の中古車もありますが、まだ数は少なめ。2014年式で車両本体価格150万円前後のものが中心になります。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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