レクサス GS(初代) ▲レクサスの第1弾ラインナップであり、中核車種だったGS。デビュー翌年にはハイブリッド仕様が追加され、こちらも人気モデルとなった
 

レクサス GS・GSハイブリッドの中古車は今

国内ではもともと、トヨタ アリストの名前で販売されていたレクサス GS。

厳密にはブランドの違いにより両者のキャラクターも異なっていたが、2005年、日本へのレクサス導入とともに、その第1弾ラインナップに組み込まれ、国内での名称も海外と共通のGSに改められた。高級路線の同ブランドにおいても、LSに次ぐ上級機種だ。

アリスト時代から数えて通算4代、27年にわたって生産されたが、2020年をもって生産終了。現在では中古車でしか手に入らない。

GSとしての初代は、「350」の前期モデルに中古車の多くが集中。走行距離が多い物件が中心になるが、100万円以下の手ごろな価格でスポーティなセダンを探している人にはオススメだ。年式こそ古くなりつつあるが、定期的にメンテナンスされてきた物件なら、まだまだ長く乗れるだろう。

2代目はガソリン車よりも、ハイブリッド車の中古車流通量が多い。ハイブリッドは相場も高めだが、2.5Lエンジン+モーター搭載の「300h」は200万円プラスαから狙うことができる。

ここではGS・GSハイブリッドの特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について紹介していく。
 

 

GS・GSハイブリッド(初代)の特徴と中古車相場

■GS(初代)DATA
生産期間:2005年7月~2011年12月
中古車流通量:約200台
中古車価格帯:30万~150万円

■GSハイブリッド(初代)DATA
生産期間:2006年3月~2012年2月
中古車流通量:約40台
中古車価格帯:40万~150万円
 

レクサス GS(初代) ▲レクサスのブランドイメージを決定づける役割を担った初代GS

■GS(初代)の特徴
2005年、日本でレクサスブランドが立ち上がったとき、第1弾のラインナップに選ばれたのはSC、GS、IS(1ヵ月遅れての導入)の3車種だった。

2代目アリストの後継モデルである初代GSは「新しいプレミアム価値の提供」が開発テーマとされ、走行性能はもちろん、感性の領域においても高級、上質であることが求められた。

なお、車名の「GS」はグランドセダンの略で、紛れもない高級車だった。ボディサイズは全長4830mm×全幅1820mm×全高1425mmとメルセデス・ベンツのEクラスに相当する。

基本性能の高さはもとより、AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム)、アクティブ・スタビライザー・サスペンションシステムなどスポーツ性能と快適性を両立するための先進的な電子デバイス。さらに、衝突被害軽減ブレーキやレーンキーピングアシスト(GS430にオプション設定)、レーダークルーズコントロール(全車にオプション設定)などの現行車にも見劣りしない先進安全装備も用意された。
 

レクサス GS(初代) ▲レザーや本木目がふんだんに使われ、インテリアでもトヨタとレクサスの違いをアピール

2005年7月デビュー当初のラインナップは、3.5L V6ガソリンエンジンの「350」と、4.3L V8ガソリンエンジンの「430」の2種類。前者の最高出力は315ps(232kW)というハイスペックで、数値上は上位モデルである「430」を上回っている。

パワートレインはFR駆動を基本とし、「350」にはフルタイム4WD車も設定された。

2006年3月には、レクサス初のハイブリッド車「450h」を追加。こちらは世界初のFR式ハイブリッドで、「350」と同じ3.5L V6ガソリンエンジンとモーターを組み合わせ、345ps(254kW )という驚異的なスペックを実現している。

レクサスは輸入車で一般的なイヤーモデル制を取っており、年ごとに改良が行われた。

大きな変更があったのは2007年10月。「430」のV8エンジンを4.6L版へと置き換え、最高出力が280ps(206kW)から347ps(255kW)へと大幅に向上。ATも6速から8速へと進化した。グレード名も「460」と改められ、名実ともにGSのフラッグシップにふさわしい内容となっている。

同時に、LEDウインカー内蔵ドアミラーの採用やステアリングホイールのデザイン変更など、エクステリア・インテリアのお色直しも行われた。
 

レクサス GS(初代) ▲先進的なサスペンションの制御システムや充実した安全装備がGSの特徴だ

■GS(初代)の中古車相場
初代GSにおける中古車の大半が2007年以前に集中しており、2008年以降の物件はかなり少ない状況。よって、流通している約200台の物件においても、V8エンジン搭載車のほとんどは「430」であり、「460」は数えられるほどしか存在していない。

もっとも、「430」も少数派で、現在の中古車市場に流通している初代GSの多くが「350」という状況だ。

「350」は総額50万円前後が最安値帯となっているが、このゾーンは走行距離が10万kmを超えた物件が多くを占める。高級車だけに定期的なメンテナンスを受け、良好なコンディションを維持している物件も少なくないと思われ、予算重視派コンディションを見極めながら狙ってみるのもアリだろう。

予算を100万円程度までアップできれば、走行距離5万km以下で比較的年式が新しい物件も見つけることが可能だ。この年式の中古車は、今後低走行の物件が増加し続けるとは考えにくく、選択肢がある今のうちにアクションした方がいいだろう。

流通量の少ない、V8エンジン搭載の「430」や「460」もまた然りである。
 

▼検索条件

レクサス GS(初代) × 全国

一方の、GSハイブリッドの流通台数は約40台。こちらは後期まで比較的満遍なく分布しているが、ガソリンモデルよりやや高い価格帯となっている。

走行距離10万km以下の物件は30台弱と選択肢は限られ、予算の目安は100万円前後となるが、パワーに加えレクサスブランドらしい快適性も手に入れたいならハイブリッドがオススメだ。

ガソリンモデル上位グレードである「430」でもオプション設定だった、アクティブ・スタビライザー・サスペンションシステムが標準装備されているなど、高級装備をふんだんに盛り込んだ実質的なハイエンドモデルといえ、高い満足感を得られるだろう。
 

▼検索条件

レクサス GSハイブリッド(初代) × 全国
 

■GS・GSハイブリッド(2代目)の特徴と中古車相場

■GS(2代目)DATA
生産期間:2012年1月~2020年8月
中古車流通量:約280台
中古車価格帯:100万~650万円

■GSハイブリッド(2代目)DATA
生産期間:2012年3月~2020年8月
中古車流通量:約350台
中古車価格帯:120万~560万円
 

レクサス GS(二代目) ▲台形をふたつ組み合わせたスピンドルグリルを採用した2代目のフロントフェイス

■GS・GSハイブリッド(2代目)の特徴
レクサスのブランドアイコンとなっているスピンドルグリルを初めて採用したモデルが、この2代目GS。

コンサバティブなデザインだった初代に対して、2代目は先進性とスポーティさを表現したエクステリアとなった。逆台形のアッパーグリルと台形のロアグリルを組み合わせた形状のフロントグリル、レクサス初採用のLEDヘッドランプは、「一目でレクサスとわかる先進かつ洗練されたデザイン」とされている。

ボディサイズは初代に対して全幅がプラス20mm、全高がプラス30~35mmとなったが、全長、ホイールベースは変わっていない。

デビュー当初のラインナップでは初代から踏襲の「G350」「450h」に加え、新たに「250」が設定された。この「250」は2.5L V6ガソリンエンジンを搭載するGSのエントリーグレードだ。

「350」は従来の3.5L V6ガソリンエンジンを引き継ぎながら、吸排気系を改良。「450h」ではエンジンが次世代直噴D-4Sシステムとアトキンソンサイクルを採用した新型に代わり、トランスミッションも改良されている。

なお、初代にあったV8ガソリンエンジン車「460」は廃止された。

また、通常仕様の他、全グレードにスポーティバージョンの「Fスポーツ」を設定。専用チューンドサスペンションや、操舵角を最適に制御する「LDH」(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)を採用し、スポーティな走行性能と、低速時の扱いやすさを実現している。
 

レクサス GS(二代目) ▲赤いアクセントカラーでスポーティさを演出したGS F SPORTのインパネ。

2013年10月のマイナーチェンジでは、新たに2.5L直列4気筒ガソリンエンジン+モーターを搭載する「300h」を追加。ガソリン車2種、ハイブリッド車2種、計4種の基本ラインナップとなった。

同時に「350」のATが6速から8速に変更されるなど、各部のブラッシュアップも行われている。

2015年11月のマイナーチェンジではフロント、リアまわりのデザインが一新され、「350」のエンジンがアトキンソンサイクルを採用する新型へと変更された。また、安全面においても、従来オプション設定だった衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュセーフティシステム)が、レーンキーピングアシスト、レーダークルーズコントロールなどとともに、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」として標準装備化。衝突被害軽減ブレーキが歩行者検知機能付きへと改良されている。

2016年9月には、「250」に代わる新たなモデルとして2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する「200t」が追加された(2017年8月以降のモデルではグレード名称を「300」に変更)。
 

レクサス GS(二代目) ▲ハイブリッドの人気が高かった2代目。「300h」は経済性とスポーツ性能のバランスに優れたモデルだ

■GS・GSハイブリッド(2代目)の中古車相場
2代目GSはガソリンエンジン車よりハイブリッド車の人気が高く、現在の中古車市場でも多く流通している。

ガソリン車では、デビューイヤーとなる2012年式に多くのモデルが集中。初度登録から10年近く経過した物件が中心となるため、価格重視派はまずこのあたりからチェックをしてみるといいだろう。総額180万円ほどから選択肢を確保することができる。

掲載台数の多いグレードは、「250」と「350」で、ターボモデルは少数派となっている。

スポーティな走りを求める人にオススメの「Fスポーツ」は、約80台が流通。総額200万円プラスαで狙うことができるが、コンディションを重視したいなら予算を280万円程度までアップし、走行距離5万km以下の物件を探してみよう。
 

▼検索条件

レクサス GS(2代目) × 全国

一方、GSハイブリッドは流通量が300台以上あり前期~モデル末期まで満遍なく存在している。

価格は初代同様にハイブリッドの方が高く、特に2016年式以降の後期モデルでは400万円近い物件も珍しくない。

フラッグシップの「450h」がGSハイブリッド全体の過半数を占めている影響もあるだろう。

約8年半というモデルライフの中で、数多くのバリエーションが存在した2代目GS。オススメを決めるのは難しいが、「300h」はハイブリッドらしい低燃費と、スポーツ性能、上質感を兼ね備えたバランスの良いモデルだ。新しい年式の物件でも、新車時の価格より150万円以上安く手に入れることができ、お買い得感は高いと言えるだろう。

価格重視なら、総額200万円弱から選べる前期型をメインターゲットに。「300h」の流通量は少ないので、「450h」が中心となる。
 

▼検索条件

レクサス GSハイブリッド(2代目) × 全国

※記事内の情報は2021年6月24日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/レクサス
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。