「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」

そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲今回見てきたのは2011年式のフォルクスワーゲン ポロ。コンパクトな車体に定評のあるモデルだ

コンパクトカーの中でもその剛性感はピカイチ

フォルクスワーゲンのエントリーモデルとして、長く親しまれてきたポロ。

現行型が3ナンバーサイズへ大型化したこともあり、コンパクトサイズの先代は、いまだに根強い人気を誇っている。2014年7月までの前期型であれば、総額80万円程度で購入できる物件が多いのも魅力。

「前期型で走行距離が5万㎞を超えていたりすれば、50万円以下で購入できる物件もあります。ただ、低価格だから安っぽいかといえば、そうじゃない。200㎞/h超の速度域でも走れるように作られた車体は、同サイズの国産車とは一線を画します」

そう太鼓判を押すのは、欧州車に精通したユニバーサルオートの阿部さん。車に詳しくない人でも、頑丈さがもたらす走行性能や安全面のメリットは十分享受できるという。

一方で、輸入車となると気になるのが国産車とはまた異なる不具合。それを見極めるには、まず“音を聞く”のがよいという。具体的なチェックポイントを聞いた。
 

フォルクスワーゲン ポロ

今回見た車

フォルクスワーゲン ポロ(3代目)

扱いやすいサイズと手頃な価格で、初めての輸入車にもオススメのコンパクトカー。当初、量販グレードには1.4Lエンジンを搭載していたが、2010年からは1.2Lターボに変更。パワーと燃費性能が向上したターボモデルは、中古車でも人気。
●支払総額/39.5万円(税込)
●年式/2011年式
●走行距離/5.1万km
※2020年9月24日時点の情報

実車で見ておきたいチェックポイント

先述のように、今回見てきた前期型は新しくとも6年の歳月がたっている。

決して新しいとも言えないモデルとなるので、高額な修理費用がかかる故障リスクをチェックする方法などを聞いてきた。ぜひ実車を見に行く際の参考にしてほしい。
 

CHECK POINT 1
ゴムホースからの異音


エンジンルームに張り巡らされているホース類。そのほとんどがゴム製で、これが硬くなってボディと接触することで異音が生じる。

本来は柔軟性があるため、金属部分と接触しても音はしないが、経年や熱によって劣化が進むと硬化し、アイドリングの振動で「カタカタ」という音が出ることがある。
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲エンジンをかけた状態でエンジンルームの音を聞いてみよう

CHECK POINT 2
冷房の効き具合


エアコンの故障は交換費用が高くなるため、不調のサインは見極めておきたい。

冷房を作動させ、温度や風量に異常がないか手を当てて確かめよう。

エアコンを入れたときに「カチッ」という作動音が聞こえない場合や、エアコンをオンにした瞬間にエンジンルームから異音がした場合は危険信号と言える。
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲冬場は外気温が低いため、冷房の効き具合を見誤る可能性があるので注意が必要

CHECK POINT 3
オイル残量は十分か


ポロに搭載されているエンジンは、エンジンオイルの減りが早い。

オイル残量が少ないまま走行すると、エンジンに負担がかかる。

エンジン内部の状態まではわからないが、オイル残量が少なければ負担がかかっていた可能性が高い。

お店の人に依頼し、オイルの残量を確認してみよう。
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲くれぐれも自分で確認するのではなくお店に依頼しよう

CHECK POINT 4
リコール対応が済んでいるか


採用されているDSGというトランスミッションは、トラブルが出やすいといわれる。

しかし、年間約100台のDSG搭載車を販売するユニバーサルオートでは、トラブルは年に1台あるかないか程度という。

DSGはリコールが出されており、リコール対応済みの物件は運転席側ドアの開口部にシールが貼られている。
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲未実施と思われる場合にはお店に事実確認と納車前に対応できるかどうか相談するのが吉

CHECK POINT 5
天井素材の剥がれ


屋根なしの駐車場など車内が高温になりやすい環境に長く置かれていた物件では、天井の剥がれが発生しやすくなっているという。

特にルームランプ周辺から剥がれてくることが多いため、生地のたわみがないかチェックしよう。

たわんでいる場合、徐々に進行して天井全体が垂れてくることもある。
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲現在はそうでもなくとも後々気になってくる部分。取材車両は比較的綺麗な状態だ

CHECK POINT 6
塗装(クリア)の剥がれ


赤系のボディカラーの物件は紫外線の影響を受けやすく、塗装の劣化が進みやすい。

特にこの世代のポロは約750台流通しているうちの、200台超が赤系でその比率が多い。人気のカラーでもあるが、色にこだわりがある人ほど入念なチェックを。

また、台数は少ないが黄色系も同様に色あせしやすい。
 

フォルクスワーゲン ポロ ▲赤系は初めから塗装の劣化を疑い入念なチェックが必要

販売店がよく受ける質問ベスト3

年間40台以上もポロを販売するユニバーサルオート。

そんなポロのプロともいえる販売店に、お客様から聞かれることの多い質問ベスト3をお届けする。
 

★第1位
どんな故障が多いですか?

阿部一人さん
阿部一人さん

故障箇所は物件によってまちまち。ですが国産車ではほぼ無交換のエンジンまわりのセンサーが、ドイツ車は消耗品扱いなので定期交換が必要。走行距離8万㎞前後で交換時期がやってくるイメージですね。

★第2位
国産車との違いはどこですか?

阿部一人さん
阿部一人さん

一番の違いはドイツ車らしい乗り味でしょうか。手頃な価格の物件でもドッシリと安定した感じなど、国産車との違いは感じられます。それでいて同クラスの国産車と同程度の中古車価格も魅力です。

★第3位
ぶっちゃけ、燃費はどれくらいですか?

阿部一人さん
阿部一人さん

1.2Lターボモデルで平均15㎞/Lといったところでしょうか。高速道路では20 ㎞/L近く走るケースもありますね。ただしドイツ車ということもあって、全車ハイオク仕様になっています。

HMR HONDA

取材協力

ユニバーサルオート

代表は22年間、自動車専門誌の編集として携わっていた。そこで培ってきた経験&人脈をベースに、車本来の価値を価格に転換することをモットーとしている。家賃、人件費、光熱費などなど極力カットしたことで、安さには自信がある。来店前には事前連絡が必須。

住所:神奈川県横浜市港北区新羽町2468
電話:045-584-4171

小鮒康一(こぶなこういち)

訪問した人

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。

文/小鮒康一(フナタン)、写真/三浦孝明

※雑誌版カーセンサー 2020年12月号(2020年10月20日発売)の記事「気になる車に会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。