ポルシェ カイエン▲中古ならRAV4 PHVの新車価格でポルシェの高級SUV、カイエン S E-ハイブリッド(旧型)も狙える。最高速度は243km/h、EVモードだけでも125km/hまで走れる

低燃費、だけじゃない! パワーも魅力のプラグインハイブリッドSUV

今年6月8日に販売が開始されたと思ったら、1ヵ月も経たないうちに受注中止となったトヨタ RAV4 PHV。

「バッテリーの生産能力を大幅に上回る」注文が殺到したのが理由だという。

それにしてもプラグインハイブリッドは、今なら特に珍しい技術ではないのに、なぜこれだけ人気を集めたのか。

自宅などで充電した電気で、一定距離なら電気自動車として走れるプラグインハイブリッド。

例えば、RAV4 PHVは電気だけで95km(WLTCモード)も走れるから、遠出しない限りガソリンを使うことがほとんどない。

だから経済的で、地球にも優しい! のだが、売れてる理由はそれだけではないと思う。

なぜなら、同社にはプリウスPHVもあり、そちらはRAV4 PHVより短いとはいえ電気だけで60kmも走る。これでも十分、地球に優しい生活が送れるからだ。

トヨタ RAV4▲こちらがRAV4 PHV。メーカーの予想を大きく上回る人気で、一時的に受注が中止されてしまった

実は、プラグインハイブリッドにはもうひとつ大きな魅力がある。

それは、エンジンを使って走行しているときにも、電気モーターがアシストすることで力強い走りを楽しめるということ。

RAV4 PHVの場合2.5Lガソリンエンジンにモーターがアシストすることで、システムトータルの最高出力が306psに達する。

0-100km/h加速はなんと6.0秒! まるでスポーツカーのようだ。

アクティブに使うことが多いSUVは、なおさらこの力強さというのは大きな魅力になるのではないだろうか?

「そうそう! だからRAV4 PHVを買おうと思ってたのに……」という人も多いはず。そして、受注再開まで待たなければならず、がっかりしている人もいるだろう。

しかし、実はプラグインハイブリッドのSUVは他にも存在しており、今なら中古で見つけることができるモデルもある。

そこで今回は、すぐに手に入れることができ、RAV4 PHVの最廉価グレードの469万円よりも安い中古車が見つかるプラグインハイブリッドのSUVを紹介しよう。

一度チェックしてみる価値はあるはずだし、「待たなくて良かった!」と思えるかも!?

MCでパワーアップした、日本初のプラグインハイブリッドSUV
三菱 アウトランダーPHEV(現行型)

三菱 アウトランダーPHEV▲2015年6月のマイナーチェンジでデザインを一新(写真は2017年2月モデル)。一部グレードを除き、デビュー時から衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全機能「e-アシスト」を標準装備している。2017年2月にシステムが大幅に向上した。燃費は18.6km/L(JC08モード燃費)
三菱アウトランダーPHEV▲アウトランダーPHEVのもうひとつの魅力は、最大1500Wまで出力可能なAC100V電源をGプレミアムパッケージに標準装備、他グレードはオプションで用意されていること。キャンプなどで家電が使えるのは、日本のプラグインハイブリッド車ならでは

日本初のプラグインハイブリッドSUVが三菱 アウトランダーPHEVだ。 i-MiEVで電動モーター技術を培い、ランサーエボリューションで4WDを、パジェロでSUVを散々追求し続けていた同社の技術を集めた、まさに「三菱の技術の結晶」といえる1台だ。

前後にそれぞれモーターを搭載するプラグインハイブリッドで、システムトータルでの最高出力は不明だが、それぞれの最高出力は公表されている。

2012年12月にデビューした際は、118psの2Lガソリンエンジン+前82ps+後ろ82psという構成で、EV航続距離は60.2km/L(JC08モード燃費)。

2015年6月のマイナーチェンジでシステムが改良され、市街地での発進時や走行時の加速性能、レスポンスが高められ、同時に一部グレードを除きEV航続距離が60.8km/L(JC08モード燃費)に。 2017年にも改良が加えられ、加速レスポンスが向上。さらに2018年8月にはシステムの約9割が見直されるという大幅改良が行われ、128psの2.4Lガソリンエンジンと前82ps/後95psの2モーターに切り替わった。

単純計算で合計305psとトヨタRAV4 PHVに肉薄。EV航続距離は65.0km/L(JC08モード燃費)まで延びている。

しかしアウトランダーPHEVの走りの魅力は、こうした数値よりも冒頭に述べたランサーエボリューション譲りの4WD技術にある。

四輪を高度に操ることで素早く駆け抜ける、ランエボからの技術「S-AWC」をデビュー時から装備。前後にモーターを搭載したのはこのためでもあった。

また、アウトランダーPHEVで数々の海外ラリーレースに挑戦。この知見もフィードバックされているはずだ。 2017年の一部改良時にもS-AWCに手を加えられ、スポーツ走行をアシストするスポーツモードを搭載している。

デビュー時の車両本体価格は332万4000~429万7000円。

原稿執筆時点で約570台があり、そのすべてが車両本体価格469万円(RAV4 PHVの最廉価グレードの価格)以下だ。

システムが大幅に変わった2018年式以降のモデルも200台以上あり、支払総額約330万円から探せる。

▼検索条件

三菱 アウトランダーPHEV(現行型)×全国

ミニ初のFRにもなる!? ガソリン車より加速性能は高い
ミニ ミニクロスオーバーS E オール4(現行型)

ミニ ミニクロスオーバー▲200Vの普通充電に対応。駆動用バッテリーや駆動モーターが後部に収まるため、ラゲージの床は他モデルと比べて、若干床が高い
ミニ ミニクロスオーバー▲走行モードは効率的にモーターとエンジンを使い分ける「AUTO eDRIVE」と、なるべく電気のみで走る「MAX eDRIVE」、バッテリーの充電を積極的に行う「SAVE eDRIVE」の3種類がある。走行モードの切替はセンターコンソール内のトグルスイッチで行う。燃費は17.0km/L(JC08モード燃費)

2017年6月にデビューしたのが、ミニブランド初のプラグインハイブリッドモデルとなるミニクロスオーバーS E オール4だ。

最高出力136psの3気筒1.5Lガソリンエンジンに加え、リアに88psの電気モーターを搭載。

システムトータル最高出力は224psと、数値としては走りのスペシャルモデルであるジョンクーパーワークス(JCW)の231psに迫るほど。

大容量バッテリーを搭載するため車重が重く、0-100km/hは6.8秒とJCWの4.9秒には及ばないが、それでもガソリン車のクーパーSオール4の7.2秒より速い。EV航続距離は約42.4km。

プラグインハイブリッドのシステム自体は、2016年に登場したBMW 225xeと基本同じもので、エンジンで前輪を、電気モーターで後輪を駆動する4WDシステムを採用。

そのためEVモードではミニ初のFR車として走ることができる。ただしFR車っぽい走りというよりは、EV車ならではの静けさや微振動の少なさを体感できるといった感じだ。

「AUTO eDRIVE」で走る場合、バッテリーがある程度充電されていれば、発進時はモーター(FR)で、そこからエンジンにバトンタッチ(FF)され、グンと加速するためにアクセルを踏み込んだときや、滑りやすい路面などで両方(4WD)が働く。

200V普通充電は可能だが、日本の急速充電には対応していない点は要注意。しかし、たとえバッテリーの電気が空になりかけても、減速エネルギーを電力に換えて充電する回生機能を備えている。

デビュー時の車両本体価格は479万円。

原稿執筆時点で約40台あり、支払総額約300万円から探せる。

▼検索条件

ミニ ミニクロスオーバー(現行型)×S E オール4×全国

速くて走りが楽しく、しかも燃費がコンパクトカー並みのBMW製SUV
BMW X5 40e(3代目)

BMW X5▲バッテリーを床下に収納するため、ラゲージ容量は通常で500L、後席を倒すと1720L(他モデルは620L/1870L)。またエンジンのレスポンスやステアリング、トランスミッションの特性を「コンフォート/スポーツ/エコ プロ」から選べる
BMW X5▲走行モードには「AUTO eDrive」モードの他に、なるべく電動モーターを使う「MAX eDrive」モード、積極的に回生機能を使ってバッテリーの充電をする「SAVE eDrive」モードが選べる

世界で初めてSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)をうたって登場したX5に、初めてのプラグインハイブリッドモデル、40eが追加されたのは2015年9月。

同社の4WDシステムであるxDriveシステムと、プラグインハイブリッドのスポーツカーi8の技術を組みあわせたモデルだ。

搭載されたプラグインハイブリッドシステムは、2Lガソリンターボエンジンに、8速ATと一体化された高出力の電気モーターという構成。

システムトータルの最高出力は313ps、最大トルクは450N・m。0-100km/hは6.8秒と、上記のミニクロスオーバーS E オール4と同タイムだ。

それでいて燃費は3.4~3.3L/100kmで、単純計算すると1Lあたり30kmも走る。EV航続距離は約31kmだ。

走行状況に合わせて電気モーターとエンジンを自動で切り替えてくれる「AUTO eDrive」モードを選んでおくと、バッテリーに十分残量があれば発進時はモーターのみで走り、70km/h以上や250N・m以上のトルクが必要になるとエンジンが始動する。

エンジンと電気モーターのパワーを使い分けながら、xDriveシステムによって雨や雪などで滑りやすい路面はもちろん、コーナリング時に外へ膨らみそうになったときも四輪へのトルク配分によってスムーズに駆け抜けることができる。

こちらも200V普通充電は可能だが、日本の急速充電には対応していない点には注意してほしい。

デビュー時の車両本体価格は927万~993万円。

原稿執筆時点で9台、そのうち車両本体価格469万円以下は4台見つかった。いずれも走行距離は3万km以下だ。

▼検索条件

BMW X5(3代目)×40e系×全国

0-100km/hが5.9秒! ポルシェ初のプラグインハイブリッドSUV
ポルシェ カイエン S E-ハイブリッド(2代目)

ポルシェ カイエン▲Sハイブリッドではニッケル水素バッテリーだったが、S E-ハイブリッドでは10.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。公表されている燃費は3.4 L/100 km。単純計算すると約29km以上/Lと、2t超で416psの持ち主としては立派
ポルシェ カイエン▲インテリアは他のカイエンと変わらない。S E-ハイブリッドの登場と同時に行われたマイナーチェンジで、ステアリングのデザインがハイブリッドのスーパーカー「918スパイダー」をイメージしたものになった

2010年3月に登場した旧型・2代目カイエンは、当初から3Lスーパーチャージャー+電気モーターのハイブリッド、Sハイブリッドをラインナップしていた。

そして、2014年7月のマイナーチェンジで、カイエン初のプラグインハイブリッド、S E-ハイブリッドに切り替わった。

最高出力333psを発揮するエンジンはSハイブリッドと同じだが、電気モーターは約2倍となる最高出力95psとなり、システムトータルでは最高出力416ps、最大トルク590N・mを発揮。

0-100km/hは5.9秒と、数値的には立派なスポーツカー。ガソリン車のカイエンSの5.5秒、カイエンターボの4.5秒には劣るが、その分燃費は遙かに勝る(S E-ハイブリッドは3.4L/100kmだから単純計算で約29km/L。Sは9.5~9.8L/100kmだから約10km/L)。

また、ガソリン車と比べてジェントルな走り味にしつけられているのも特徴だ。EV航続距離は18~36km。

駆動方式は4WDのみ。電気モーターのみで走るEパワーモード、電気モーターとエンジンを上手く使うハイブリッドモード、回生機能を使いバッテリーへの充電を優先するEチャージモードの3つの走行モードがある。

こちらも200V普通充電は可能だが、日本の急速充電には対応していない。

デビュー時の車両本体価格は1155万円。 原稿執筆時点で17台が見つかり、うちRAV4 PHVの車両本体価格469万円より安い物件は3台。いずれも走行距離は5万kmを超えるが、検討する価値は十分あるのではないだろうか。

▼検索条件

ポルシェ カイエン(2代目)× S E-ハイブリッド×全国
文/ぴえいる、写真/ポルシェ、三菱、BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。