販売店に行かずに車をチェック! 自宅でできるオンライン相談をやってみた
2020/07/03
遠く離れた販売店の物件をチェック
中古車を買う場合は、言うまでもまでもなく「現物のコンディションを自分の目でしっかり確認する」というのが基本中の基本ではある。
だが「わざわざ販売店まで行くのは大変だ」という人もいるだろうし、その販売店が自宅から遠く離れている場合は、確かに面倒かもしれない。
しかしこのたび、そう考える人にとってかなり有効となるだろう「オンライン相談」が、カーセンサーnetからできるようになった。
これは読んで字のとおり、自宅から出ることなくオンラインで、実際に販売店まで行って物件のチェックをしたり購入の相談するのと「ほぼ同じことができる」という機能であるらしい。
「でも、それって本当に使い物になるのか?」ということが気になったため、中古車ジャーナリストである筆者が実際に試してみることにした。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
オンラインでチェックした車
スバル フォレスター(4代目)
日本だけでなく世界で高い評価を得ているスバルの中型SUV。エンジンは水平対向4気筒の2L自然吸気とターボがある。ステレオカメラを使って衝突を回避する「アイサイト」も設定されており、普段乗りも遊びも楽しめるモデル。
●支払総額/114.5万円(税込)
●年式/2013年式
●走行距離/8.5万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/2000cc ガソリン
※2020年6月1日時点の情報
現地で見るより確認しやすいものもあった
対象となる物件は、岡山県の「アールエスオート」が販売している2013年式のスバル フォレスター。それをチェックする筆者がいるのは、販売店から約660km離れた東京都内である。
支払総額114.5万円で展示されている2013年式スバル フォレスターについてのあらかたの詳細やお金に関する条件面は、「問い合わせフォーム」でのやりとりを通じてすでに把握できている。
今回のオンライン相談で特に確認したいのは、要するにその物件の「リアルなコンディション」だ。
本当にそれを、オンラインで確認することなんてできるのだろうか?
などと不安に思っていたら、先方担当者であるアールエスオートの安福店長はむしろ積極的に、2013年式フォレスターのキズやら何やらの欠点を、動画と音声で開示してくれる。
「ココとココは年式の割にかなり美しい状態です。しかしココとココは、ほらご覧ください、こんな感じのスレやへこみがあります」みたいな具合だ。
このときに気づいたのが、スマホ動画を通して見る中古車の内外装やエンジンルームは「想像以上に見やすいな……」ということだった。
スマホで撮影する角度によっては、外装のキズも内装のスレも見えなくなってしまうことがある。
だがその角度をいろいろ変えてもらうことで、下手をすれば肉眼で見るとき以上に、キズやスレが把握しやすくなるのだ。
そしてそれは、いわゆる「下まわり」においても同様であった。
フォレスターのようなSUVでは特に下まわりにサビなどが発生していないかどうかは必ず確認したいところだが、販売店の展示スペースでそれをやろうとすると「地面に身体を横たえて」「光が届かないため暗い状態の下まわりを、なんとか目を凝らして見てみる」ということになる。
しかし、オンライン相談で先方担当者がスマートフォンの動画モードで写し、リアルタイムで送ってくれる下まわりの動画はかなり明るく、また克明でもある。
これもまた「……現地で肉眼で見るよりむしろわかりやすいかも?」と思ったポイントだ。
このように20分ほど、本当に細やかに、いろいろな箇所のコンディションを熱心に開示してくれるアールエスオートの安福店長。そしてそんな彼に対して、それでも湧いてくる疑問点などをいろいろと質問してみる筆者。
……そういったやり取りを繰り返しているうちに、筆者は気づいてしまった。
「これって、実際に販売店に行ってやることとほとんど同じじゃないか!」ということに。
目に見えない“信頼性”も確認できた
販売店に行き、お目当ての中古車についていろいろな説明を受けていると、おおむねではあるが、その中古車のコンディションが見えてくる。
だがそれと同時に見えてくるのが、「その販売店の姿勢や担当者の人柄」だ。
1分や2分ほどやりとりした程度ではわかりづらいが、10分か20分、あるいは30分もその人と会話(のキャッチボール)をしてみれば、相手方の力量や性格、仕事に対する姿勢のようなものは、なんとなくだが見えてくるもの。
そしてその「見えてくる度合い」は、リアルでもオンラインでもほとんど変わらないのだな……ということに気づいたのだ。
オンラインでの数十分間のやりとりを通じて、筆者はアールエスオートの安福店長を「信頼に足る仕事人である」と判断した。そしてその判断は、おそらくだが間違っていないはずだ。
以上のとおり、キズ等の状態はオンラインであっても十分確認することができ、販売店や担当スタッフの力量や人間性のようなものも、オンラインでも伝わってくることがよくわかった。
オンラインならではのチェック方法も
だがオンライン相談の唯一の(?)弱点は、「その中古車のにおいを確認することができない」ということだろう。こればっかりは、今の技術ではどうしようもない。
だがこれにもいくつか解決策はあって、まずひとつは「禁煙車に絞って検索をかける」ということ。
まあ車内の異臭というのはタバコだけが原因ではないため、これは決してパーフェクトな手法ではない。
だが「タバコを煮しめたようなにおいがする中古車を買ってしまう」というリスクを低下させることはできる。
そしてもうひとつは――これはアールエスオート安福店長が教えてくれた手法だが――運転席および助手席バイザーの「折れ目部分」を動画で見せてもらうというやり方だ。
タバコのヤニなどによる汚れがひどかった内装も、プロが展示前に行う「ルームクリーニング」でけっこうキレイになってしまう。
だがバイザーの折れ目部分だけは、ルームクリーニングを行ってもシミが取り切れないことが多いという。
そのため、この部分がキレイではない物件は「タバコ系のにおいがキツいかも?」と推測できるそうなのだ。
もうひとつオンラインでは確認しにくいのが、エアコンの状態だ
冷えた空気が出ているかは、お店の人に聞く以外方法はないが、風量は吹き出し口にティッシュペーパーを当ててもらうことでわかる。
風量を最大にしてもらい、きちんとティッシュがたなびけばOKだ。
底面以外にもあるSUVならではの確認点
その他にも、安福店長はSUV特有の確認点を丁寧に教えてくれた。
ひとつはシート側面のへたり具合だ。
車高が高いフォレスターのようなSUVは、乗車する際、シートの側面に腰かけるようにして乗り込む人が多い。
するとその腰かけた側面部分がへたって形が崩れてしまっているものもあるという。
もうひとつ確認しておきたいのが、ルーフ上のキズ。
ルーフキャリアを付けるなどアクティブに使われるSUVは、ルーフ部分にキズが付いていることもある。
買った後に見つけてショックを受けないためにも、物件確認の段階で見ておきたい。
などが今回、アールエスオート安福店長に教えてもらった「オンライン相談を行う際のコツ」だ。
いずれにせよこのオンライン確認、お世辞やヨイショはいっさい抜きで「かなり使える!」というのが、歴戦の中古車マニアと自負する筆者の見解である。
「リアルと同じ!」と言ったら少しホメすぎかもしれないが、「リアルとあんまり変わらない」ということは確実に言えるはず。
それゆえ、「気になる物件がある販売店が遠い」とか、「複数のお店に行く時間が作れない」という方はぜひ一度お試しを!
取材協力
アールエスオート
早くからリモート確認を取り入れ、今では1週間に10件以上の商談をオンラインで行う。対面に勝るとも劣らない細やかな案内が評判。
住所:岡山県岡山市南区藤田1421-2
電話:086-236-9992
▼検索条件
スバル フォレスター(4代目) × 全国【関連リンク】
この記事で紹介している物件
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