マークX “GRMN”は6速MTを搭載した本気のスポーツセダン! 中古車もチラホラ出てきたが、激レアモデルゆえ早めの決断が必要だ
2020/06/13
2代目マークXで限定発売された激レアスポーツ
2019年12月、15年の歴史に幕を下ろしたトヨタのミドルクラスセダン『マークX』。1968年にデビューしたマークIIの流れをくみ、プレミアム感のあるモデルだ。
また、FR(フロントエンジン、後輪駆動)の駆動方式とV型6気筒エンジン(マークIIは直列6気筒)により軽快な走りを楽しめるため、スポーツセダンとして若者からシニア層まで幅広く支持された。
初代は2004年11月にデビュー。そして、2009年10月にはスポーティさを前面に打ち出した2代目へとフルモデルチェンジした。
搭載エンジンは、最高出力149kW(203ps)を発生する2.5L V6と、234kW(318ps)を発生する3.5L V6で、トランスミッションは6ATが搭載された。
2010年6月から、GAZOO Racingテストドライバーが開発を担当し、ボディやサスペンションなどの性能を高めた”G SPORTS“シリーズ(通称G’s)を展開。2012年8月のマイナーチェンジでマークXにもG SPORTSが設定された。
G SPORTSは、スポーツカーに乗りたいが家庭の事情などで選ぶことができない。スポーツカーらしい雰囲気が好きだ、という人が楽しめる内容にしたもの。ただ、それだと物足りないという人も少なからず存在した。
そこでトヨタは、G SPORTSよりも“走る楽しさ”と“操る喜び”を高めた大人のスポーツセダンのコンプリートカーを開発。それがマークX GRMNだ。
GRMNとはGAZOO Racing tuned by MNの略で、MNはMeister of Nurburgringを表している。
マークX GRMNは、過去に2度だけ台数限定で発売されている。存在自体が希少なので、カーセンサーに掲載されることもめったになかったが、マークXが絶版になってから希に中古車を見つけられるようになった。
マークX GRMNがどのようなモデルだったかを振り返りつつ、中古車相場の状況などを見ていこう。
第1弾モデル(2014年12月発表)
マークX GRMNの第1弾は2014年12月に発表され、2015年3月から注文受付、6月上旬に発売がスタートした。台数は100台限定で、新車時価格は540万円だった。
ベース車は3.5L V6エンジンを搭載する350S。当時のカタログを見ると、350Sのエンジンスペックは最高出力234kW(318ps)/6400rpm、最大トルク380N・m(317kg・m)/4800rpm。一方でGRMNは、最大トルクは変わらないが、最高出力が236kW(321ps)とわずかにアップしている。
そして、ベースモデルと大きく異なるのがトランスミッションだ。マークXが6ATのみの設定に対し、GRMNは6MTを採用。これは、エンジンのポテンシャルを最大限引き出すための選択で、当時の国産FRセダンで唯一MTを搭載するモデルだった。
サスペンションにはGRMN専用のチューニングが施され、ボディはG’sで行った補強に加え、フロントとリアに補強用ブレースを追加。これはストリートだけでなく、サーキット走行まで視野に入れたものだという。さらにドアスタビライザーも追加し、ボディ剛性を大きく高めている。
ベースの350Sのタイヤサイズは、前後とも235/45R18なのに対し、GRMNはフロントが235/40R19、リアが255/35R19と前後異サイズに。
ルーフは軽量化のためにCFRP製パネルが使われている。もちろん前後には専用のバンパーやスポイラーが採用された。
シフトレバーはGRMNのために作られた専用品。運転席足元のペダル類は、単にベース車にクラッチペダルを追加したのではなく、GRMN専用の配置に変更されている。サイドブレーキもフット式から手引き式に変更された。
メーターは専用のコンビネーションメーターになり、GRMNのロゴ入りのエンジンスタートスイッチなども装備された。
シートやドアトリムにはウルトラスエード表皮を採用。走りだけでなく、マークXらしい高級感も併せ持った仕様になっている。
第1弾モデルは、執筆時点での掲載台数は2台。車両価格が410万から440万円で、走行距離は5万km前後。前オーナーは大体年間1万kmくらい走っていることになる。
今回は、たまたま2台掲載となっていた可能性も高い。元々100台しかないモデルなので、欲しい人は見つけたら即買いだろう。
▼検索条件
トヨタ マークX GRMN(2014年12月発表モデル)×全国第2弾モデル(2019年1月発表)
2019年1月に発表されたマークX GRMNは、350台の限定モデルに。マークXは2016年11月にマイナーチェンジを受けているため、第1弾とはベース車の内容が異なってくる。
2016年11月のマイナーチェンンジでは、溶接のスポット打点が追加されるとともに、構造用接着剤を採用するなど、ボディ接合剛性が強化された。第2弾GRMNのベース車両は、マイナーチェンジで新設定された350RDS。
第2弾モデルは、6MTの心地よいシフト操作を実現するために、リアデファレンシャルギア比の変更や操作系のチューニングを実施。さらに、トランスミッションとのマッチングを図るために、エンジンの出力制御特性などの専用チューニングも施された。
そしてボディ剛性を高めるために、ベース車からさらに全252ヵ所にも及ぶスポット溶接打点を追加している。
足回りは、新開発のショックアブソーバーを用いた専用サスペンションを採用。ルーフは第1弾では標準装備だったカーボンルーフパネルがオプション設定となっていた。
インテリアには、カーボン調加飾とピアノブラック塗装を組み合わせたインストルメントパネルを採用。第1弾同様に、サイドブレーキは手引き式で、シフトノブも専用品になる。
メーターは専用のオプティトロンメーターが奢られた。メーターの数字は280km/hまで刻まれている。
シートはウルトラスエード表皮の専用スポーツフロントシートで、第1弾同様に上部にはGRのロゴ入り。第1弾は赤ステッチが施されていたが、第2弾はグレーのステッチになる。
第2弾モデルの掲載台数も2台。中古車価格はプレミアが付いていて、650万から680万円となっていた。
あとはこの価格をアリと考えられるかどうか。
第1弾モデルより多く製造されたことと、プレミアが付いているうちに手放すことを考えるオーナーもいるはずなので、第1弾モデルよりは市場に出てくる可能性は高いだろう。
現状は走行距離が数百kmから数千kmとかなりコンディションが良いものが流通しているので、プレミア相場になっている。絶対とは言い切れないが、今後走行距離が延びたものが出てくれば、今よりは安くなるはずだ。ただ、そういう状況になるまでは早くても数年かかるだろう。
プレミア価格でも状態のいいものを今手に入れるか、値段が下がることに賭けて数年待ってみるか。じっくり考えてほしい。
▼検索条件
トヨタ マークX GRMN(2019年1月発表モデル)×全国自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
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