トヨタ ヴォクシー▲写真のヴォクシー煌(きらめき)IIをはじめ、専用のエクステリアや装備を備えた特別仕様車も「登録済未使用車」で狙うことができる

新車と違い、すぐ乗れる! 新車の香りもする「登録済未使用車」

新型コロナの影響で長い納車待ちとなり、新車を諦めかけている人に検討してほしいのが、新車とほぼ同じ「登録済未使用車」だ。

実は、展示車両にするためなどの理由から、新車状態の車を販売店の名義で陸運局に登録のみをすることがある。しかし車は一度でも登録してしまうと、たとえ未使用であっても法律上は「中古車」扱いとなるのだ。

こうした走行距離100km以下の中古車を「登録済未使用車」という。(軽自動車の場合は「届出済未使用車」となる。また「新古車」や「未使用車」とも呼ばれるが、それらは正式な呼称ではない)

中古車といっても走行距離がわずか100km以下、というか1ケタkm以下なんていうのもザラだ。シートに新車時のビニールが被っている車も多い。乗り込むと、いわゆる「新車の香り」もする。

しかも店頭などに「現車」としてあるので、あとは登録作業(購入者への名義変更等)をすれば、すぐに愛車にできる、中身は新車とほとんど変わらない中古車なのだ。

それでいて中古車という立場上、新車時よりも価格は抑えられるケースがほとんど。

ちなみに、「登録済未使用車」はすでに工場から“出荷済み”のため、新車と違って購入する際にボディカラーの指定やサンルーフなどのオプション設定はできない。

だからこそ掲載台数が大事。これから紹介するミニバンは、カーセンサーに掲載されている「登録済未使用車」の台数、上位5車種をピックアップしたので、そうした選択の幅も広がりやすいはずだ。
(台数は原稿執筆の2020年6月1日時点)

それでは台数の多い「登録済未使用車」のミニバン5車種を、今回はランキング形式で紹介していこう。
 

兄弟車を合わせたら実は隠れたミニバン人気ナンバー1!?
第5位 トヨタ ヴォクシー(現行型)254台

トヨタ ヴォクシー▲前後の誤発進抑制機能やハイ/ロービーム自動切り替え機能が全車に標準装備されている。同じ「トヨタ・セーフティ・センス」という名称だがアルファードと違い、車線逸脱警報機能は備わるが、ステアリング操作までは自動ではない
トヨタ ヴォクシー▲室内長は2930mmとセレナには及ばないものの、室内高は1400mm。シート生地は消臭機能付き。7人乗りの2列目シートは前後810mmのスライド(写真の8人乗りは580mm)に加え、横方向にもスライドするので多彩はシートアレンジが可能だ

2019年1月~12月の1年間で最も売れた新車のミニバンは、ヴォクシーではなく11万880台のトヨタ シエンタだ。次いで9万2956台の日産セレナ、8万8012台のヴォクシーと続く。

しかし、ヴォクシーとデザインだけ違うノアやエスクァイアを入れた3兄弟の台数は18万3185台。全カテゴリーでトップのプリウスの12万5587台を軽く抜いてしまう台数だ。それだけ、この3兄弟は人気が高いということでもある。

人気の理由はデザインと低燃費(ハイブリッドモデルの2WDがWLTCモードで19.0km/L、2Lの2WDが13.2km/L)、使い勝手の良さ、価格の割安感といったところだろう。

2014年1月に登場し、現在搭載されているパワートレインは、1.8L+モーターのハイブリッドモデルと、2Lのガソリン車。なおハイブリッドモデルは2WD・7人乗りのみとなる。

2016年1月より設定された、衝突被害軽減ブレーキを含むトヨタ・セーフティ・センスは、2019年1月に進化して歩行者も検知するようになるとともに、全車に標準装備された。

新車の車両本体価格は250万9920~328万6440円。原稿執筆時点で支払総額約220万円から狙える。在庫は圧倒的に2Lガソリン車の台数が多い。

なお、兄弟車の登録済未使用車状況を見てみると、ノアは107台、エスクァイアは145台見つかった。
 

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トヨタ ヴォクシー(現行型)×登録済未使用車×全国

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トヨタ ノア(現行型)×登録済未使用車×全国

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トヨタ エスクァイア(現行型)×登録済未使用車×全国

お買い得な登録済未使用車が多い!?アウトドア派ミニバン
第4位 三菱 デリカD:5(現行型)271台

三菱 デリカD:5▲SUVテイストのあるノーマルモデルのほかに、都会派テイストのアーバンギアも新たに設定された。LEDヘッドライトは全車に標準装備。7人乗りと8人乗りがある(グレードのMは8人乗りのみ)
三菱 デリカD:5▲AC100V・100Wまでの家電を使えるコンセントが、ベースグレードのMを除く全車に標準装備された他、DC12V電源ソケットが2ヵ所(Mは1ヵ所)備わる

1BOXのフォルムをした本格クロスカントリーのデリカD:5。登場はもう13年前の2007年だが、毎年のように進化を続けている。2019年2月にはフルモデルチェンジ級のマイナーチェンジが行われ、特に外観デザインは大きく変わった。

その際に先進安全システム「e-アシスト」が採用された。現在同システムは全車に標準装備されていて、衝突被害軽減ブレーキの他に車線逸脱を警告するシステムや全車速追従機能付きクルーズコントロール(ACC)、ハイ/ロービーム自動切り替え機能、前方誤発進抑制などが備わる。

2019年11月から助手席ドアと助手席側スライドドアと連動して、自動で展開・収納する電動サイドステップも標準装備されている。

搭載されるエンジンは2.2Lディーゼルのみとなり、8速ATが組み合わされる。また2019年2月から2WD車がなくなり、全車4WDとなった。とはいえ2WD/4WDオート/4WDロックの3つのモードから任意に選べ、4WDオートでの凸凹道の悪路走破性も高められている。

さらにデリカD:5はマットやカーテンといったキャンプ・車中泊向けのディーラーオプション品が豊富なので、車を購入後に検討してみよう。

新車の車両本体価格は384万2640~420万7680円だが、登録済未使用車なら走行距離10kmちょっとで支払総額約280万円からと、かなりお買い得な中古車が狙える。
 

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三菱 デリカD:5(現行型)×登録済未使用車×全国

2019年に最も売れたミニバンは街乗りにもピッタリ
第3位 トヨタ シエンタ(現行型)296台

トヨタ シエンタ▲ヴォクシーと比べれば天井は低いが、それでも室内高は1280mm。衝突被害軽減ブレーキは全車標準装備だが、前後の誤発進抑制機能は一部グレードのみ標準で、他はオプションとなる
トヨタ シエンタ▲全車オーディオレスが標準。購入時にオーディオがない場合は、販売店で市販品などを装着できるか確認しよう。2列目シートも左右別々に折り畳め、両方畳めば26インチのマウンテンバイク2台を、タイヤを外さなくてもそのまま積める

ヴォクシー3兄弟よりも全長が約500mm短いコンパクトながら、最大7名乗れるシエンタは2015年に登場。上記ヴォクシーの紹介でも触れたが、2019年に新車で最も売れたミニバンとなった。

搭載するパワートレインは1.5Lと、1.5L+モーターのハイブリッドモデル(2WDのみ)。燃費はハイブリッドで22.8km/L(WLTC。1.5Lの2WDはJC08モードで20.2km/L)となる。

3列目シートを2列目シート下に収納すれば、家族での旅行やキャンプにいける広々としたラゲージスペースを作ることができる。さらに、アウトドアを楽しみたい人向けに2018年9月のマイナーチェンジでは、あえて3列目シートのないグレード(ファンベースXとG)が新設された。

また、キャンプで便利なAC100V・1500Wコンセント2個がグレードのGとファンベースGにオプションで用意されている。

デビュー時から、先進安全装備であるトヨタ・セーフティ・センスCがオプションでは用意されていたが、現在では”C”よりも機能が充実したトヨタ・セーフティ・センスが、グレードによって標準装備かオプションで用意されている。どちらが付いているのか、どちらも付いていないのか、購入時に確かめた方がいいだろう。

新車の車両本体価格は180万9500~257万9500円。原稿執筆時点で支払総額約170万円から狙える。約8割が1.5Lガソリン車だ。3列目シートのないモデルも、数は少ないが見つけられる。
 

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トヨタ シエンタ(現行型)×登録済未使用車×全国

キング・オブ・ミニバンも登録済未使用車ならお手頃!?
第2位 トヨタ アルファード(現行型)398台

トヨタ アルファード▲ハイ/ロービームの自動切替か、自動で対向車などの部分を避けて照らす機能のいずれかが全車に標準で備わる。前後の障害物などを検知して警報する機能も全車標準装備
トヨタ アルファード▲写真の7人乗りを選べば、2列目シートの広大さに驚くだろう。なお、2020年1月からはスマートフォンと連携が可能なディスプレイオーディオが全グレードで標準装備された

日本ミニバン界の頂点に君臨し続ける、絶対的王者のようなアルファード。

ファミリーのみならず、前後左右の広さを利用して2列目を飛行機のファーストクラスのように使えるとあって、芸能人や企業のトップなどにも人気だ。そのため2015年1月に登場した現行型には、2列目シートの座面の幅を約100mm拡幅した後席重視のグレード「エグゼクティブ ラウンジ」まで設定されている。

先進安全&運転支援機能は充実している。デビュー時は一部グレードのみ標準だった衝突被害軽減ブレーキは、2017年12月から夜間の認識力が上がり、トヨタ・セーフティ・センスとして全車標準装備となった。トヨタ・セーフティ・センスには全車速追従機能付きクルーズコントロール(アダプティブクルーズコントロール)や、車線を逸脱しないよう自動でステアリング操作する機能も含まれる。

先述のエグゼクティブ ラウンジではなくても、3列目をラゲージスペースと割り切る場合は、2列目シートを下げて足元をさらに広々と使える。逆に、跳ね上げ式の3列目を畳んだうえで2列目を前方に追いやれば、最長2025mmのラゲージスペースとして使うことも可能だ。また、大きな車ゆえ駐車が不安という人のために、自動駐車機能も用意されている。

新車の車両本体価格は352万~775万2000円。原稿執筆時点で支払総額約320万円から狙える。2.5Lモデルが圧倒的に多い。

ちなみに、中身は同じでデザインの異なるヴェルファイアの登録済未使用車は127台見つかった。併せてチェックしてみてほしい。
 

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トヨタ アルファード(現行型)×登録済未使用車×全国

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トヨタ ヴェルファイア(現行型)×登録済未使用車×全国

半自動運転技術のプロパイロット搭載車も選べる!
第1位 日産 セレナ(現行型)401台

日産 セレナ▲プロパイロット機能は一部グレードに「セーフティパック」というオプションで用意されている。写真の「e-POWERハイウェイスターV」も選択可能なグレードのひとつ
日産 セレナ▲7人乗りと8人乗りがあり、8人乗りは2列目シートの中央部を外して、1列目の収納付きセンターアームレストとしても使える。USB電源ソケットを3列目まで各2個(計6個)がグレードによって標準またはオプションで用意されている

室内長が最長3240mm、室内高が1400mmと、5ナンバーサイズのミニバンの中ではトップクラスとなる広々とした車内を備えるセレナ。

エクステリアデザインもノーマルモデルと、スポーティなハイウェイスター系に加え、プレミアム感のあるセレナ オーテックや、レースの知見を生かしたエアロパーツ&チューニングが施されたセレナ ニスモもラインナップされている。

さらに、1.2Lエンジンを発電機としてモーターを回して走る、低燃費がウリのe-POWERモデルや、半自動運転技術のプロパイロット機能もオプションで用意されていて、好みや予算に応じて選びやすいのが特徴だ。

現行モデルのデビューは2016年8月。2019年8月のマイナーチェンジでは「全方位運転支援システム」を用意。これには対向車に応じてLEDヘッドライトの照射パターンを変える機能や、車線変更の際に後方から接近する車両を検知し、警告とともに自車の車線変更を押しとどめる機能などが含まれている。

現在のラインナップは、2Lガソリン+モーター(発進時などでアシスト)のマイルドハイブリッドモデルと、先述のe-POWERモデルがあり、4WDはすべてマイルドハイブリッドモデルとなる。

新車の車両本体価格は239万9760~365万7960円(ニスモやオーテックバージョンを除く)。原稿執筆時点で支払総額約240万円から狙える。ほとんどが中核グレードのハイウェイスターVで、プロパイロット機能搭載車も見つかる。

一方で、ニスモやオーテックバージョンの在庫は見つからなかった。なお、スズキから「ランディ」としても販売されているが、こちらの登録済未使用車もほとんどない。
 

▼検索条件

日産 セレナ(現行型)×登録済未使用車×全国
文/ぴえいる、写真/トヨタ、三菱、日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。