台数が少なくなったランエボⅧ。ちょっとでもいい状態の物件を手に入れる方法を聞いてきた
カテゴリー: 特選車
タグ: 三菱 / ランサーエボリューション / 小鮒康一
2019/08/29
「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」
そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
日本が世界に誇るスポーツセダンであるランエボこと三菱 ランサーエボリューション。
乗用車然とした4ドアセダンに、その当時としては最新鋭の4WDシステムとハイパワーターボエンジンを搭載したモデルだ。
残念ながら現在は途絶えてしまったランエボの系譜だが、レーシングゲームや映画の影響で、日本のみならず海外でもいまだに高い人気を誇る。
「力強い駆動力と高い旋回性で運転していて楽しいのはもちろん、4ドアのため日常使いでの実用性もある」
「そして、スポーツカーの中でもサーキットなどで乱暴に乗られていた物件が少ないのが特徴です」とガレージR 三郷店の最首店長は教えてくれた。
販売終了から約15年経つが、エンジンとミッションがとても丈夫で、この箇所の故障はこれまでほとんど見たことがないという。
「GT-Rのようにプレミアがついて価格が跳ね上がり、買えなくなってから後悔するより、良質な物件が残っている今のうちに手に入れてほしいですね」という最首店長に、実車のチェックポイントを聞いた。
今回見た車
三菱 ランサーエボリューションⅧ
WRC(世界ラリー選手権)参戦車のベースとなる三菱のスーパーセダン。先代のⅦにも採用されていた駆動制御システム「AYC」が進化し、駆動・旋回性能が高められた。今もなお国内最強クラスの運動性能をもつモデルとして高い人気を誇り続ける
●総額/198.8万円(税込)
●年式/2004年式
●走行距離/9.6万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/2L ガソリン
CHECK POINT 1
四駆性能を制御しているAYCのチェックは最重要
AYCは走行状態によってリア左右輪の駆動力を変化させるものだが、これを制御するポンプが10万㎞程度で故障することがあるそうだ。
修理に30万円弱ほどかかるので、走行距離10万㎞以上の物件を購入するならすでに修理をした物件を狙うか、故障をきっかけに、より信頼性の高い機械式LSDに交換してしまうという方法もある。
異常があると、メーターの走行モードを表示するランプが全点灯する。
CHECK POINT 2
エンジンルーム内の液漏れ具合をチェック
登場からすでに15年ほど経過しているため、エンジンまわりのオイル漏れや、ラジエターからの冷却水漏れが生じている場合がある。
にじむ程度であれば許容範囲だが、液が垂れている場合には、原因の特定と部品交換が必要だ。
特にヘッドやオイルパン、クランクのオイルシール周辺は、できれば下からも見て漏れがないかを確認しておきたい。
またラジエターのカシメ部分から水漏れを起こすこともあり、そちらも要チェックだ。
CHECK POINT 3
電動サイドミラー面の向きは前後左右すべて動かす
経年劣化でトラブルが発生しやすいのが電動ドアミラー。
格納の動きはもちろん、鏡面の上下左右の動きがすべて問題なく作動するかも確認しておこう。
トラブルの原因は内部のギアの破損だが、ギア単体での供給がなく、ミラー全体の交換となるため、いざというときの出費は意外と大きい(5万円程度)。
もし不具合が発生していたら、社外のエアロミラーなどに交換してアップデートしてしまうのもひとつの手だ。
CHECK POINT 4
トランク下部の金属板のサビ具合を確認
フルタイム4WD車ということもあり、降雪地帯で使われたり、ウインタースポーツに頻繁に出かけたりした物件もあるため、同年式の他車種に比べて下まわりにサビが発生しやすいという。
年式的に発生する表面の小さなサビは致し方ないが、下まわりを覗き込んでみて広範囲にわたってサビが発生している物件は注意した方が良いだろう。
ひどいものになると腐食し、穴が開いているものも存在するという。
取材協力
ガレージR 三郷店 最首文亨さん
ランサーエボリューションをはじめ、インプレッサSTIなど国産スポーツモデルを多く扱う。店長の最首さんは自ら仕入れも行い、年間100台以上のランエボを販売している。
住所:埼玉県三郷市上彦名267-1
電話:048-957-9000
販売店がよく受ける質問ベスト3
★第3位
売るときも高く買い取ってもらえる?
ランエボを含むスポーツ車の価格は上がっています。数年後も上昇相場が続いている可能性があります。価値がゼロになることは考えにくいので、それも考慮して購入予算を決めるといいでしょう
★第2位
サーキット走行してた車を見分けるには?
サーキット走行のようなスピード レンジを上げて走っていた車両はタイヤハウス内にタイヤカスが付着していたり、飛び石で塗装が剥げています。写真では確認しづらいので、実車確認がオススメです
★第1位
チューンナップされた車は避けるべき?
出力を上げるためのエンジン改造をしたものでなければ心配いりません。マフラー、エアクリーナー、車高調、エアロパーツといったライトチューン車はむしろ人気で、価格が高くなる傾向にあります
今回紹介したランエボをはじめとした国産スポーツカーは、年数経過に伴う物件の減少や海外での人気もあり、価格が高止まりしたりすぐに買い手が付くなどの状況が続いている。
8月20日発売のカーセンサーではそんな最新の人気スポーツカーランキングを紹介しているので、ぜひチェックしてみてほしい。
※雑誌版カーセンサー 2019年10月号(2019年8月20日発売)の記事「気になるクルマに会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています
訪問した人
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。
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