▲スポーティなエンジンを搭載していても、見た目は普通なトヨタのワゴンに注目 ▲スポーティなエンジンを搭載していても、見た目は普通なトヨタのワゴンに注目

ワゴン+スポーティな「4A-G」エンジンという異色な組み合わせ

トヨタの「4A-G」エンジンといえば、言わずと知れたテンロク(1600cc)のスポーツエンジンの雄です。

1983年に登場した、カローラレビン/スプリンタートレノ(いわゆるAE86)に初めて採用されて以来、多くのユーザーに愛され続けたエンジンと言えるでしょう。搭載された車種もカローラ/スプリンター系の他にも、セリカ、カリーナ、MR2など多くの車種に採用されていました。

そんな4A-G搭載車の中でも、異才を放つ車種がカローラワゴンではないでしょうか?

セダン譲りの室内空間にゆとりの荷室。扱いやすい5ナンバーサイズに4A-Gの組み合わせというのは現代には存在しないものなのです。

といっても、実はカローラワゴンに4A-Gが搭載されていたのは実は1世代のみ。しかもモデル途中で追加されるという希少モデルでもあるのです!

トヨタ カローラワゴン(3代目)

▲1966年デビューと長い歴史を誇るカローラ。初代からワゴンボディは設定されていましたが、当初は商用バンの設定のみで(海外はワゴン有)正式にワゴンが登場したのは4代目カローラの時代でした▲1966年デビューと長い歴史を誇るカローラ。初代からワゴンボディは設定されていましたが、当初は商用バンの設定のみで(海外はワゴン有)正式にワゴンが登場したのは4代目カローラの時代でした

1991年にカローラが7代目になると、ワゴンも同時にフルモデルチェンジが行われ、ワゴンとしては3代目へと進化します。

デビュー当初は4A-Gを搭載するグレードは設定されていませんでしたが、1995年にカローラが8代目へとフルモデルチェンジを行ったタイミングで待望の4A-G搭載グレード「BZツーリング」が追加されたのです。

ワゴンに搭載された4A-Gは最後期の通称「黒ヘッド」と呼ばれるもの。1気筒当たり5バルブの20バルブヘッドを搭載し、7800回転で165psを絞り出す高回転型ユニットです。

▲組み合わされるミッションは5速MTと4速ATの2種類で、1997年にはMTが6速化されているのも注目ポイントでしょう▲組み合わされるミッションは5速MTと4速ATの2種類で、1997年にはMTが6速化されているのも注目ポイントでしょう

もちろんワゴンですから広い荷室は大きな魅力です。またBZツーリングには、小物の収納に便利なデッキアンダートレイや防犯効果もあるトノカバー、荷物が暴れるのを防ぐカーゴネットも標準装備なので、実用性も高いと言えます(これらのアイテムが欠品していないか注意)。

▲リアシートのクッションを引き上げてから背もたれを倒せば、ほぼフラットなラゲッジスペースが現れます▲リアシートのクッションを引き上げてから背もたれを倒せば、ほぼフラットなラゲージスペースが現れます

そんなカローラツーリングワゴンBZツーリングは決して新車時に大量に売れた車両ではありませんが、その希少性、特殊性から中古車市場に現存するカローラツーリングワゴンのほとんどがBZツーリングという状況です。

執筆時点でも7台中6台がBZツーリングですからその率85%! しかも同時期の同じエンジンを搭載したレビン/トレノはものによっては総額100万円近い価格のものもあるのに対し、カローラツーリングワゴンは総額50万~60万円ととってもリーズナブル。

レビン/トレノのようにゴリゴリに走り込まれた個体も少ないでしょうから、今がまさに狙い時といえるかもしれません。

ちなみに、同世代のスプリンターカリブにも同じくBZツーリングが設定されており、こちらは1世代新しいE110系のシャシーを採用しているのですが、中古車のタマが全然ないので今回はスルーしました(汗)。

text/小鮒康一
photo/カーセンサーnet