Q.店員に確認したのに購入した車が
    駐車場に入らなかった。この責任は?

かなり車体の大きな車を購入しました。車庫入れが不安だったので、駐車場の状況を説明したところ、販売店の店員さんからは「たぶん大丈夫」の答え。信用してたのですが、実際に駐車場に入れようとすると入りませんでした。この場合、新しい駐車場を借りる敷金や礼金を販売店に請求できますか?

A.数字や図面など客観的アドバイスに基づく場合
    損害賠償の請求ができるでしょう

店員が間口や奥行きなどの細かい数字や駐車場の図面などを見た上で行ったアドバイスの場合は、損害賠償の請求をすることができるでしょう。駐車場に入ることが購入を左右する要件、つまり駐車場に入るから購入したのであれば「動機の錯誤」にあたり、契約は無効とも考えられます。ただこれが、数字など客観的な事実に乏しく「多分入りますよ」とか「大丈夫ですよ」程度のアドバイスの場合は、責任を追及することは難しいと思われます。

駐車場が狭いなどの特別な理由があり車庫入れにテクニックが必要な場合などは、特に注意が必要です。例えば、間口1.7mの駐車場に横幅1.6mの車。事実だけを伝えれば「幅的には大丈夫」となります。ただ、普通の人が無理なく駐車できるかというと疑問が残ります。もちろん、店員は一言伝えたほうが親切ですが、それを伝えなかったからといって責任を追及することはできません。

そもそも、駐車場を実際に見ているのは客本人です。いくら理論上の話をしても、条件によっては車庫入れが難しい場合もあるはずです。駐車場に入るかどうかの判断は自己責任で行うべきです。

ちなみに、賃貸の駐車場に敷金、礼金がかかる場合があることを知らない人もいると思いますが、これは法律上はなんら問題はありません。そもそも敷金は賃料不払いや原状回復に備えてお金を預けているもので、契約終了時には返還されるのが原則です。

第48回:事前に確認したのに車が車庫に入らなかった場合は!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

動機の錯誤(どうきのさくご)
人の主観的な認識と客観的な事実との間に誤解を生じている状態。特定の性能を求めて購入しようという客の意志と表示から推測される商品の性能などの不一致をいう