Q.塗装が塗りなおされていたことに
    購入後気づいた! 返金してもらえる?

先日購入した車が、オールペインティング(塗装を塗り直すこと)されたものだとわかりました。販売店にクレームをつけたところ、「一見してわかるカスタムパーツを付けてる場合、これカスタムパーツですなんてわざわざ言わないでしょう。オールペインティングも見ればわかるもの。お客さん、自分の目で確認したでしょう」と言われました。オールペインティング以外は全く問題はないのですが、納得がいきません。返金してもらうことはできますか?

A.現物を見て購入している限り
    返金してもらうことは難しいでしょう

そもそも、オールペインティングされた車が「ほぼ新車に近い状態だったか、逆に古い車か」によっても価値判断が変わります。比較的新しい車だった場合は、オールペインティングによって価値は下がることが考えられます。逆に古い車で、純正の塗装面が剥がれるなどしている場合には、オールペインティングは修理に近い作業にあたります。この場合、修理ですから文句を言う筋合いではありません。

そこでここでは、今回の相談が、オールペインティングによって価値が下がるほどの新しい年式の車だったという前提でお話しします。

一般的な常識で言えば、販売店は告知するべきだったと思われます。しかし、オールペインティングは走る、曲がる、止まるといった走行自体に影響を及ぼしたり、安全自体に大きく問題がある作業ではないので、重要事項の不告知にはあたらないでしょう契約を解除し返金してもらうことは難しいと言わざるをえません

中古車は「特定物売買」になり、売り主側に「瑕疵担保責任」が発生するので、一見してわからない瑕疵(欠陥)には事前に説明する義務があります。しかし、オールペインティングに関しては、買い主が現物や塗装された個所を見て判断をしています。一見してわからない欠陥にあたるかどうかは微妙なところです。

ただし、限定色で人気のある色に塗り替えてある車を、「純正色です」と言って売った場合には、最初から騙すつもりで悪質が感じられます。これらは事実をねじ曲げているので明らかに違法です。悪意があれば詐欺罪も考えられるので返金の要求はできるでしょう。また、「塗装の状態がよいのでお買い得ですよ」などと言って売った場合も、ある程度、販売店に責任を取って貰うことができるかもしれません。
法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

重要事項の不告知(じゅうようじこうふこくち)
消費者契約法では、勧誘に際して目的物の質などの重要事項に関し、事業者が消費者の利益になる旨を告げ、かつ、不利益となる事実を故意に告げなかった場合、誤認した消費者は申し込みを取り消すことができる。
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)
買い主に過失がない状態で、売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があることを知らなかった場合、買い主は売り主に損害賠償の請求が可能。また、売買の目的が達することができないときは、契約を解除することができる。