Q.納車直後の整備不良は誰の責任ですか?      

納車された車を受け取りに販売店へ。無事車を受け取り、ドライブがてら遠回りをして家に帰ることにしました。が、その途中で、「ウインカーがついていない」という理由で白バイに停められ、違反切符を切られました。確かに、ウインカーの電球は切れていたのですが、納車されたばかりの車だから、責任は販売店にあるはずだと思うのですが…。違反をなかったことにはできないのでしょうか?

A.違反の事実を覆すのは難しいでしょう      

ウインカーで指示を出さずに右左折、車線変更などをした場合は「合図不履行」で道路交通法違反に問われます。もしも、ウインカーが壊れている場合には、手信号で方向を示す義務があります。

それでは、手信号を利用すればウインカーを設置する義務はないのか?また、故障したままでいいの?かといった疑問があるかもしれませんが、もちろんそんなわけはありません。ウインカーが壊れたままで運転をすると「整備不良車両の運転の禁止」で道路交通法違反となります。質問のケースでは、整備不良で違反切符を切られたのか方向指示を行わずに切符を切られたのかわかりませんが、いずれにしろ違反切符を切られたのは妥当でしょう。

質問にあった責任の所在ですが、販売店だけでなく運転者にもあります。なぜなら、運転者には「日常点検」が義務づけられているからです。その日最初に運転する人は、毎回、自動車の各装置が正常に機能するか?ブレーキオイル、冷却水、エンジンオイル、燃料が十分か?異音・異臭はしないか?タイヤの空気圧やキズの有無、ホイルナットのゆるみはないか? などをを点検する義務があります。販売店で車を受け取り、運転をする前には、本来はこれらを点検しなくてはいけません。

販売店から家に帰る途中ですから、納車間もなく起こったトラブルなのでしょう。そんな短時間で故障してしまう程度の整備しか行っていなかった販売店にも責任はありますが、それが違反を無効にするだけの根拠になるとは思えません。また、その故障が球切れなど予想がつかない故障の場合は、販売店に対して違反金分の損害賠償請求を行うのは難しいでしょう。ウインカーを無料で修理してもらうぐらいが関の山です。

納車後だけでなく、運転の前には、各部位が作動するかをしっかりと確認するようにしてください
法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

合図履行義務(あいずりこうぎむ)
車の運転者は、左折、右折、転回、徐行、停止、後退、同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器または灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで合図を継続しなければならない
整備不良車両の運転の禁止
道交法第62条に定められている。車は保安装置を適切かつ有効に備えなければならず、かつ不法改造などをしてはいけない。ちなみに、ウインカーは黄色以外の灯火に変更すると不法改造となる