Q.店員がいった「いい車」を信用して買ったのに…。
      評判の悪い車だった!

販売店まで見に行った車。店員さんの話を聞くと「すごくいい車ですよ。デビュー当時も話題になったし」とのこと。その言葉を信じて購入したのですが、車に詳しい友人からは「評論家の評価も低いし、可もなく不可もないつまらない車」とバカにされました。店員さんは、つまらない車をいい車とだまして売ったことになります。納得がいきません!

A.あくまでセールストークなので
      販売店に非を認めさせるのは難しいでしょう。

これはセールストークの範囲内に入るでしょう。わざわざ商品を悪く言って、購買意欲を萎えさせるような店員は、店側からすると店員失格です。そもそも、いい車といっても、デザインがいい、ハンドリングがいい、燃費がいいと要素はいろいろです。店員は、当然いい部分にスポットを当てて紹介をします。例えば、燃費はいいけど、エンジンにパワーがない車。わざわざパワーがないことを強調するより、燃費がいいことを強調するのは当たり前でしょう。

大事なのは、いい車の「いい」が自分のカーライフに合っているか見極めることです。もちろん、そのためには客側もある程度の勉強は必要でしょう。また、ハンドリングや乗り心地などは個人の主観に左右されるものです。店員の「いい」は店員の基準。もちろん、評論家の「いい」もあくまで評論家の基準。やはり、試乗などを通し、自分の基準で良さを確かめることも大事です。車のいい部分だけを誇張して、悪い部分を教えてくれない店員は、不誠実ではありますが、違法ではないということです。

それでは、どういった場合に返金や返品、損害賠償を求めることができるのか。これは、客観的事実を偽ったり、重要事項告知義務を怠ったりした場合です

例えば、200馬力の車を280馬力と偽る。排気量を偽る。これらは事実をねじ曲げているので明らかに違法です。悪意があれば詐欺罪も考えられます。また、修復歴の有無を偽ったり、メーターの巻き戻しによる走行距離の詐称も同じです。今は故障していなくとも、走行にかかわるようなトラブルが出現する可能性がある場合、それを伝えないと「善管注意義務」を怠ったとも考えられるでしょう。
法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

詐欺罪(さぎざい)
人を欺いて財物を交付させ、または欺かれたものの処分行為により財産上、不法の利益を得る行為のこと。成立要件には、故意に相手を欺く。財産上の利益が相手に移転し、損害が実際に発生していることなどが必要。未遂罪も罰せられる。
重要事項不告知(じゅうようじこうふこくち)
消費者契約法では、勧誘に際して目的物の質などの重要事項に関し、事業者が消費者の利益になる旨を告げ、不利益な事実を故意に告げなかった場合、誤認した消費者は申し込みを取り消すことができる。