すぐ目の前の未来_その2:日本のディーゼル車普及の、夜明けは近い?

  • 日産エクストレイル20GT フロントスタイル|ちょい乗り試乗
  • 日産エクストレイル20GT エンブレム|ちょい乗り試乗

地球温暖化やガソリン高で“クリーンなエコカー”が注目される中、各自動車メーカーが取り組んでいる次世代のエコカー。今回は日産のディーゼル車を取り上げます。ディーゼルの排気ガスが大きな社会問題となって以来、日本では久々のディーゼルエンジン搭載モデルの登場です。

そもそもディーゼルエンジンは、燃焼効率がガソリンエンジンに比べて良い→その分CO2の排出量が少ないのがメリットです。一方でNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)などの有害物質が出るデメリットがあります。

このNOxやPMを規制する法律の中で、世界でもトップクラスの厳しさと言われているのが「ポスト新長期規制」です。これは2009年10月から施行されます。そんなポスト新長期規制に世界で初めて適合したのが日産のエクストレイル20GTです。

今回発表されたのは6MT仕様車。
日産の技術者いわく「GT(グランドツーリング)らしい走りを味わえるので」MT車にしたそうですが…。今回MT車のみにした理由の1つに、AT車では10・15モード燃費のインパクトがなかったのでは?ということが挙げられます。6MTディーゼル車の10・15モード燃費は15.2km/L。同等出力の2.5Lガソリン車の燃費11.6km/Lと比較すれば低燃費ですが、同じ排気量の2Lガソリン車の燃費は13.6km/Lです。これだと、なんとか差があるねという数字。ディーゼルのAT車ならおそらく14km/L台でしょうから、ありがたみがずいぶん薄くなります。
また、MT車のみにした理由のもう1つに、とにかく早く出したかったこともあるかもしれません。ディーゼルエンジンの大きなトルクを受けられるATを準備するにはまだ時間が必要なはず。それを待っていると他社に先んじられてしまう。そんな思惑が働いたのかも。今年末には他社でディーゼルエンジンのセダンが登場するという噂もありますし。いずれにせよエクストレイルにもきっとAT車が出てくるはずです。
  • 日産エクストレイル20GT エンジン|ちょい乗り試乗
  • 日産エクストレイル20GT インパネ|ちょい乗り試乗
  • 三菱パジェロ ディーゼル車|ちょい乗り試乗

さて、まずはエンジンをかけてみると…確かにディーゼルらしい音はしますが、かなり抑えられています。さらに、走り出すとそういった音は消えていき、むしろディーゼルならではの太いトルクのおかげで力強く、気持ちのよい走りが楽しめます。
実際、データでは、0-100km/hが9.5秒。2.5Lガソリン車(CVT)が10.0秒ですから、速いんです。燃費、CO2排出、燃料費などの面でメリットのあるディーゼルですが、一番の魅力はこの太いトルクではないでしょうか。
音振対策には相当力を入れたそうで、例えば「エンジンルームは、穴という穴を地道にふさいでいった」(日産の技術者)など、各所に対策が施されています。
ちなみに、欧州のエクストレイルをベースに作られたせいか、グリルは欧州モデル同様で、またポップアップステアリング機構はなく、撥水防水加工シートでもありません。すでに1000台以上の受注(2008年10月6日時点)が決まっているようです。

実は、三菱のパジェロディーゼルにも試乗する機会がありました。こちらはポスト新長期規制ではなく「新長期規制」のみに適合したモデルです。つまりポスト新長期規制が施行される2009年10月以降には生産されなくなります。今回、乗ったのはAT車でした。「市場からのディーゼル待望に応えるため」(三菱の技術者)投入したそうです。日産に負けじと取り急ぎ新長期規制で出してきた感がありますが、いずれはポスト新長期規制に対応するモデルが発表されるはずです。

これまでのディーゼル=悪というイメージを覆すようなクリーンディーゼルがようやく日本でも登場しつつあります。あとは市場、つまり私たちの要求がさらに高まれば…。環境面でもパフォーマンスでも魅力あるディーゼルが、もっともっと販売されてほしいですね。
<カーセンサーnetデスク・ぴえいる>