輸入中古車評論家が惚れた国産車「スバル レヴォーグ」。約2年乗った今、正直なレビューと購入検討者へのアドバイスを公開!
2022/09/26

リアルオーナだからこそわかる○と×
長らく輸入中古車評論家として、数々のモデルを見て触れてきた伊達軍曹。
自身の愛車遍歴も輸入中古車が中心だったが、ある時急に国産モデル(しかも新車)に乗り替え、現在は現行型 スバル レヴォーグに乗っている。
果たして彼に何が起こったのか? そして輸入車ばかりだった彼は国産車で満足しているのだろうか?
今回はレヴォーグを購入するに至った経緯、そして約2年ほど乗った「リアルオーナー」だからこそわかる良い点悪い点を、自身の言葉で語ってもらおう!

輸入中古車評論家
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
輸入中古車評論家、新車のスバル車を買う
輸入中古車まみれの人生を送ってきた。
せっかくまぐれで入ったまあまあ有名な会社を早々にドロップアウトし、人生初の輸入中古車であった87年式ルノー 5バカラを入手した頃、輸入中古車情報誌の編集者へと転身。編集者時代は初代ルノー メガーヌ クーペ16Vや、コスワース製エンジンヘッドを搭載したメルセデス・ベンツ等々に乗った。もちろんすべて中古車だ。
輸入中古車情報誌の仕事を約10年間勤め上げて退職したと思ったら、今度はなぜか「輸入中古車評論家」を自称してミニやアルピナ、シトロエン 2CV、アルファロメオ GTV、空冷エンジンのポルシェ 911等々を乗り継ぎ、しまいには「宇宙で一番壊れる車」との伝説を持つランチア デルタ インテグラーレを購入するに至った。
となれば、普通に考えて「次は英国の旧車か? それともいっそ中古フェラーリに手を出すか?」などの展開が予想されるわけだが、デルタ インテグラーレ エボIIの次に選択した車種は、自分自身の想像をも超えていた。
徒歩で近隣のディーラーへ行き、「スバルの新車」を買ったのだ。
ディーラーで紙コップに入ったコーヒーを飲みながら注文したのは、現行型のスバル XV。今から5年前のことだ。
そのXVに3年間乗り、そして現在の愛車である現行型スバル レヴォーグ STIスポーツEXに乗り替えた。これも、近隣のディーラーで紙コップ入りコーヒーをいただきながら注文した新車である。

今現在も「輸入中古車評論家」を自称し、そして「ちょっと古めの輸入車」を愛してやまない私が、なぜスバル車を、しかも新車のそれを、購入することになったのか?
理由は、ある瞬間からスバル車のことを「とてつもなくカッコいい!」と感じるようになったからだ。正確には「愛おしい!」という感情に近いだろうか。
いや聞いてほしいのだが、スバルの車は本当に愛おしいというか“かわいい”のですよ。
航空機メーカーだった「中島飛行機」を源流としているだけあって、スバルは走行性能や、安全を担保する意味で「ネジ1本にいたるまでの品質」に徹底的にこだわっているのは周知のとおり。
そしてそのこだわりにより、我々のような一般ドライバーが運転した際にも「……この車、なんかいいな」と確実に感じさせるだけのきわめて良好な操縦フィールが炸裂しているというのも、おそらくはご存じのとおりだ。
その半面――というか“走り”や“安全”にあまりにもこだわりすぎているからなのか、スバルの車はいろいろと少しずつダサい。
スバル車およびスバルというブランドの“ダサポイント”はいろいろあるが、代表的な点をひとつ挙げるとしたら「フォルム」だろうか。
スバルの車は後部視界などを良好にするため、「本当は車の後端をももう少し絞ればシュッとしたフォルムになるのに……」という場合でも、車両の後端をガバっと広くしたりする。そのため、フォルム的には若干カッコ悪くなる場合が多い。

だが、そこで私は思うのだ。「それって本当に“カッコ悪い”のだろうか?」と。
「カッコいいフォルムの車」とは、「たとえ後方視界が悪くなっても、デザイン上の理由により後端を絞り込んだ造形の車」のことを指すのか?
違う――と、私は思う。多少不格好になったとしても「真剣に、本気で“安全”を追求すること」の方が、人の生きる道としては100億倍カッコいいと思うのである。
たとえて言うなら、人類の危機を救うための研究に没頭しすぎて、まったく風呂に入れていないおじさん科学者の汗臭さは、特に何もしていないイケメンがつけている香水の香りよりも“いいにおい”であり、“愛おしく感じる”ということだ。汗臭いたとえ話で大変恐縮だが。
まぁそんなこんなで「スバル車のダサカッコよさ」という雷に打たれた私は現行型XVを新車で購入。それに3年間乗って「うむ、やはりイイ!」と完全納得したタイミングで登場が予告された現行型のレヴォーグSTI スポーツを、迷うことなく予約注文したのだ。

私が現行型レヴォーグ STIスポーツEXを注文したのは、確か2020年の秋頃。その当時注文可能だったスバル車は「新型レヴォーグ」以外にもフォレスターやらインプレッサ スポーツやら、いろいろあった。
だが、「技術オタク(?)たちが作るスバル車の魅力を真に味わうには、最新の技術が投入される車種を選ぶに限る!」と私は考える。
そのため、ザックス製の電子制御ダンパーを基本とする「ドライブモードセレクト」が新たに採用されると聞いた新型(当時は次期型)レヴォーグを選ぶことに、その中でも電子制御ダンパーとアイサイトXを採用する「STIスポーツEX」を選択することに、一切の迷いはなかった。いわゆる“一択”である。
そして2020年の年末ギリギリに納車されたマグネタイトグレー・メタリックのレヴォーグ STIスポーツEXは……控えめに言っても最高だった。

購入を検討している人に強くオススメしたい装備
各所で言い尽くされていることだとは思うが、最新世代のアイサイトはやはり優秀というか「きわめて自然(まるでベテランドライバーが運転しているかのよう)」であるため、もはや私にとっては手放せない“装備”のひとつとなっている。
アダプティブクルーズコントロールやアイサイトXの各種機能というのは「常に使用する」という感じのものでもない。なぜならば、スバル車に限らず「操縦フィールが良好な車」というのは、なるべくなら自分で手動運転をした方がより人生が楽しくなるため、「機械まかせにするのはもったいない」と思ってしまうからだ。
しかし、人生にもドライブにも「退屈でどうでもいい時間帯」というのは必ずある。そんなときは迷わずアイサイトまかせにすると、「退屈でどうでもいい時間帯」を有意義にやり過ごすことが可能になるのだ。特にアイサイトXの「渋滞時ハンズオフアシスト」は、退屈で苦痛な渋滞を「なかったこと」にできるとすら言えるだろう。
そのためこれから現行型レヴォーグの中古車を買う人には、筆者としてはグレードを問わず「EX=アイサイトX付き」を断然オススメしたい。まぁ非EXの現行型レヴォーグはそもそも流通量が少ないが、間違って、あるいはほんの少々の予算をケチって非EXを選ぶことがないよう、念を押しておきたいのである。

乗り味に関しては「下町のアルピナ」という表現が適切だろう。
アルピナとは、ご存じのとおり「BMWの車をさらに緻密に組み上げ直した」というニュアンスの少量生産車。そのエンジンと足回りの感触は「このうえなく甘美!」と言えるものだ。まぁ甘美な分だけ、新車価格は1000万円を軽く超えるのだが。
しかし現行型のスバル レヴォーグ STIスポーツは、約409万円の車両価格で「おおむねアルピナに近い乗り味」を実現させている。あくまで「おおむね」であるため「下町の」という前置きが付くわけだが、それでもこのコストパフォーマンスの高さには絶句するほかない。
最高な車だが「ざんねん」な点もある
とはいえ、そんな現行型スバル レヴォーグ STIスポーツEXにも欠点がないわけではない。
これを「欠点」と呼ぶべきかどうかはさておき、先ほど激賞したアイサイトXも「渋滞時ハンズオフアシスト」以外の機能は、特に「料金所前速度制御」と「アクティブレーンチェンジアシスト」は、筆者個人としては「あまり意味がないかな……」とも感じている。
また、明らかな欠点というか残念な点は「燃費」だろう。
1.8Lターボエンジンを搭載する現行型レヴォーグ STIスポーツのWLTCモード燃費は16.5km/L。ストップ&ゴーが少ない郊外にお住まいのユーザーはこれに近い実燃費、あるいはカタログ値以上の実燃費をマークする場合もあると聞いている。
だが、「ストップ&ゴーだらけ」と言える東京23区内に住まう筆者の場合は、新車時から1年半の平均燃費は10.5km/L。「特にエコドライブを意識しているわけではないから」というのもあるだろうが、だからといって暴走行為をしているわけでもない。都内を中心にごく普通に運転していると、このぐらいになってしまうのだ。

現行型スバル レヴォーグ STIスポーツは、新車価格は1.5倍ほどになる「輸入Dセグステーションワゴンのディーゼルターボ車」にもおおむね匹敵する走行性能と走行フィールを備えた1台である(と、自身が行った比較試乗の結果から確信している)。
だからこそ、このイマイチな実燃費が「ざんねん」に感じられてしまう。まぁガソリンがハイオクではなくレギュラー指定なのが救いではあるのだが。
また、ドライブモードセレクトを「Sport+」にすれば、現行型レヴォーグ STIスポーツは相当速く走ることも可能な車だが、そのエンジンフィールは「下町のアルピナ」的なもので、決して「下町のBMW M」的ではない。つまりガオーッ! と暴力的に吠えるわけでなく、良く言えばジェントルに、あえて悪めに言うなら「おとなしい感じ」で回るエンジンなのだ。

筆者はもはやおっさんなので「ジェントルでおとなしい感じ」のエンジンが好みなのだが、ある種の人は、そこに物足りなさを覚える可能性もあるだろう。
そういった「ガオーッ!」系のエンジンがお好みの方は、同じ現行型レヴォーグでも2.4Lのターボエンジンを搭載する「スバル レヴォーグ STIスポーツR EX」をオススメしたい。
2.4Lターボエンジンも「Normal」モードだとかなりジェントルだが、「Sport」または「Sport+」にすると超絶ガオーッ!系に大変身する。STIスポーツR EXの中古車も2022年9月中旬現在、登録済未使用車みたいなやつが6台ほど流通しているようだ。
現行型レヴォーグはこんな人にオススメしたい

そんなこんなの現行型スバル レヴォーグに筆者は大満足しながら乗っているわけだが、この素晴らしさは当然ながら、私以外の各位にも味わっていただきたいと思っている。
あなたが現行型レヴォーグを買ったところで私には1銭の裏金すらも入ってこないが、そういう問題ではない。
「だって、いいモノについての情報はシェアしたいじゃないですか!」という話である。
現行型スバル レヴォーグは、おそらくは下記のような方々に向いているだろう。
●荷物は積みたいが、いわゆるドライビングプレジャーもあきらめたくない人
●現在はスポーティな何かに乗っているが、同居家族から「ファミリーカーに買い替えろ!」とのプレッシャーを受けている人
●昔から輸入車が好きで、国産車にはあまり興味がなかったが、近頃は「国産車というチョイスも悪くない……かな?」と思い始めている人
●長距離高速移動をけっこう頻繁に行っている人
●最近の車としては燃費がイマイチでも「ま、いっか」と思える人
上記のような人にとって現行型スバル レヴォーグが「最高」かどうかはわからない。しかし「最高に近い選択肢のひとつ」であることだけは、現役のオーナーとして断言したい。
ご興味のある方は、ぜひ。
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