レクサス IS ▲次期ISのバリエーション拡充としてワゴン投入が検討されている。トヨタとしてはメルセデス・ベンツ Cクラスや、BMW 3シリーズのようなファミリーを構築したい考えのようだ

豊富なラインナップ展開となるのか?

トヨタが既存のものとは異なる新しいFRプラットフォームを開発しているようだ。大型モデル用の既存のFRプラットフォーム採用車が増えない中、新規でプラットフォームを開発する理由はスポーツカーに転用できる軽量版が欲しくなったからだ。

とはいえ、プラットフォームを起こすにはそれなりの企画台数が必要だ。スポーツカーだけで開発費を回収するのは難しいだろう。

では、トヨタは新FRプラットフォーム採用車の台数をどのように稼ぐのか。カギを握るのは次期ISだ。「しょせん、ISなんてセダンの1機種でクーペのRCを含めても販売台数を稼げるはずもない」。誰もがそう思うだろう。

だが、トヨタ社内では次期ISをファミリー化する壮大なプロジェクトが検討されている。現在のセダンとクーペ(RC)に加えて、ワゴンとSUVもラインナップする案が進行しているという。

まさに、カローラに続いてクラウンでも実践される群戦略だ。「BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスのようにすべて揃っています的なことをしたいようだ」と内部事情に詳しい関係者は話す。
 

懸念事項は味方同士の食い合いか

しかし、このプラン立ち上げに伴って新たな問題が浮上している。同じレクサス商品群の中で車格が近いNXとの関係だ。

仮にIS版SUVを用意したところでNXとサイズや価格が重複してしまう。そこで、NXとIS版SUVを統合する案が浮上しているが、現行NXは2021年に発表されたばかり。数年以内に世代交代させるには早すぎる。

また、上級のRXとの関係も気になってくる。IS版SUVをFRプラットフォームで成り立たせたとして、RXがエンジン横置きのFFシャシーでいいのか。こうした懸念も生じる。
 

レクサス IS▲2021年12月のBEV戦略説明会で披露されたレクサスの電動サルーンは次期ISの姿を暗示か。この他、大型SUVやスポーツカーなどいくつものデザインスタディが並べられた

最後のエンジン搭載世代となる次期IS

電動化を見据えてレクサスは2030年に主要マーケットで商品ラインナップを100%BEV化する。逆算すると新FRプラットフォーム採用車は最後のエンジン搭載世代となり、モデルライフ途中でBEVに転用できる汎用性も計画に含まれている可能性がある。

年内にデビューする新型RXも同じく最後のエンジン搭載世代となり、次のモデルチェンジではBEVに変身する公算が大きい。

BEV化への過渡期に登場する新FRプラットフォームのエンジン搭載車はどのようにポジショニングされるのか、今から目が離せない。
 

文/マガジンX編集部
写真/マガジンX編集部、レクサス