バイク用「トランスポーター」に注目! 人気ビルダーに最新事情も聞いてみた
カテゴリー: クルマ
タグ: トヨタ / マツダ / 三菱 / ダイハツ / ランドローバー / ミニバン / SUV / 軽自動車 / トラック / ハイゼットトラック / ハイエースバン / デリカトラック / ディフェンダー / プレマシー / 高橋満
2022/06/27
ラリー会場で、参加者のトランスポーターをチェック!
雑誌版カーセンサーの連載「夢の6輪LIFE」で編集を担当している高橋です。フェルディナント・ヤマグチさんが、オフロードバイク(2輪)とトランスポーター(4輪)にまつわるコラムを展開する当連載。最新の6月20日発売号では、フェルさんが参加したラリーのレポートが読めますが、同行した私が見たことや聞いた話もおもしろかったので、ぜひ紹介させてください!
まずは、ラリーに出場していた方々のトランスポーター。オフロードーバイクは多くの方が車にバイクを積んで現地入りします。その『積み方』が多種多彩! 個人的に気になったトランポ&積み方を紹介します。
オーナーの個性やこだわりが詰まったトランスポーター&積み方
1台目は1990年式のランドローバー ディフェンダー。リアにヒッチキャリアを付けてオフロードバイクを横向きに積載しています。
「どんな道でも入っていける屈強な機械式4WDを搭載するディフェンダーはオフロードをやっている人間にとって最強」とのこと。110(ロングボディ)の広い室内空間は、オフロードで使う様々な道具をたっぷり積むことができるそうです。
2台目は、最終型プレマシー。折りたたみ式のバイクトレーラーを引っ張っています。トレーラーのメリットは競技に参加してドロドロになったバイクをそのまま積載できること。バイクを積んだ状態でそのまま洗車することもできます。
このトレーラーは軽自動車登録。けん引した状態で高速道路を走行する際は引っ張る車と合わせて中型車の料金になります。
引っ張っているプレマシーはFF車ですが、もともとけん引を想定したセッティングになっているらしく、バイクを引っ張るくらいなら全く問題ないとのことです。
ミリタリー感溢れるこのトランスポーターは、3代目デリカトラックをリフトアップしたもの。リアにパワーゲートが付いているので、車高が高くなってもバイクの積み込みに不自由はないそう。ヒッチメンバーも付いているので最大6台のバイクを積むことができるそうです。
こちらは、ダイハツ ハイゼットトラック。日本独自の車文化として発展してきた軽トラックはオフロードバイクのトランスポーターとしても人気。コンパクトな荷台にはバイクを斜めに積み、空いたスペースにラリーで使う道具をたっぷり積むことができます。
2日間行われるラリーではほとんどの人がトランスポーターの中で車中泊をしますが、軽トラの方は荷台の上にソロテントを設営していました。こうすることで地面からの湿気を防ぐことができ、快適に寝られるそうです。今流行のオーバーランドスタイルに近い発想ですね。
オフロードバイクを運ぶ花形といえばやはりハイエース。今回のラリーは60台近いバイクが参加していましたが、2/3くらいの人がハイエースをトランポで利用していたと思います。
ワイド&スーパーロングボディからナローボディまで、みなさん思い思いの形でハイエースを使っていました。
この写真はナローボディの車内を使いやすいようDIYしたハイエース。左側には小さなパーツをなくさないようマグネットでとめ、右側はヘルメットなどをかけられるように。バックドアにはオーディオのファンを流用した換気扇を付けて車内の匂いを外に出せるようにしていました。リアバンパー下にはボディ下のスペアタイヤ部分に設置した給水タンクの蛇口が付いているので泥などを水で流せるそうです。もちろん断熱や防振対策も施されています。
ちなみに、オーナーさんはこの構想をじっくり練り上げた後、2ヵ月ほどで一気に作り上げたそう。すごすぎます!
ビルダーに最新事情を聞いてみた
今回取材したラリーは、広島県にあるトランスポーター製作工房・ダイワカーズが主催したもの。せっかくなので、フェルさんがラリーで頑張っている間に、ダイワカーズ代表取締役の行久勝裕さんに最近のトランポ事情について、いろいろ聞いてみました。
◆参加者のトランポを見てみても、やっぱりハイエースが人気のようですね。ハイエース人気は今に始まったことではありませんが、カスタムの要望には変化があるのでしょうか?
「最近は“運ぶ”に加えて“快適性”を求めるが増えています。とくに2台目、3台目のトランポを選ぶ方でその傾向が顕著ですね。かつては車の中で雑魚寝できればいいという方が多かった印象です」
◆快適性というのは具体的にどのようなことでしょうか?
「ひとつは車内で快適に休憩したり、ぐっすり寝たいということ。もうひとつがバイクを楽に積めて撤収も楽にできるようにしたいということです。ちょうど200系ハイエースのスーパーロングが登場したくらいからそのような要望が増えてきた気がします」
◆車内を快適にするということは、8ナンバー登録(キャンピングカー)する方が主流ですか?
「200系が出てしばらくは8ナンバーの方が多かったですね。最近は1ナンバーでよいという方が増えてきました。1ナンバーは税金が安いというメリットがありますし、コンビニや道の駅があちこちにあるので炊事設備は必要ないという方が多いです。一方で、トイレを付けたいという方は増加傾向です。ラリーやレースだとスタート前にトイレが渋滞するので、自分の都合でトイレに行けるようにというのが理由ですね」
◆でもトイレを付けると後始末が面倒そうですね……。
「最近は処理が簡単なカセットタイプでいいやつが増えているので、家族で使う分には気にならないという人が多いですよ。トランポ用途はもちろん防災の観点からトイレを付けておきたいという人もいます」
◆先ほど「スーパーロングが出てから快適志向が高まった」というお話がありましたが、今はトランポ需要としてどんなボディタイプが人気なのでしょうか?
「そこは製作しているショップによって偏りがある部分です。弊社では圧倒的にスーパーロングを選ばれる方が多いですね。弊社がスーパーロングでデモカーを製作していることも影響していると思います」
◆今、トランポを選ばれる方から人気の装備はどのようなものでしょうか。
「電子レンジや冷蔵庫、エアコンといった電装品は欠かすことができないですね。あとは車内で快適に過ごすために荷物を片付けられる収納にこだわるお客様も多いです。そして弊社のお客様からは居住スペースと積載スペースを分けたいという要望が多いです。泥などの汚れ、そして排ガスなどの匂いを居住スペースに持ち込みたくないからというのが理由です。トランポは基本的にお1人またはお2人(夫婦)で使う方が多いので、ハイエースのスーパーロングだとバイクを積むスペース確保しても、2人でくつろげる空間を作ることができます。スーパーロングはワイドボディなので居住スペースのソファをベッドに展開すると2人でゆったり寝られる大きさになります」
◆使いやすいトランポを製作すると愛着もわきますよね。オーナーの方はどのくらいの期間乗っているものですか?
「10年くらい乗り続ける方が多い印象です。長く乗ると車検タイミングで装備を追加される方も多いです。東京からわざわざ弊社に車検を出される方もいらっしゃいますよ」
◆たしかにトランポは使っているうちに「ここをもっとこうしたい」という欲求が出てくるでしょうね。
「だからベースだけ弊社で製作して、細かい部分はご自身でDIYされている方もいます。そうすればまさに自分だけの1台になりますし、予算を抑えることもできますから」
◆ハイエースのスーパーロングはワイドボディでハイルーフですから車内は広大です。一方でハイエースを探している人たちから「たくさんの荷物を積んで長距離を走り続けると剛性面が不安」という声を聞くこともあるのですが……。
「私はスーパーロングでトランポを製作するようになって15年以上経ちますが、ボディのズレを感じたことはありません。逆にこれだけ大きな開口部があるのに剛性を保っていてすごいなと驚きます。ただ、バイクを降ろすときなどにバックドアを開けたままちょっと車を動かすという使い方をしていると、ドアの重みでズレが生じるケースはあるようです。車を動かすときは面倒でもドアをきちんと閉めて動かすようにしてほしいですね」
以上、実際に見て、そのこだわりを聞くだけでもワクワクが止まらなかったトランスポーター界隈のお話しでした。
トランポの購入を考えている方は、よかったら参考にしてください!
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL