▲ブーメラン型ランプと筋肉質なボディが与えられる2代目ジューク。日産とルノーが共同で幅広く使っていくCMF-Bプラットフォームが初採用される ▲ブーメラン型ランプと筋肉質なボディが与えられる2代目ジューク。日産とルノーが共同で幅広く使っていくCMF-Bプラットフォームが初採用される

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日産 ジュークは、コンパクトクロスオーバー市場を世界規模で開拓した先駆者だ。それだけに、日産はジュークの世代交代に頭を悩ませているはずだ。

ジュークが属するBセグメントには、それまでフォルクスワーゲン クロスポロのように、2BOXハッチバックをベースに化粧直ししたものや、ダイハツ ビーゴといったクロカン4WDは存在したが、クロスオーバーとしてここまで評価され、商業的に成功した車は過去なかった。

さらに、この市場を形成しただけでなく、デザイン面で大きなインパクトを放ったのもジュークの功績だ。奇抜とも言えるデザインながら、世界中で好意を持って受け入れられ、シトロエン C-1、フォルクスワーゲンのコンセプトカー「T-ROC」など、欧州メーカーが恥ずかしげもなくまねるほどなのだから、日産のモデルチェンジに向けての苦悩もわかるだろう。
 

▲2015年の東京モーターショーに出展された、グリップス コンセプト。往年のラリー優勝車へのオマージュだと説明されていたものだが ▲2015年の東京モーターショーに出展された、グリップス コンセプト。往年のラリー優勝車へのオマージュだと説明されていたものだが

2015年の東京モーターショーに出展された「グリップス コンセプト」をご覧になられた方も多いことだろう。この車は、S30型フェアレディ240Zのラリー優勝車にインスパイアされたものだという説明がされていたが、じつはそうではないらしい。開発中の次期ジュークのデザイン要素をコンセプトカーに盛り込んだものかも知れないのだ。

もしそうならば、次期ジュークの姿が見え隠れする。まずはデザイン。日産はジュークにも例外なくファミリーフェイスを織り込んで表情を統一したいようだ。しかし、これだけフォロワーを産んだ現行モデルを磨く選択肢もあるはず。もっとも、キープコンセプトながら、新しさを盛り込めるデザイン力が、いまの日産にあるか(?)だが…。

次にコンセプト。フォロワーの多くがBセグメントベースながら、Cセグメント並みのサイズに仕上がっているが、日産はCセグメントにキャシュカイ(日本でもデュアリスとして販売)を擁するとあって、次期ジュークのサイズ設定において悩んでいるようだ。居住性の改善要望は少なくないが、サイズを拡大すれば、キャシュカイの販売に水を差してしまう。

そこで、Dセグメント以上で台頭している、クロスオーバークーペの思想を次期ジュークに持ち込むアイデアもあるようだ。ただ、あのミニですら世界中から居住性の不満が集中してサイズを拡大しただけに、ディメンションには要注目だ。
 

▲突然変異とも言える奇抜なデザインをまとって、2010年に登場したコンパクトクロスオーバーSUVがジュークだ。同マーケットの火付け役となり、以後、国内外で各社が追随している ▲突然変異とも言える奇抜なデザインをまとって、2010年に登場したコンパクトクロスオーバーSUVがジュークだ。同マーケットの火付け役となり、以後、国内外で各社が追随している

次期ジュークは、技術面でも大きな意味を持つ。CMF(コモン・モジュール・ファミリー)のBプラットフォームが初採用されるからだ。CMFを簡単におさらいすると、エンジンコンパートメント、フロントアンダーボディ、コックピット、リアアンダーボディの4つにおいて、それぞれにハッチバック、セダン、SUV、MPVの各ボディタイプと複数のセグメントに適したサイズのコンポーネントを用意。これを組み合わせることで、開発&調達コストの削減が可能になるというもの。

搭載エンジンは、欧州で投入済みの1.2Lダウンサイジングターボが主力で、2016年夏にノートに追加されるハイブリッドも設定されるかもしれない。新プラットフォームと新ドライブトレインによる、走りの性能アップにも期待したい。
 

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2017年3月
■全長×全幅×全高:4200×1765×1565(mm)
■搭載エンジン:1.2L 直4ターボ 他

text/マガジンX編集部   Photo/マガジンX編集部、日産