▲海外ではレクサス ESとして販売されていたウィンダム ▲海外ではレクサス ESとして販売されていたウィンダム

日常の足に狙いたい見逃された中古車

一般的に中古車には“世代”によってある程度「価格のヒエラルキー」がございます。具体的には現行型が一番高く、旧型、旧々型とだんだん安くなっていきます。もちろん、ごくまれに世代間において僅差な中古車もあります。例えば、多走行車の現行型と低走行&程度抜群の旧型などです。

しかし、そんな一般的な法則を無視した中古車相場を形成しているのが最終型トヨタ ウィンダムです。移動の足として誰をも満足させる車なのに、車両価格40万円以下の物件が大半で、ものによっては総額30万円以下で狙えます。まさに超穴場と呼べるモデルでしょう。海外ではレクサス ESとして販売されていました。

3代目となる最終型ウィンダムが登場したのは2001年のことで、2006年には絶版となりました。カムリとプラットホームを共有していますが、2代目と比べるとグッと広くなっています。静粛性対策もしっかり施されていて「さすがレクサス車として販売されているモデル」と思わせてくれます。新素材の消音材を用いているばかりか、ピラーやルーフに発泡剤を充填するほどのこだわりようでした。

エクステリアに派手さこそありませんが、搭載するエンジンは日本では大きめの3L V6エンジンで必要十分なパワーを有していました。Gグレード以上には電子制御式サスペンションが採用され、最上級モデルにはトラクションコントロール、スタビリティコントロールなど、当時としては“高級”だったアクティブセーフティにつながる電子デバイスも標準装備しています。

▲インパネまわりのデザインはスッキリしていて、洗練された雰囲気を漂わせています ▲インパネまわりのデザインはスッキリしていて、洗練された雰囲気を漂わせています
▲車内は静粛性に優れ、海外でレクサスの名を冠するだけの高級感を備えています ▲車内は静粛性に優れ、海外でレクサスの名を冠するだけの高級感を備えています
▲トランク容量は591Lで旧型よりも45L増し。同クラスでも上位となる容量です ▲トランク容量は591Lで旧型よりも45L増し。同クラスでも上位となる容量です
▲搭載される3L V6エンジンは最高出力215ps、最大トルク299N・mを発揮します ▲搭載される3L V6エンジンは最高出力215ps、最大トルク299N・mを発揮します

一般的な中古車の法則が当てはまらない破格相場

そんな最終型ウィンダムですが、不思議なことに2代目の車両価格帯とほとんど変わりません。一部車両が、ではなく、車両価格のボリュームゾーンが20万~50万円で混在しています(2015年9月10日現在)。平均車両価格/平均走行距離を見ると最終型が約37万円/約7万9000kmで、2代目が約24万円/約7万5000kmとなっています。ユニークなのは中古車相場で、最終型が直近3ヵ月で約7万円下落したのに対し、2代目は約3万円上昇しています。

こんな不思議な現象、他の車では見られません。「2代目だからこのくらい、3代目だからこのくらい」という価格の目安すら存在していないように見受けられます。もしかしたら、2代目の方が人気があるのかもしれませんね。

たしかにデザインだけで語れば、個人的にはデザインは2代目の方がカッコよく見えます。よって人気のほども理解はできるのですが、3代目のお値打ち感がとても輝いています。高級感を備えながらもフルサイズセダンほどの威圧感はなく、むしろスマートにさえ見えます。

日常の足としては3Lエンジンは大排気量すぎる、という先入観もあって敬遠されているのでしょうか? いやぁ、もったいない。見逃されすぎです。運転が苦手な方にも、家族持ちにも、日常の足を探している方にも、老若男女問わずオススメできる車です。

text/古賀貴司(自動車王国)