「能ある鷹は爪隠す」的な世界各メーカーの防弾車たち
カテゴリー: クルマ
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2014/09/25
ベンツ製の防弾車は一般ユーザーでも買える!?
安全な車…と聞いて、皆さんがまず思い浮かべるのは、カメラやレーダーが危険を察知して警告してくれたり、ブレーキをかけてくれたり、一定の車間距離をキープしつつ先行車に追従してくれたりといった、最新のドライバー支援システムを搭載した車のことかもしれません。
しかし、今回ここでご紹介する「安全な車」とは、なんとマシンガンや手りゅう弾、毒ガス、火災など、かなり物騒な危険から乗員を守ってくれるという特殊な車。主に政府要人や国賓を乗せて移動する防弾車、あるいはアーマード・カー(armored car)などと呼ばれる特殊装甲車両のことを指しています。
最近では今年4月、オバマ米大統領来日の際に持ち込まれた「The Beast」の愛称で知られる大統領専用車のキャデラックが話題になったのも記憶に新しいことでしょう。
さて、この防弾車。もちろん国賓や政府要人でなくても、手に入れ、乗ることができます。折しも先月8月に、ダイムラーがメルセデスベンツ・Sクラスの新型防弾仕様車の「S600 Guard(ガード)」を発表したばかりです。
スペックを見てみると、ボディは外板と内板の空洞部分に防弾用特殊鋼を組み込み、ドイツの防護性能規格で最高レベル「VR9」をクリア。軍用ライフルや手りゅう弾による攻撃にも耐えるという性能を確保しています。
内部にはポリカーボネート樹脂がラミネートされた分厚い防弾ガラスや足元の爆発物が想定された特殊装甲のアンダーボディ、タイヤが損傷しても約30km走行可能な自動空気圧監視システム付きのミシュランPAXランフラットタイヤの他、煙や有毒ガスに対応したエマージェンシーフレッシュエアーシステムや自動消火システムなど、あらゆる攻撃、テロなどを想定した仕様となっています。
なお、エンジンはベースのS600と同じ6L V12ガソリン・ツインターボで最高出力/最大トルクはそれぞれ530ps/84.6kgm。装甲による重量増対策として、エアサスやブレーキの強化が施され、210km/hでスピードリミッターが作動する仕様となっています。
ちなみに前出の米大統領専用キャデラックはリムジン仕様ということもあり、6.5Lエンジンながら最高速度は60mph(約97km/h)。いかに重いかがよく分かりますね。
そんなS600 ガードの気になるお値段は32万4300ユーロ(約4,552万円。9月19日現在)。ベース車両のS600の車両本体価格が2,250万円ですから、およそ2台分に相当します。
防弾車の条件は「見た目がノーマル」
さて、メルセデスベンツは古くから防弾車を手がけてきていますが、もちろんこれ以外の主要メーカーでも防弾車が作られています。
ジャガー XJやランドローバー ディスカバリーなど、ベースモデルのタイプは様々ですが、ここまで紹介した防弾車にはある共通点があります。
それは「一見、ベース車両と変わらない」ということ。多くの場合、防弾車は要人が乗っていることを隠すため、外観はできる限りそれと分からない仕様であることが理想とされています。米大統領専用のキャデラックは例外中の例外にあたるため、「車で目立ちたい!」という方には不向きと言えます。
それでも価格的には間違いなくその車種の最高峰の「プレミアム・モデル」の防弾車。「一見するとノーマル仕様だけど、実は…」といったサプライズが好きな方にはオススメなモデルと言えるでしょう。