▲2ドアハードトップモデルは1970年に追加され、エンジンは2L4気筒エンジンを搭載。Bピラーがなく、当時の車として優雅さたっぷりです ▲2ドアハードトップモデルは1970年に追加され、エンジンは2L4気筒エンジンを搭載。Bピラーがなく、当時の車として優雅さたっぷりです

高度成長期の日本で生まれた「ハイオーナーカー」

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年7月29日に発見したのは「日産 ローレル」です。何が凄いって8代続いて絶版となったローレルの初代、しかも2ドアハードトップモデル……。つまりはクーペを見つけたんです! スカイラインほどの人気はなかったですし、これだけ古いモデルの現存台数は相当に少ないと思われます。

初代ローレルが登場した頃、つまりは1960年代後半、日本の自動車市場は営業車、法人車両に替わって、自家用車が急激にマーケットシェアを伸ばしていました。いわゆる“マイカーブーム”の始まりです。

当時は「ラグジュアリーカー」という呼び方ではなく「ハイオーナーカー」と呼ばれていました。後の「ハイソカー」(ハイソサエティ:上流階級)のように上流の「上」の部分に注目したのでしょう。

▲給油口を隠すことが当時の「ハイオーナーカー」では流行っていたようで、リアナンバープレート裏にあります ▲給油口を隠すことが当時の「ハイオーナーカー」では流行っていたようで、リアナンバープレート裏にあります

日産の最高級モデルであるプレジデント同様、ローレルは日産モータース店が取り扱いました。同時期に日産とプリンスが合併しており、そのためかローレルは日産が開発していたものにプリンスのエンジンを搭載、スカイラインはプリンスが開発していたものに日産のエンジンを搭載、という互いへの“配慮”みたいなものを感じさせます。

このローレルは日本が高度成長期の波に乗りはじめ、社会全体が豊かさを求めて“上”を見ていた時代のパーソナルクーペです。エアコンの普及もままならなかった時代の車ですから、クーラーが備わっているだけでも立派で高級。誰がどう見てもクラシックカーですから、速さも見栄もへったくれもありません。格好が気に入ったら、とにかく要チェックです。

▲1971年、まだ家庭用エアコンの普及もままならなかった頃の車ながら、助手席にはクーラーを装備 ▲1971年、まだ家庭用エアコンの普及もままならなかった頃の車ながら、助手席にはクーラーを装備

当該車両は、走行距離不明、修復歴アリという中古車としては敬遠されがちな条件となっています。しかし、写真を見るかぎりでは43年前の車にしては大事に乗られてきた雰囲気です。見て、触って、乗って、納得できたら選択肢としてアリじゃないでしょうか?

最近、日本のクラシックカー相場の値上がりが一部で見られますから、ローレル2ドアハードトップでも“宝くじ”的期待が抱けるかもしれませんよ。

■本体価格(税込):125.0万円■支払総額(税込):---万円
■走行距離:不明 ■年式:1971(S46)
■車検:2015(H27)年1月 ■整備:付 ■保証:無
■地域:愛知

text/古賀貴司(自動車王国)