使い勝手を重視したおいしいコンパクト

トヨタのマークII、チェイサー、クレスタのように、車には兄弟車と呼ばれるモデルがあります。見た目や新車価格は近くても、中古車になれば人気によって相場はバラバラ。今回は、その仕組みによって今とてもおいしい、ダイハツ クーをご紹介します。

クーはトヨタ bBの兄弟に当たり、bBの登場から遅れること約半年、2006年の5月に登場しました。男性的な顔つきのbBに対し、クーは比較的おだやか。それもそのはず、bBは若者がターゲットでしたが、クーは主婦やファミリー層をターゲットにしているんです。
  • ダイハツ クー 外観(フロント)|おいしい中古車
  • ダイハツ クー 外観(リア)|おいしい中古車
↑パっと見はbBに似ているものの、よく見るとやはり別物。シャープなラインを強調したbBに対し、bBはシャープながらも若干丸みを帯びた印象だ(左右)
インテリアも趣が異なり、bBが9スピーカーオーディオシステムや音に連動するイルミネーションなど、音楽を楽しむ空間がウリだったのに対し、クーはゆとりや使い勝手を重視した作りとなっています。

エンジンは、直4の1.3Lと1.5L。ミッションは全車4ATで、10・15モード燃費は1.3Lが16.4km/L、1.5Lが16km/L(どちらも2WDモデル)となっています。

驚くべきは後席のレッグスペースの広さで、全長4m未満の車とは思えないほど快適です。これはリアシートのスライド機構が240mm(4WD車は220mm)もあるからで、大柄な成人男性でもゆったりと過ごすことができます。

その他、オートエアコンには花粉除去モードを採用したり、除塵効果の高いクリーンエアフィルターを全車に装備するなど、車内環境にも重点が置かれています。
  • ダイハツ クー インパネ|おいしい中古車
  • ダイハツ クー フルフラット|おいしい中古車
  • ダイハツ クー ラゲージ|おいしい中古車
↑インパネはブラックで統一され、シックなイメージ(左) シートアレンジが豊富で、フルフラットも可能(中) リアシートを畳めば広大なラゲージルームに変身(右)

bBに比べると圧倒的に安い!

このように、見た目は似ているけれど、方向性はまったく異なるbB&クー兄弟。bBの相場はまだまだといった感じですが、クーはとてもおいしいんです。下のように新車価格の近いグレードで、似たような中古車スペックの2台を比較すると、

●クー(1.3CL):2008年式+走行0.3万km+修復歴なし=69.3万円(新車価格144.9万円)
●bB(1.3S):2009年式+走行0.3万km+修復歴なし=110万円(新車価格137万円)

車両価格だけ見ても、クーの69.3万円に対し、bBは110万円と圧倒的にクーのほうが安いんです。bBの年式が1年新しいという点は考慮する必要がありますが、新車価格はクーのほうが若干高いんです。それでいてこの差ですからね。

値落ち額を見ても、クーは75.6万円。bBはたったの27万円しか落ちていません。これは人気だけでなく知名度も大きく関係あるでしょうが、この関係を知ると、クーがとてもおいしい中古車に思えてきませんか?

Text/金子剛士