マツダ デミオ VS スズキ スイフト　PART1：走行性能対決

誰もが手軽にMTの走りを楽しめるデミオ

実用一点張りだった1～2世代目から一転。コンパクトでスタイリッシュな姿に生まれ変わった現行デミオ。表現はまったく違うが、グループ内のフォードKaの生まれ変わりか!?とさえ思える個性派だから、乗る前から心弾むのも事実である。

で、走らせてみる。すると走りっぷりもマツダ車らしいスポーティぶりだ。先代も欧州車風のしっかりした足だったが、その先代より全高が55mmも低い現行型は、運転ポジションからして低め。シートはクッションこそ柔らかめながら、ホールド感をしっかり出した形状だ。

ステアリングから左手を下ろしたちょうどいい位置にあるシフトを操作しながらの走りは、“リズム感”自体はゆったりしている。詳しくは後日、別の章で述べるが、エンジン特性が決してピーキーではないためで、ズボラなシフト操作でも車が前に出る。

タプッとした乗り味もいい。サスペンションのストローク感がある。コンパクトな乗用車ながらフラットな乗り心地が実現されているのもいい。加えて車重の軽さがヒシヒシと実感でき、ワインディングをヒラヒラと身軽に走り回れる。ただし、乗り慣れれば気にならなくなるが、最初はステアリングの操舵力が軽めに思え、情報の伝わり方が乏しい気がした。

一見気難しい走り屋風、でも実は優しいスイフト

一方で、ラリーの競技車両のイメージを、5ドアの市販車で再現させたのがスイフトスポーツ。スイフトシリーズきっての高性能車でもある。それだけに手ごわいか・・・と思うが、ソコが現代の車らしいところ。

運転姿勢はアップライトだ。デミオから乗り替えると、オシリを下からグイッと持ち上げられたような印象。オーセンティックな走り屋の人のように、ステアリングを近くに握って、やや後ろ気味の横にあるシフトを握る姿勢が決まる・・・そんな感じ。試乗車はレカロ装着車なので、ポジションを決めればカラダと車が完全に一体になった感覚が得られる。

乗り味はまったく悪くなく、十分日常ユースに適しているが、走りっぷりは立派な高性能車。ボディ剛性のしっかりした感じ、ブレーキも頼もしく、右足につながったかのように自在に利かせられるのも嬉しい。

ハンドリングマシンでありながら、キャスターを利かせたような直進を車が自分でしっかりと保つような特性も馴染みやすい。