ワゴンボディをリフトアップさせたクロスオーバーモデル

SUVの中でもモノコック構造を採用し、オンロードでの走行性能を高めた「クロスオーバー」と呼ばれるジャンルの車種が増えています。ボディを専用設計されたものが主流ですが、ステーションワゴンの地上高を上げて、SUVのルックスや走破性に近づけたモデルも少なからず存在しています。

このタイプの代表的な存在が、国産車ではスバルレガシィ。グランドワゴン、ランカスター、アウトバックと3代にわたってラインナップされています。輸入車の代表選手がボルボのV70。V70 XC、クロスカントリー、XC70と受け継がれています。このほかにもアウディがA6アバントをベースにオールロードクワトロをラインナップ。ベースはハッチバックですが、フォルクスワーゲンもポロやゴルフをベースにした、クロスポロやクロスゴルフを発売しています。

こういった車種の中でも、今回紹介する日産ステージア AR-X FOURはちょっとツウ好みなクロスオーバーモデルです。2001年10月に発売された2代目ステージア(M35型)の最上級グレードとして、デビュー時から設定されました。ステージアはエンジンやプラットフォーム、インパネなど多くをV35型スカイラインと共有する「スカイラインワゴン」的な車ですから、クロスオーバータイプのステージアAR-X FOURはいわば「スカイラインクロスオーバー」とでも呼ぶべき存在といえるでしょう。
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AR-X FOURはノーマルボディより、若干サイズが大きくなっています。まずロードクリアランス(最低地上高)を180mmに上げたことで、全高が40mmアップ。それでも日本の自動車事情を鑑み、一般的な立体駐車場に入る全高1550mmはギリギリ確保しています。全幅は樹脂製のオーバーフェンダーが付けられたことでに30mm拡大。全長も35mm延びており、この影響で最小回転半径は5.8mと、標準モデルより0.3~0.5m大きくなりました。

このほかタイヤ&ホイールもインチアップされ、18インチのオールシーズンタイヤを装着。SUVとしての走破性を高めるために、4WDシステムには前後輪のトルク配分を自動で電子制御する、トルクスプリット式「アテーサE-TS」を採用しています。
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AR-X FOURは2004年9月のマイナーチェンジを境とした、前期型と後期型でエンジンが異なります。前期型はステージアの4WDモデル専用に設定された、2.5Lターボエンジンを搭載。最高出力は280ps、最大トルクは41.5kg-mを発揮しますが、このターボエンジンはいわゆる「ドッカンターボ」で、2500~3000rpmくらいから急激に過給効果が立ち上がってきます。

一方で後期型は自然吸気の3.5Lエンジンを搭載。こちらは当時フェアレディZやティアナ、ムラーノ、エルグランドなど、様々な車種に搭載されていた日産車の定番ユニットです。

他に前後期で異なる点といえば、インテリアカラーがブラックとシルキーエクリュの2タイプになっているところ。インパネなどのデザインはV35型スカイラインと同様ですが、シートはオプションでレザーシートが用意されています。豪華装備ですが、最上級グレードだけに、中古車で装着されている可能性は意外と高いのです。

原稿執筆時点でカーセンサーnetに掲載されていたAR-X FOURは14台でした。このうち前期型は12台で、車両本体価格は59.8万~158万円。新車発売時の価格が356万円ですから、かなりお求めやすい価格といえそうですが、100万円以下のモデルは修復歴のあるものや10万kmを超える多走行車がメイン。状態をよく把握してから購入したほうがよいでしょう。

一方で後期型は148.8万円と175万円の2台のみ。しかし新車価格は351万7500円でしたから、こちらも半額以下のバーゲン状態。いずれも未修復で、走行距離も2万~3万km台となっています。エンジンの違いが気にならないならば、価格で選ぶなら前期型、状態で選ぶなら後期型が狙い目と言えます。

近年、国産ステーションワゴンは数が少なくなっています。特にステージアのようなLサイズのワゴンは減少中で、スバルレガシィのほかは、ホンダがアコードツアラーを、マツダがアテンザワゴンをラインナップしている程度。こうなるとワゴンベースのクロスオーバーモデルが登場する可能性も、極めて低くなりそうです。特にアウトドア派の人なら、夏は海や山に、冬は雪道にとクロスオーバーは大活躍することでしょう。レガシィ以外の選択肢がなくなってしまわないうちに、ぜひ一度乗ってみてはいかがでしょうか。

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