長野県飯田市が、同市内の東和町交差点を「ラウンドアバウト」式と呼ばれる円形交差点に変更した。既存の信号を撤去してのラウンドアバウト化は日本で初めてとなる。周辺の工事は3月中に完成する予定だ。

ラウンドアバウトとは、交差点の中央に円形地帯を設け、各道路から進入した車両が、円形地帯に沿った環状路(環道)を一方通行で走行し、行き先の道路へ流出する形式の交差点。環道を走行する車両が優先通行となることが特徴だ。

歩行者は環道の外側にある歩道や横断歩道を歩行する。環道は急なカーブとなるため、バスなど内輪差の大きい大型車は円形地帯の外周にあるエプロン部分を利用して通行する。

信号機が存在しないため、赤信号による待ち時間やアイドリングによる燃料消費、環境負荷が少ない。またカーブのきつい環状路を走るため、速度が緩められて事故も減少する。信号機がないため、災害時にも交差点機能が失われないというメリットもある。一方で、交通量の多い場所では、交通量をさばききれなくなってしまうため導入ができないという側面がある。

飯田市では、2010年に市内の吾妻町ロータリーを改良してラウンドアバウト化し、社会実験を実施していた。その結果を踏まえ、今回、国際交通安全学会と協働し東和町交差点へ導入した。飯田市によると、ラウンドアバウト化後の東和町交差点において事故は起きていないという。

ラウンドアバウトは信号機を必要としないため、設置費用や維持費も抑えられる

ラウンドアバウトは信号機を必要としないため、設置費用や維持費も抑えられる

社会実験を実施した吾妻町ロータリーでは、幅員が広すぎて危険な交錯が起こったため車線数の変更などが行われた

社会実験を実施した吾妻町ロータリーでは、幅員が広すぎて危険な交錯が起こったため車線数の変更などが行われた