女川町宿泊村協同組合は、トレーラーハウスによる宿泊村「EL FARO」(エルファロ。スペイン語で「灯台」の意味)を2012年12月27日にオープンした。東日本大震災で被災した宮城県女川町の旅館「奈々美や旅館」「鹿又屋」「にこにこ荘」「星光館」の経営者によって共同運営される。

女川町は震災と津波の被害によって8割の建物が壊滅した。平地のほとんどは現在も建築制限がある一方で、高台には仮設の住宅や商店、公共施設が存在するため、旅館などは新築することが難しい状況だ。そこで基礎工事などが生じず、将来的に別の場所へ移動もできるトレーラーハウスが利用されることとなった。

震災後、町内は慢性的な宿泊施設不足に陥っており、復旧工事に従事する関係者は仙台市内から通わざるを得なかった。地元住民の家族や親族も、狭い仮設住宅に訪問・帰省することができず、不便を強いられていた。今回のオープンはこうした問題を払拭するもので、地域経済の活性化など年間約3億円の経済効果が見込まれている。

トレーラーハウスは日本RV輸入協会の協力のもと、国内でもっとも厳しい基準で製造された寒冷地仕様の車両を使用。耐震性・耐火性・耐久性に優れ、かつ高い快適性を提供している。各棟の中心部分には、イベント・食事スペース「Parque」(パルケ。スペイン語で公園の意味)も設置された。

宿泊料金は1室1名利用で6300円、同2名で1万1000円、同3名で1万5000円、同4名で1万8000円で、ハイシーズンでも料金は変わらない。いずれも女川で水揚げされた魚介類と、名産のかまぼこを使った朝食付きだ。小学生以下は30%オフ、未就学児は無料。1週間以上連泊する場合や、女川町民とその家族・親族にも別途割引がある。

場所は町営住宅跡地(宮城県牡鹿郡女川町清水町174,175,176,177,178)。トレーラーハウスには風呂やトイレ、ベッド、テレビなどが完備され、計32台で64の客室、最大140人を収容する。予約、問い合わせは 0225-98-8703 または elfaro365info@gmail.com まで。ホームページでも空室確認と予約が可能だ。

ロフト付きの部屋は23.25㎡と一般的なビジネスホテルより広い。設備もソファや幅150cmのテーブルなどを備えている

ロフト付きの部屋は23.25㎡と一般的なビジネスホテルより広い。設備もソファや幅150cmのテーブルなどを備えている

ウッドデッキの「Parque」ではイベントも開催される。レストランも設置されており、夕食は季節ごとのメニューが1500~3000円で楽しめる

ウッドデッキの「Parque」ではイベントも開催される。レストランも設置されており、夕食は季節ごとのメニューが1500~3000円で楽しめる