▲【2つの地図を並列使用する一台、VOLVO XC40 ボルボ XC40】日本国内での販売も絶好調のボルボの新世代コンパクトSUV。XC90/60とは異なる電動化やフルEVへの転用も前提とした小型車向けのCMAと呼ばれるプラットフォームを採用する ▲【2つの地図を並列使用する一台、VOLVO XC40 ボルボ XC40】日本国内での販売も絶好調のボルボの新世代コンパクトSUV。XC90/60とは異なる電動化やフルEVへの転用も前提とした小型車向けのCMAと呼ばれるプラットフォームを採用する

ボルボ XC40から見えたインフォテインメント進化事情

発売と同時に爆発的な人気を集めているAppleの新型iPhone Xs/Xs Max。これを支える“iOS“が9月18日(日本時間)に最新版の“12“にアップデートされた。

その中で注目すべきは、Appleが提供するインフォテインメント連動システムである「CarPlay」がライバルであるGoogleの「Google Maps」や他社製アプリに対応したことだ。

知っての通り、グローバル市場におけるAndroid OSとiOSのシェアはAndroidが約80%超えと圧倒的に強い。

しかし日本では約50%強、言い換えれば日本人は本当にApple製品が好きで当然のことながらApple側も日本を重点マーケットとして位置づけている。

そのAppleが提供するCarPlay、すでに400以上の車種に対応しているが、何より「残念」なのは標準装備のMap(地図)における情報の少なさと、それを活用したナビ機能の「普通っぷり」である。

米国ではiOS11へのアップデート時にナビ性能が進化しているが、すべてのエリアでは対応していないし、複雑な道の多い日本ではなおさら利用は限定される。

Google Mapsを使い渋滞も含めた道路交通情報、またそれを活用し回避ルートも提案する「Android Auto」のナビ機能とでは、そもそもレベルが違っていたわけだ。

一方、CarPlayに対応した車種としては先日試乗したボルボ XC40から見えてくる部分がある。

同車には元々車載用インフォテインメントシステムとして「SENSUS」が搭載されておりCarPlay/AndroidAuto両方に対応している。

いくつかのメーカーではスマホを接続した瞬間、スマホ側に“主導権”を握られてしまう車種も存在するが、XC40の場合、標準装備のナビはバックグラウンド(並列)で動いている。

GPSをメインとするスマホナビの場合、長いトンネルでは自車位置をロストしやすいが、このようなハイブリッド使用であれば案内自体が途切れる心配はない。

その点でもXC40の考え方は現状ではベターと感じた。

今回のアップデート、Appleは新しい地図やプログラムを新規に開発するよりGoogleの力を借りたほうが得策であると判断したと個人的には思っている。

もちろんこの決断は結果として多くのiOSユーザーにとって大きな恩恵が得られることは間違いないが、同時にiOSに対する信頼という点ではマイナスに作用する可能性もある。

少なくとも地図領域に関してはグローバルでは圧倒的な強さを持つAndroid OSに侵食された形、まさに“諸刃の剣“とも取ることもできる。

中古車に関しては本体にナビ機能を持たない「ディスプレイオーディオ」という選択肢に注目している。

市販では現在、パイオニアとJVCケンウッドが販売しているが、AV一体ナビよりも価格が安く、すぐに最新のインフォテインメントを体験できる点でも新しい市場を想像する可能性を秘めているのだ。

text/高山正寛
photo/ボルボ

※カーセンサーEDGE 2018年12月号(2018年10月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています