▲「旧車好きとして先代ジムニーは避けては通れない。自分が乗りたい中古車を本気で選ぶよ!」とBoseさん ▲「旧車好きとして先代ジムニーは避けては通れない。自分が乗りたい中古車を本気で選ぶよ!」とBoseさん

エンジンを載せ換えると、ジムニーシエラがハチロクになる!?

1990年のデビュー以来、日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパー。中古車マニアでもあるMC、Boseが『カーセンサーnet』を見て触手が動いたDEEPでUNDERGROUNDな中古車を実際にお店まで見に行きます!

今回はジムニー工房にお邪魔した記事(関連リンク参照)の後編です。

Bose:社長、前回1.3Lのジムニーシエラに1.6Lのスイフトスポーツのエンジンをスワップ(載せ換え)する話を教えてくれたじゃないですか。そのあたりをもう少し詳しく教えてください。

石塚社長:前もお話したとおり、無理矢理過給したりしてパワーアップすることもできますが、エンジンに負担がかかるのでオススメしたくありません。それなら最初からパワーに余裕のあるものを使おうというのが僕の考え方です。エンジンが換わるということは構造変更が必要になるので、うちではきちんと公認を取っていますよ。

Bose:素朴な疑問なんですが……。危なくないんですか?

石塚社長:もちろんブレーキなどを強化することが前提になりますが、乗るとかなり楽しいですよ。ジムニーシエラとスイフトスポーツのエンジンは排気量で300cc違うだけですが、走りは全然違います。例えるなら昔のハチロクのような感じですかね。ハチロクの4A-Gも同じ1.6Lですし。

Bose:走りがかなり変わるのは簡単に想像できますよ。だって、シエラは車両重量が軽いからね。パワーが少し上がるだけで劇的に変わりそう。

石塚社長:エンジンの載せ換えは、もともとランドクルーザーで手がけていたんです。ランクル60にシボレーの5.7L V8を載せたり、ランクル80にランクル100用の4.7L V8を載せたりしています。

▲1989年にデビューしたランクル80は、「適度な枯れ具合がオシャレ」と若者から注目を集めています。この物件は大型のバンパーが迫力あります! ▲1989年にデビューしたランクル80は、「適度な枯れ具合がオシャレ」と若者から注目を集めています。この物件は大型のバンパーが迫力あります!
▲ランクル80のガソリンエンジンは4.5Lでしたが、これはランクル100用の4.7Lガソリンエンジンに載せ換え。最高出力が20ps、最大トルクが5kg-m大きくなっています ▲ランクル80のガソリンエンジンは4.5Lでしたが、これはランクル100用の4.7Lガソリンエンジンに載せ換え。最高出力が20ps、最大トルクが5kg-m大きくなっています

現行型もいいけれど、やっぱりこの形がたまらないね!

▲デザートカーキにオールペンされたジムニー。「黒もいいけれど、オールペンはボンネット裏やモールの境目など、見えない部分までていねいに施してありますよ」(石塚社長) ▲デザートカーキにオールペンされたジムニー。「黒もいいけれど、オールペンはボンネット裏やモールの境目など、見えない部分までていねいに施してありますよ」(石塚社長)


編集部ゆきだるま(以下、ゆきだるま):Boseさん、せっかくだからジムニーも見せてもらいませんか?

Bose:そうだね。実はお店に入ったときから気になっているのがあるんだ。

石塚社長:どれですか?

Bose:展示場の端にデザートカーキのジムニーが2台あるでしょう。かなりカッコいいなと思って。ちょうどこのページのトップ画像にあるやつ。

石塚社長:あの色は現在うちが推しているスタイルですね。2台ともうちでオールペンしたものです。よく見ると2台の色は違うんですよ。

Bose:本当だ! 片方はマットな仕上げになっているんだ。近づくまでわからなかったよ。

石塚社長:最初は艶消しでやっていたのですがワックスが掛けられないなど維持が大変なので、最近は艶がある方で仕上げています。どっちが好きかはお客さんの好みですね。

Bose:僕は艶がある方が好きだなあ。これ、ナンバーが付いているということは試乗することできますか?

石塚社長:大丈夫ですよ。せっかく来ていただいたのですからぜひ乗ってみてください。

▲試乗がOKになり思わず笑みがこぼれる。「乗る前から笑っちゃう車ってなかなか出会えないよ」 ▲試乗がOKになり思わず笑みがこぼれる。「乗る前から笑っちゃう車ってなかなか出会えないよ」


Bose:このJA22は1998年式だから最終型ですね。もう20年近く前のものだけど、運転席に座った感じは案外現代的な雰囲気があるな。おっ、走り出しからいい感じ。エンジンの音はかなり室内に入ってくるけれど、全然嫌じゃないよ。

石塚社長:JA12/22の一つ前のモデルとなる4ナンバーのJA11は板バネで、ミッションはローギアードなんです。このJA22は5ナンバーで、20%ハイギアードになっています。だから街中でも乗りやすいですよ。一番いいのはJA22を10%ほどローギアードにして、逆にJA11は10%ほどハイギアードにしてあげる。そうすると街中での走りが快適になりますよ。

Bose:そうなんだ。セッティングのことはノウハウのある専門店に教えてもらいながら試すのが一番だね。

石塚社長:今でもJA11はかなり人気がありますがミッションが弱いので、ギアの入りが悪くなったりしたお客様にはJA22のミッションを付けたりもしますよ。そうするとものすごく乗りやすくなる。

▲トラックのようなミッションの感覚を気に入ったBoseさん。「久しぶりにMTに乗る人も操作しやすいと思う」 ▲トラックのようなミッションの感覚を気に入ったBoseさん。「久しぶりにMTに乗る人も操作しやすいと思う」

古い車は走行距離の多い少ないより実車のコンディションを優先!

Bose:シフトチェンジするときの、ノブをスコスコと大きく動かす感じも悪くない。MTに慣れていない人だとスポーツカーのクイックシフトよりこっちの方が扱いやすいんじゃないかな。僕の奥さんはMTが苦手と言っているけれど、これなら運転できると思う。

石塚社長:この物件はエンジンがオーバーホール前でクラッチが新品ではないから左足が多少重たく感じると思いますが、新品にするともっと乗りやすくなりますよ。これはエンジンのオーバーホールとクラッチを新品に交換したうえで納車します。

Bose:乗る前は古い軽自動車だしかなり非力だろうと思っていたけれど、ずいぶんパワーに余裕がありますね。大人2人に荷物をかなり積んでも余裕がある。

石塚社長:それはMTだからというのが大きいですね。

Bose:これ、すでに18万kmも走っているじゃないですか。年式が古いから距離を走ったものが多くなるとは思うけれど、中古車を買うときに距離は気にした方がいいものですか?

石塚社長:それは個々の車の状態と整備のやり方によりますね。僕はきちんとオーバーホールしてあげれば大丈夫だと思っています。仮に走行距離が2万km、3万kmという幻のJA22が出てきても、うちでオーバーホールした車の方が長く乗れる。それくらい自信を持っていますよ。

Bose:走らせた感じももちろん、音や振動も心地いいですよ。

▲少しリフトアップしただけで乗り味が大幅に向上。タイヤはヨコハマのジオランダー ▲少しリフトアップしただけで乗り味が大幅に向上。タイヤはヨコハマのジオランダー


石塚社長:この車はサスペンションを換えて3cm車高が上がっています。このサスの乗り心地がいいんですよ。ノーマルだと左右の変な揺れが発生するんですが、これは揺れを上手く吸収してくれています。

Bose:運転するだけで笑顔になれる車ってずいぶん少なくなったけれど、これは間違いなくそっちに入る1台だね。夢がある。ジャンルは違うけれど、初代フィアット パンダやクラシックミニに通じる楽しさがある気がするもの。

石塚社長:実際にミニとジムニーを行ったり来たりしている人もいますよ。

Bose:わかる! なんか同じ魅力があるんだよ。たぶん40代の人だと若い頃に見ていたモデルだし、このへんが刺さってくるんだよね。ミニもパンダも中古車相場はどんどん上がっている。この世代のジムニーは平均価格だけ見ていると大きな動きはないけれど、状態のいいものは人気があるから取り合いになるだろうね。乗りたいなら早くしないと気軽に買えなくなっちゃいそう。

▲乗用車登録のJA22は、リアシートが50:50の分割可倒式に。遊び道具を積んで出かけたい人にとってマストな装備ですね ▲乗用車登録のJA22は、リアシートが50:50の分割可倒式に。遊び道具を積んで出かけたい人にとってマストな装備ですね


石塚社長: JA12に載るF6A型エンジンのパワステは油圧式ですが、JA22に載るK6A型エンジンは電動パワステになります。だからかなり軽いと思いますよ。でも昔からジムニーに乗り続けているお客さんに「パワステ付けられるよ」と言っても、みんな「いらない」というんですよね。ないのに慣れているからって。

Bose:こういう車に乗る人って、余計なものはいらないという人も多いんだろうな。僕もパワーウインドウより昔の手でくるくる回すやつの方が好きだし。電装品は壊れる原因になるっていう感覚なんだよね(笑)。今の20代の子たちも、手動式のウインドウを見たら新鮮な感覚になりそう。「手巻き、カワイイ」って(笑)。

石塚社長:普通、この年式の車になると部品探しが大変になるものですが、ジムニーは今でもゴム類とかパネルとか、新品が普通に出てきますから。

▲「真横から見たシルエットがカッコいい!」とBoseさん。艶消しのホイールは純正の鉄ホイールを塗装したもの。スペアタイヤも同様の仕上げになっています ▲「真横から見たシルエットがカッコいい!」とBoseさん。艶消しのホイールは純正の鉄ホイールを塗装したもの。スペアタイヤも同様の仕上げになっています


ゆきだるま:Boseさん、おかえりなさい。ジムニー、いかがでした?

Bose:最高! これはすごいよ。面白い車だったなあ。見た目の仕上がりもすごくいいし、走らせると本当に笑顔がこぼれちゃう。前にビートに乗ったときも同じことを思ったけれど、街中での乗用域がすごく楽しいんだよね。足回りも走っていると跳ねたりするけれど、乗り心地が悪いのとは全然違う。街乗りにピッタリな足回りだと思う。運転のしやすさ、走らせたときの楽しさ、乗り心地……。いろいろなことを考えて、僕の理想に近い感じがしたよ。

石塚社長:今、うちでもこの仕上げにしたものが一番売れています。オールペンもボンネット裏やモールを外したところまで完璧に仕上げています。かなり手をかけていますよ。もちろん納車のときはきちんとした状態でお渡ししますが、一方で古い車なのでこまめに整備することも大切です。ご購入いただいた方には車検や定期点検でお店に持ってきてほしいですね。

Bose:いやあ、これはものすごくアリな世界だよ。マニュアル車を楽しむという一番小さい車がこれだと思うミニ、パンダ、そしてジムニー。車好きがなんだかんだでここを通ってきているのは、ちゃんと理由があるんだね。ジムニーシエラは海外でも売っているけれど、軽自動車のジムニーは日本ならではのもの。外国の車好きに「うらやましいだろう!」と叫びたいね(笑)。

▲リアシートも頑張れば大人が座れます。ジムニーで友達と4人で遠出するという無茶な使い方は若いうちしかできないかも。免許を取って最初にこういう車に乗ったらかなり楽しい車人生がスタートするはず! ▲リアシートも頑張れば大人が座れます。ジムニーで友達と4人で遠出するという無茶な使い方は若いうちしかできないかも。免許を取って最初にこういう車に乗ったらかなり楽しい車人生がスタートするはず!


~ライブのお知らせ~

2017年4月15日(土)にスチャダラパーの野音公演
『スチャダラパーライブ 2017年 野音の旅』が開催されます。
チケット一般発売中です!春の野音にぜひお越しください!

『スチャダラパーライブ 2017年 野音の旅』
公演日時:2017年4月15日(土)開場15:30/開演16:30
会場:日比谷野外大音楽堂
料金:前売り¥6,500
チケット絶賛発売中!

プレイガイド
チケットぴあ Pコード:317-632
ローソンチケット Lコード:71429
e+ http://eplus.jp/

text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/篠原晃一