昨年9月の東京電力による電気料金値上げに続き、関西電力、九州電力は今年5月からの値上げが決定。東北電力、四国電力は7月からの値上げを申請、北海道電力も値上げの方針を明らかにしている。

そんななか注目されているのが一般電気事業者の電線網を借り受けて、特定の需要家に電力供給を行う「特定規模電気事業者」だ。平成25年4月1日現在、資源エネルギー庁のホームページには81社が記載されており、昨年1年間で20社以上増えている。

この81社のなかに自動車メーカーの名前が4月1日に追加された。それが、「トヨタタービンアンドシステム」(トヨタ自動車の100%子会社)だ。すわ「トヨタが電力事業参入」と見ることもできる。

ただし現状では、他社に電力を供給したり売電する目的ではなく、自社の事業所や販売店などで電力融通を行うといわれている。値上げが続く電力会社よりも安価な電力を供給する目的だろう。

また、ホンダは今年7月から稼働する埼玉製作所寄居工場にソーラーパネルを設置。国内の自動車工場では最大となる出力で、コージェネレーションシステムなども活用し、工場で使う電力の3割強を自家発電する。また、一部報道では「メガソーラー(大規模太陽光発電)事業に参入する方針を明らかにした」との話もあり、発電した電気は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用してすべて売却する予定とみられている。

「電気を売る」という行為は、トヨタとは明らかに方向性が異なり、国内自動車メーカーでは初めての試みとなる。

近い将来、ハイブリッド車や電気自動車を購入したら、その自動車メーカーから電気1年分がプレゼントなんてオプションがついてくるなんて話も夢物語ではなくなるかもしれない。

「トヨタタービンアンドシステム」はガスタービンの開発をはじめとして、環境への負担が少ないエネルギーシステムの開発に取り組む

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寄居工場は年間25万台の生産能力を持つ四輪完成車工場。2.6MWのソーラー発電装置を設置する

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