ホンダは、ハイブリッド車用ニッケル水素バッテリーから抽出したレアアースを、再びニッケル水素バッテリーの材料として利用。資源を循環させる仕組みを世界で初めて確立した。抽出されたレアアースの純度は、鉱山で採掘され通常取引されるものと同等の99%以上で、回収率は80%以上を達成している。

レアアースは、日本語で「希土類」。ネオジムやランタンなど17元素の呼称で、ニッケル水素バッテリーに限らず、ハイブリッド車や電気自動車の駆動モーターなどにも使用されており、今や、ハイブリッド車の製造には欠かせない素材だ。

しかし、レアアース生産の約9割は中国が占めており、日本ではそのほとんどを輸入に頼っている。国際的な関係悪化から、安定供給が途絶えて、ハイブリッド車の生産に支障をきたすという懸念も少なくない。そういった意味では、再利用技術が進化することはとても重要だ。

再利用に加えて、状況打破に期待されていることがある。実は、日本の排他的経済水域にあたる南鳥島沖の海底では、日本の消費量の約230年分、推定埋蔵量約680万トンと試算されるレアアースを含む泥が大量に発見されているのだ。

また、沖縄や伊豆・小笠原諸島周辺には「海底熱水鉱床」と呼ばれる金、銀、銅、鉛やレアメタルを豊富に含んだ鉱床が存在しており、その量は7.5億トンにも上るとの試算もある。

採掘にかかる費用と輸入での購入費用の差額や採掘の技術などを考えると、実用化のハードルは高い。しかし、「資源小国日本」から脱却できるかもしれないというのは、なんとも夢がある話だ。

レアアースとは少し離れるが、天然ガスの一種「メタンハイドレード」の試験採取に成功したとの報道も。もしかすると、近い将来“資源大国日本”が現実になるかもしれない。

今後は、ニッケル水素バッテリーからだけでなく、あらゆる使用済み部品からのレアアース抽出を目指しているとのこと

今後は、ニッケル水素バッテリーからだけでなく、あらゆる使用済み部品からのレアアース抽出を目指しているとのこと