30年以上の歴史を誇る世界最速のワンメイクレース「ポルシェ カレラカップ」とは【EDGE MOTORSPORTS】
2021/12/11
"カスタマーレーシング"をいち早く取り入れたポルシェ
自動車メーカーにとって、レースは実験場であり、またプロモーションの場でもある。しかし、巨額なコストが必要なため景気動向に左右されやすく、本業の業績によってはレースから撤退してしまうメーカーも多く見られる。
そうした中、顧客に自社のレースカーを販売し、シリーズ戦を運営することでビジネスとして成立させる、いわゆるカスタマーレーシングという仕組みをいち早く構築したのがポルシェだ。
1990年、ポルシェはドイツで911(964型)のワンメイクレース、ポルシェ カレラカップを開始する。1993年にはF1のサポートレースとして「ポルシェスーパーカップ」が開催されるようになり、911のワンメイクレースは、世界的に注目を浴びるようになる。
日本では、エンジンが水冷式へと切り変わった世代(996型)にあたる2001年に、ポルシェ カレラカップジャパンとしてスタート。2006年に997型、2014年から991型、そして2022年からは現行型の992型をベースとしたカップカーでレースが行われる。
いまや、カレラカップは世界10ヵ国で開催されている人気シリーズ。また2019年からは、それまで走っていた型落ちのGT3カップカーや、ケイマンGT4などが参戦できるポルシェスプリントジャパンがスタートしている。こちらは、カレラカップへのステップアップカテゴリーとして、世界8ヵ国で開催されている。
“世界最速のワンメイクレース”とも呼ばれるポルシェカレラカップシリーズは、現在、「プロクラス(Pro)」、「プロアマクラス(ProAm)」、「アマクラス(Am)」の3クラスに区分され、クラスごとの獲得ポイントでシリーズランキングが決定する。
また、プロクラスには多くのプロドライバーをはじめ、ポルシェジャパンモータースポーツのスカラシッププログラムであるポルシェジャパンジュニアドライバーが参加するなど、毎戦ワンメイクレースならではの実力伯仲の激戦が見られる。
優勝したドライバーが、のちにGTカーレースの国内最高峰カテゴリーであるSUPER GTにステップアップし活躍する姿もみられ、優秀な人材を輩出するシリーズでもある。
ポルシェは、フォーミュラEやWEC、IMSAなどの国際レースでのワークス活動をはじめ、こうしたカスタマーレーシング活動を、国内でも20年以上にわたって継続している。さらに2021年10月には、世界で9ヵ所目となるドライビング体験施設、ポルシェエクスペリエンスセンター東京を千葉県木更津市にオープンした。これはポルシェオーナーのみならず、一般の人でもポルシェ本来の性能を堪能し、運転スキルを磨くことできる施設だが、そのプログラム内容の充実ぶりには驚くばかりだ。ポルシェというメーカーが、いかに走ることに情熱を注いでいるのかを、如実に物語っている。