「ゆーるピアンミーティング」で出会った若者たちが最高だったので紹介させてくれ(後編)
カテゴリー: レース&イベント
タグ: 日産 / シトロエン / ランチア / セダン / ピックアップトラック / 2CV / 自動車関連のイベント / 伊達軍曹
2018/10/26
免許を返納する大叔父からサニトラを譲り受けた19歳
20代前半の若者たちが中心となって開催されている、参加者の年齢も車種も車の年代もいっさい不問の自動車イベント「ゆーるピアンミーティング」。そこにはいったいどんな人々が、どんな車でもって参加しているのか? そのレポートの後編である。
見たところ20歳前後と思われた岩崎 駿さんは、聞いてみるとやはり20歳の学生さん。しかしその愛車は、完全昭和世代な「サニトラ」こと94年式日産 サニートラック ロングボディだ。いったいぜんたい、ハタチの学生さんがなぜこんなシブいのに乗っているのか?
「もともとはこれ、祖母の弟――僕にとっては大叔父にあたる人が長らく乗っていたサニトラなんです」
その大叔父が80代半ばとなって「運転免許を返納する」という話を聞いたとき、岩崎さんは思いきって大叔父に言ってみた。「あのサニトラ、もしも処分するなら僕に譲ってくれませんか?」と。19歳、免許取りたての頃だった。
岩崎さんいわく、大叔父は大層よろこんでくれたという。そうだろう。筆者はまださすがに80代ではないが、「大叔父」の嬉しいお気持ちはなんとなく想像できる。
「大叔父が乗っていたときはもちろんフルノーマルの状態だったのですが、その後、僕好みのスタイルに少しずつモディファイしていきました。ちなみにこのトノカバーは、僕がミシンを使って自作したんですよ(笑)」
ゲームがきっかけで古い車が好きになったという岩崎さん。もちろん車については是々非々で考えており、「新しい車が嫌いなわけではない」とのこと。
しかしサニトラは「車から伝わってくるサムシングが非常に多い」ということで、近年の車以上に気に入っているそうだ。
便利な国産HVより、ちょっと不便なランチア カッパが好き
お次は02年式のランチア カッパ2.4 LSというなかなかの希少車にお乗りの佐藤正一朗さん、26歳。この日はなんと福岡県の久留米市から馳せ参じたという。
「映画『TAXi』が好きで、近所の販売店にプジョー 406を買いに行ったんですが、その個体が非常にボロかったんです。で、代わりにお店の人からカッパを勧められて、『まぁ乗ってみるか』ぐらいの気持ちで買ったのですが……これが本当に素晴らしい車でした」
どこがどう素晴らしいのか?
「うーん、上手くは説明できませんが、とにかく全部がイイんですよ! これの他にカッパのクーペも持ってるんですが、1日おきに両方乗ってますからね(笑)。家の車としてアコード ハイブリッドもありますが、正直おもろくないんですわ! もちろんバックカメラとか付いてて便利なんですが、どうにも乗る気になれんのですよねぇ……」
カッパの方はバックカメラが付いていないどころか「今はサンルーフが壊れちゃってて開かないんです(笑)」というぐらいなのだが、それでも佐藤さんは、快適かつ便利きわまりない国産ハイブリッド車を押しのけて、このちょっとだけ不便な希少イタリア車に乗る日々を選んでいる。
通勤も、まるで当たり前のようにシトロエン 2CVで
今回のゆーるピアンミーティングには300台以上の様々な車が参加していたわけだが、さすがに全車をご紹介することはできないので、こちらの方を最後としておこう。
87年式シトロエン 2CV チャールストンにお乗りの山科宙士さん。今回取材させていただいたなかでは最年長となる32歳だが、世間一般では「まだまだ若手」というニュンスの世代ではあるだろう。
「自分が若いかどうかは知りませんが(笑)、いずれにせよこの2CVはごく普通にほぼ毎日乗ってますよ。通勤もコレでやってますし」
聞けば山科さんの愛車遍歴は、ホンダ インテグラに始まりマツダの初代ロードスターやスズキのKeiワークス、アルファロメオ 147GTAなどの「走り系モデル」が中心だった。しかしここへ来ての2CVというのは、どういう心境の変化だったのか?
「う~ん、これの他にポルシェ 911のカレラ2も持ってますので、特に心境の変化があったというわけでもないのですが、このあたりの世代の車はとにかく『楽しい』ですよね。現代の車と違っていろいろな感触がひたすらダイレクトですし、メカ的にシンプルなので、自分でもいろいろメンテナンスができる。そういう作業もけっこう楽しいものです。いろいろな理屈は付けられるんでしょうが、『好きだから』『楽しいから』だけでもいいんじゃないですかね? その車を愛する理由って」
以上のとおり計8名のゆーるピアンミーティング参加者に話を聞かせていただいたわけだが、基本的には車種も年代もバラバラであり、それぞれが、それぞれの車を好んでいる理由もバラバラだった。
最後に無理やり「世代論」みたいなことを論じて、このレポートをまとめることも不可能ではない。しかしそれにはあまり意味がないような気もする。
当レポートの「そもそも編」でイベント運営チームの皆さんが言っていたことだが、ゆーるピアンミーティングの参加に必要なのは「車が好き」という気持ちだけで、その他の国籍やら肌の色やら年齢やら性別などは、いっさい関係ない。ややこしい文化論みたいなものも、比較的どうでもいい。
それ故、ちょっと自由すぎるのかもしれない。
「でも、よく考えてみれば自由で何かマズいことってあったっけ?」という根本を、セクショナリズム(なわばり根性)にとらわれがちな筆者のような中年に教えてくれるのがこのミーティングであり、若い世代に支持されている理由なのだろう。
……ややや、ついクセで「プチ世代論」をぶってしまった。
まぁこんなのはどうでもいい蛇足で、本当に楽しい「ゆーるピアンミーティング」ですので、ご興味のある方は次回、ぜひ参加してみてください!
次回の日時は主催者いわく「まだ未定です」とのことですが!(←そこもゆるくてイイ)
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