トヨタ FJクルーザーは不便さすら愛おしい……! 茅ヶ崎ライフを育む家族の一員
2025/01/29

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
「いかついのに、どこか可愛い」夫妻の心をガッチリとつかんだFJクルーザー
「この顔が好きなんですよね」と笑うのはオーナーである島村孝至さん。
このFJクルーザーに出会ったのは、子供が生まれる前のこと。知人が新車を購入したのに感化されたことがきっかけだ。車を選びだした当初、孝至さんの推しは快適なSUVだった。


しかし、奥さまの優さんの中ではFJクルーザーですでに決まっていたそう。子供がいないときにしか買えない車に乗りたいと考えていたのだ。彼女が一番惹かれたのは、やはり顔。丸みを帯びたライトとゴツゴツとしたフォルムのバランスが絶妙だ。

「いかついのに、どこか可愛い」優さんのこの言葉が購入の決定打になった。
「便利さを求めるなら絶対に選ばない車」と島村さん。その象徴が“観音開き”の後部ドアだ。
FJクルーザーの後部ドアは、前方ドアを開けないと動かない仕様になっている。さらに、運転席のシートベルトが後部座席のドアに配置されているため、後部ドアを開けるたびにシートベルトを外す必要があり、少し手間がかかる。

「不便ではあるけど、そこがいいんですよ。ドアの重厚感とか、観音開きの動作そのものに特別感を感じるんです」
後部座席は広くはないし、お世辞にも燃費もいいとは言えない。でも、嫌じゃない。むしろ愛着が湧く。それこそがFJクルーザーを選んだ理由だ。そして、色選びではFJクルーザーらしい黄色や青が候補に挙がったが、最終的にはベージュに落ち着いた。「初めての車だから、無難にいこうって。でも、今思えば黄色でも良かったかな」と、向き合って笑い合った。

湘南ライフと趣味を後押ししてくれる
子供が生まれてからは、週末だけでなく普段使いとして近所のスーパーにも、FJクルーザーで買い物に出かけるようになった。別のFJに乗っている人が、手を振ってくれることもあるんだとか。

茅ヶ崎ではFJクルーザーとのすれ違いは珍しくないらしく、ここではファミリーカーとして定着しているようだ。近所のガレージにもFJが多く見られるそうで、湘南らしい風景として街に溶け込んでいる。
休日は家族揃ってドライブへもよく出かける。箱根、鎌倉、逗子、三浦半島……。海沿いの風景や山道を走る時間が、FJクルーザーの存在感を際立たせる。
「初めて買ったとき、日光まで走ったこともありましたね。走りが良くて疲れないから、どこまででも行ける感じがする」
大きな車体と高い車高が安心感を生み、道を選ばず走れることが、2人の“外に行こう”という気持ちを後押しする。子供が大きくなったら、お休み中のキャンプを再開したいと計画中だ。

「最初は運転なんて絶対無理だと思っていたけど、最近は練習しているんです。窓が狭くて視界が狭いけど、それもかっこいいんですよね」と、優さんは笑う。少しずつ慣れたFJクルーザーの運転席から見える景色は、戦車のように力強い。
また、2人は着生植物にハマっていて、特に「ビカクシダ」に魅了されている。今では夫婦で植物イベントにFJクルーザーで足を運び、好みの株を探す日々だ。

大きい株を買うときは、ラゲージの高さが重宝する。イベントや専門店を回ると、後部スペースがビカクシダでいっぱいになることも。FJクルーザーと一緒で、育成に手間がかかるほど愛着が湧くのだそう。
もう、この車じゃなきゃダメ。日常を特別にする家族の一員
購入して2年、走行距離は5万キロを超えたが、20万キロまでは乗り続けることが目標だ。
「この車があるから、毎週のドライブが楽しい。何も予定がなくても、FJで海沿いを走るだけで満足なんです」と、孝至さん。優さんも「助手席に座っているだけで、どこか特別な気分になる」と続けた。
次の車は? と聞くと、まだまだ走れるし、今のところ乗り替える気はないと言う。そんな2人の横で、茅ヶ崎の潮風を受けるFJクルーザー。少し無骨で、少し不便。でもそれが、この車の最大の魅力だ。そんな愛車は、家族の思い出を乗せ、趣味の時間を支え、日常に特別な時間をもたらしてくれる。

▼検索条件
トヨタ FJクルーザー(初代)×全国
島村さんのマイカーレビュー
トヨタ FJクルーザー
●購入価格/380万円くらい
●年間走行距難/1万kmくらい
●マイカーの好きなところ/いかついのに、どこか可愛い丸目の顔
●マイカーの愛すべきダメなところ/観音開きのドア。シートベルトをしていたら、後部ドアが開けられない
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/趣味を楽しみたい人。不便なところがあるけど、それも含めて愛着が持てる人。「この車でどこかへ行きたい」っていう、気持ちがないと不便です

ライター
北村康行
ストリートファッション誌の編集者を経て、2007年に独立。雑誌やweb、企業の制作物など、ファッション、モノ、グルメ、アウトドア、インタビューなどジャンルにこだわらず様々なフィールドで活動中。思い出に残るworksは、秋葉原駅の大きな観光案内図。休日は愛車のPEUGEOT Pacific-18で、地元横浜をブラついている。