ウェイク

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

こう見えても、昔はヤンチャだったんですよ

横浜市の青葉台で老舗ベーカリーカフェ「COPPET(コペ)」を営む奥山さん。ほのぼのとした笑顔が、どこかアンパンマンに出てくるパンづくりの名人“ジャムおじさん”を思わせる。

「こう見えても、若い頃はヤンチャだったんですよ。理由もなく、いつもイライラしていた気がします」

いかにもパン屋さんらしい、その優しい風貌からは想像がつかない。

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奥山さんは、20歳の時からパン職人になることを目指して修行を積んできた。その修行中にパン作りの師匠から「パンには、焼いた人のその時の気分が出る」と教えられたと言う。

「イライラしていたら、美味しいパンは焼けないぞって言われたんです。それから、いつもニコニコしてパンを焼くように心がけてきました。そしたら、いつの間にかジャムおじさんになってました(笑)」

パン職人にせっかちな性格は向いていないそうだ。柔らかな奥山さんの笑顔を見ていると、美味しそうなパンの匂いに包み込まれる気がしてくる。

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決め手は、個性的でかわいい顔つき

そんな奥山さんの愛車は、軽トールワゴンのダイハツ ウェイク。こちらも、なんだかニコニコ顔をしている。

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横浜育ちの奥山さんは、幼い頃に日産の追浜工場へ見学に行ったりしていたこともあり、これまで乗り継いできたのは、マーチ、キューブ、セレナと日産車ばかり。ちなみに、お兄さんはケンメリのスカイラインを乗り回す車好きだった。

「兄の影響もあって、僕も車は好きでしたね。だけど走り屋にはならなかった。師匠の教えを守って、車を運転するときもできるだけイライラせずに、ゆったりとした気分で走るようにしています」

ずっと日産党だった奥山さんだが、昨今のガソリン代の高騰もあってセレナから軽ワゴンへの乗り替えを考えるようになった。だが日産の軽自動車は、フロントフェイスが少し強面な印象だったそう。そんな時、出会ったのがダイハツ ウェイクだった。

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「たまたま入った中古車屋さんで、この子と目が合ってしまって。個性的でかわいい顔つきが決め手でしたね」

なんてかわいいんだ、この子は!

ほのぼのとした顔つきが気に入って、即決で手に入れたウェイク。まったくノーマークの車だったが、実際に乗ってみると、見た目だけでなく燃費はいいし、走りもいい。

さらに、四角いボディは見切りがよくて運転しやすいし、車高が高いので乗り降りも楽。なによりクラス最大級の広大な室内空間で使い勝手のいいところが気に入った。

「キャンプや渓流釣りが趣味なので、荷室に道具をたくさん収納できるのはうれしいですね。もちろん、毎日のパンの配達にも大活躍。走っていて同じ車とすれ違うことがほとんどないのもポイントです」

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仕事に趣味に大活躍のウェイクは、もはや奥山さんにとって家族のようなもの。パーキングに止まったウェイクを見るたびに、「なんてかわいいだ、この子は!」とご満悦。この一途さもまた、美味しいパンを焼き続けるこだわり職人ならではかもしれない。

この春には横浜市長津田に2号店をオープンして、ますます忙しい奥山さん。でも、いくら忙しくてイライラしそうになっても、お気に入りのウェイクを運転していると穏やかな気持ちになれる。

だから、奥山さんの運転はいつも優しい。

どうやらパン作りと同じように、ドライブにもその人の気分が出るようだ。

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ダイハツ ウェイク(初代) × 全国
文/夢野忠則、写真/阿部昌也
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奥山さんのマイカーレビュー

ダイハツ ウェイク(初代)


●購入金額/150万円
●年間走行距離/約1万km
●マイカーの好きなところ/ほのぼのとした顔つきと、荷室が広く使い勝手が良いところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/軽自動車のわりには少し重たいけど、おかげで横風にも強いからダメだとは思っていない
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/子育て中の若いご夫婦には強い味方になること間違いなし

夢野忠則

編集・ライター

夢野忠則

自他ともに認める車馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。 現在の愛車はジムニーシエラと、数台の国産ヴィンテージバイク(自転車)。