house ▲ガレージハウスを「建てる」としても、リビングから愛車を眺められる間取りが必須条件だったというTさん。ちなみに現在はBMW M2を購入するために、貯金に励んでいるそうだ。写真のボクスターはイメージ用に編集部で用意した車両


車好きなら、いつかはガレージハウスに住んでみたいもの。しかし、建てるにはそれなりの予算が必要。会社勤めには……と思っている方もいるのではないだろうか。今回紹介するのは、建てるのではなく、中古のガレージハウスを購入した例だ。果たして「買う」メリットとは!?
 

ガレージを買うことで憧れの車を手に入れる日が近づく

結婚を機にガレージハウスを検討し始めたTさん。しかし、当時はまだ20代。貯金しているとはいえ、調べるほどに都内にガレージハウスを建てるのは、厳しいとわかってきた。

「無理をすれば可能でしょうが、それでは家のローンが終わるまで欲しい車が買えないというのとイコールですから」と。

欲しい車に乗れないのに、ガレージハウスを建てても意味がない。もうしばらく貯金を続けようかと思いながら、スマホでガレージ付きの賃貸物件の情報を見ていたところ、ある広告が目に飛び込んできた。

それが現在暮らしている中古ガレージハウスの売却広告だった。
 

house ▲吹抜けのガレージ上部には、愛車を眺めながらバルコニーへ続くすのこ状の通路がある
house ▲吹抜けのため開放感のあるガレージ

2019年竣工という築浅物件。広告を打っていたのは、首都圏のガレージハウスに特化した不動産会社の東京ガレージだ。

ポルシェ 911のオーナーが愛車と過ごすために建てた物件だったが、完成直後に引っ越す必要に迫られ、手放さざるを得なくなったのだという。

前オーナーは、大手不動産仲介会社とともに、東京ガレージにも仲介を依頼した。

「車が好きなオーナーでしたから、ガレージハウスに特化しているウチに声をかけてくれました」と、東京ガレージの代表であり、一級建築士でもある山本訓也さん。

911オーナーの選択は正しかったようで、Tさんは「大手不動産仲介会社の広告も見ましたけれど、ガレージは『あります』程度の写真。あの写真だけなら、見に行こうとは思いませんでした」。
 

house ▲収められる車の全長は、元オーナーの愛車である911(タイプ991)クラスまでになる
house ▲左右には余裕があるので、夫婦2人の自転車用ラックを装備した

一方、東京ガレージは山本さんを含め、スタッフが車好き。同社のホームページを見ればわかるが、ガレージの方がLDKよりも写真点数が多いし、車がカッコよく写るように撮影されている。

広告は1週間ほど掲載されたが、その間に3組の内覧希望者があり、結果、前オーナーがTさんへ売却することを決めた。若いが本当に車が好きなTさんに引き継ぎたかったのかもしれない。

車が好きな前オーナーと仲介役の東京ガレージと出会えたことで、新しく建てるよりもグッと費用を抑えることができたTさん。昨年末からガレージハウスの暮らしが始まった。欲しかった旧型のBMW M2も年内には手に入れることができそうだという。
 

house ▲ガレージの扉には電動オーバースライダーを備える。ガレージ前に2台駐車できる他、敷地内にバイク用の小型ガレージも設置
house ▲LDKへは玄関からガレージを通り抜けて入る。LDKとガレージの間はガラス戸だが、断熱性能が高いので冬は暖かく、夏は涼しい

「あのとき無理をして建てていたら、M2に乗れるのは何年先になったことか。そしていつかはポルシェ 911 GT3に乗りたいんです」とTさんは語る。

911乗りの前オーナーが聞いたらきっと喜ぶに違いない。
 

house ▲床に無垢材が使われていたり、壁裏にシューズクローゼットが隠れているなど、こだわりの仕様だったのも購入のポイントになった
house ▲落ち着いたインテリアカラー、開放的な対面式キッチンのデザイン性と使い勝手の良さに惹かれた奥さんも、購入に賛成してくれたそうだ

■主要用途:専用住宅
■構造:木造
■敷地面積:131.36㎡
■建築面積:52.17㎡
■延床面積:97.85㎡
■問い合わせ:東京ガレージ
■TEL:03-6822-4365

※カーセンサーEDGE 2023年5月号(2023年3月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
 

文/籠島康弘 写真/尾形和美