初心者マークの義務は1年間! 貼る位置や罰則、注意点をわかりやすく解説
2023/03/15
運転免許を取得したら、車に初心者マークを付けなければいけないことは多くの人に知られている。しかし、付けなかった場合にどのような罰則があるのか、車のどこに貼ればいいのかなど、細かな規則については意外に知られていないだろう。
そこでこの記事では、初心者マークについて詳しく解説する。
初心者マークとは?
初心者マークは道路交通法(以下、道交法)で定められた標識のひとつ。正式名称は「初心運転者標識」で、形状から「若葉マーク」と呼ばれることがある。
普通自動車免許や準中型自動車免許を取得した人は、免許取得日から1年間(初心運転者期間)、運転する車に初心者マークを貼らなければいけない。当然、初心者マークを貼る対象は普通自動車と準中型自動車で、タクシーなどの営業車も貼る必要がある。一方で中型自動車や大型自動車、小型特殊自動車などは対象外となる。
初心者マークを貼ることが義務となっているのは、まだ運転に慣れてないドライバーを保護するため。初心者が運転していることを周りのドライバーに認知してもらい、事故やトラブルを防ぐことを目的としているのだ。
初心運転者標識等の表示義務
第八十四条第三項の準中型自動車免許又は普通自動車免許を受けた者で、当該準中型自動車免許又は普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に準中型自動車免許又は普通自動車免許を受けていたことがある者、現に受けている準中型自動車免許又は普通自動車免許を受けた日以後に当該免許に係る上位免許(第八十五条第二項の規定により一の種類の運転免許について同条第一項の表の区分に従い運転することができる自動車等(以下「免許自動車等」という。)を運転することができる他の種類の運転免許(第八十四条第二項の仮運転免許を除く。)をいう。第百条の二第一項第一号及び第三号において同じ。)を受けた者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。
「道路交通法 - e-Gov法令検索」より引用
初心者マークを貼る期間
初心者マークを貼らなければならない期間は、前述のとおり、普通自動車免許や準中型自動車免許を取得してから1年間。ただ、事故や違反などを起こして免許停止になった場合、その期間は含まれない。停止期間の分だけ、初心運転者期間が延びることになる。
また、失効や取り消し後に再取得した場合も、再取得日から1年間、初心者マークを貼らなければならない。ただし、有効期限を過ぎてから6ヵ月以内に再取得したなら対象外だ(いわゆる「うっかり失効」の場合)。
初心者マークを貼る位置
初心者マークを貼る位置は道路交通法施行規則 第九条の六で次のように定められている。
初心運転者標識等の表示
法第七十一条の五第一項から第四項まで及び第七十一条の六第一項から第三項までに規定する標識は、地上〇・四メートル以上一・二メートル以下の位置に前方又は後方から見やすいように表示するものとする。
「道路交通法施行規則 - e-Gov法令検索」より引用
要は「地上から0.4m以上1.2m以下」「前方と後方から見やすい位置」の条件を満たしていれば、どこに貼ってもOK。車体の右寄りでも左寄りでも問題ないのだ。
ただし、ルーフなど水平に近い面に貼ると前後の車から見えないのでNG。貼る枚数については特に規定はないが、前後から見やすい場所なので最低2枚は必要となる。
初心者マークに関する罰則
免許取得から1年経っていない人が車に初心者マークを貼らずに運転すると、「初心者標識表示義務違反」として罰則を科せられる。行政処分点数は1点、反則金は4000円だ。初心者マークを貼る車は自身が所有している車はもちろん、他人の車やレンタカーも含まれるので注意しよう。
初心者マークを貼っていても、指定場所以外ではないところだったり、前後2ヵ所に付けていなかったりすると罰則の対象となる。
なお、初心者マークを貼った車は道交法によって保護の対象となる。やむを得ない場合を除いて、周囲を走行している車が幅寄せや無理な割り込みを行ったら「初心運転者等保護義務違反」として罰せられる。
反則金は大型車&中型車&準中型車が7000円、普通車&二輪車が6000円。行政処分点数はともに1点となる。
初心者マークの種類・選び方
初心者マークのデザインは、道交法(道路交通法施行規則)別記様式第五の二で形状やサイズ、色、黒縁の幅などが細かく指定されている。素材も反射材量を用いるよう定められている。
当然、規定を満たしていないデザインやサイズ、反射素材以外のものはNGだ。購入する際には「道交法施行規則に適合」と明記されている製品を選ぼう。
また、初心者マークには主にマグネットタイプと吸盤タイプ、ステッカータイプの3種類がある。それぞれの特徴は以下のとおりだ。
■マグネットタイプ
磁石で貼り付けるため、貼ったり外したりしやすい。ただ、アルミ製や樹脂製ボンネットなど金属以外の部分に貼ることができない。
■吸盤タイプ
ガラス内側に貼り付けられる。車外には使えない。
■ステッカータイプ
どこにでも貼れるが、剥がしにくく、一度剥がしたら再利用できない。ただ、近年では静電気や水の表面張力を利用して剥がしやすく、再利用できるようにした製品もある。
初心者マークの入手方法
カー用品店やもちろん、ホームセンターや100円ショップ、ネット通販などで購入可能。運転免許試験場の売店でも販売されている。初心者マークが劣化して認識されにくくなっている場合や紛失してしまった場合は、速やかに購入しよう。
初心者マークに関する注意点
マグネットタイプ、吸盤タイプの初心者マークは同じ箇所に貼り続けていると、次第に粘着力が落ちていってしまう。定期的に剥がし、掃除してから貼り直す必要がある。
また、いずれのタイプでも同じ箇所に貼り続けていると、環境によっては跡が残ってしまうことも。他の部分が日光によって色あせてくるのに対し、初心者マークを貼った塗装面だけ色あせないからだ。
特に直射日光に当たる屋外駐車の場合は、「車を降りたら初心者マークを剥がす」「貼る場所をときどき変える」など、跡が残らないように対策すると良いだろう。
初心者マークに関するQ&A
Q.初心者マークは中に貼り付けてもOK?
A.前方と後方から見やすい位置であれば車内に表示しても問題ない。しかし、フロントガラスへの表示は禁止だ。フロントガラスに貼って良いものは「ルームミラーや車検ステッカー(検査標章)やダイヤルステッカー(定期点検標章)などのみ」と道路運送車両法で定められている。対してリアガラス内側への貼り付けはOK。ただ、視界の妨げとならない場所に貼ること。
Q.初心者マークが貼り付けらない時の対処法は?
A.初心者マークを貼ってもすぐに剥がれそうなときは、透明テープなどで補強するのも一案。マークが隠れなければ、固定方法は特に指定されていない。
Q.高齢者マークとの違いは?
A.高齢者マークの貼り付けを求められるのは、加齢により体の機能が低下し車の運転に影響を及ぼす恐れのある70歳以上のドライバー、および75歳以上の全ドライバー。初心者マークとの大きな違いは、初心者マークは表示が義務づけられているが、高齢者マークの表示は努力義務であること。つまり、高齢者マークを付けていなくても罰則はないのだ。
Q.1年以上にわたって初心者マークを付けていたら違反?
初心者マークは免許取得から1年間、表示が義務づけられているが、それ以外のドライバーが表示してはいけないという道交法の規則はない。だが、初心者マークの表示は周囲のドライバーに通常以上の配慮を求める行為。初心運転者期間を過ぎたら外すようにしよう。
Q.初心者マークをたくさん貼ったら違反となる?
A.道交法では「前方または後方から見やすい位置に初心者マークを表示する」と定められているだけで、枚数については指定されていない。そのため、3枚以上貼っていても違反ではない。ただし、周囲から認識されにくくなり恐れがあるので、必要以上の初心者マークを貼る行為は避けるのが無難だ。
※記事内の情報は2023年3月6日時点のものです。
自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。