車好きな大人の社交場が富士に誕生! 激レア車両も展示する新たなスタイルのモータースポーツミュージアム【EDGE Motorsports】
2022/10/08
国内と海外の自動車メーカーが連携した常設展示に注目
「現在、トヨタ自動車は静岡県において同時にふたつ、大きなプロジェクトを手掛けている。一つは東富士工場跡地に建設中の実験都市「ウーブン・シティ」。もう一つが富士スピードウェイを中心とした「富士モータースポーツフォレスト」だ。
前者は自動運転などを実現する未来都市であり、後者は大人の遊び場・社交場として、モータースポーツ文化を楽しめる複合施設を目指して誕生した。
2022年10月7日、その富士モータースポーツフォレストの一環として作られた「富士スピードウェイホテル」と「富士モータースポーツミュージアム」がオープンした。
ホテルは、日本初上陸のブランド「アンバウンド コレクション by Hyatt」として開業。ここでは、そのホテルと一体になった「富士モータースポーツミュージアム」に注目してみたい。
同館は“モータースポーツが車を鍛え、進化させた熱い歴史をたどる”を設立趣旨に掲げている。モータースポーツミュージアムとしては世界初の試みとなる、国内メーカーはもとより、フォード、メルセデス・ベンツ、ポルシェといった海外の自動車メーカーを含めた10社の連携による常設展示を行っているのが特徴の一つ。
モータースポーツが量産車の進化に与えた影響をテーマとし、約130年におよぶモータースポーツの歴史や世界の主なレースなどを体系的に紹介。監修はトヨタ博物館によるものだ。
メインエントランスを入ると、いきなり真横にディスプレイされた「TOYOTA7」が目に飛びこんでくる。これは1960年代に日本グランプリの参戦に向けて開発された、トヨタ初の本格レーシングカーだ。
この他、施設内には本邦初公開となる1922年のストラスブール・グランプリ参加車両「サンビーム グランプリ」など、歴史に名を残すモータースポーツ車両の約40台が一堂に会している。
3階には富士スピードウェイを一望できるカフェも併設
ミュージアム3階には、ショップ&カフェ「Fan Terrace」を併設。全長50mにも及ぶテラスは、富士スピードウェイの最終コーナーが見渡せる絶好のビューポイントとなっている。ショップでは希少な書籍やオリジナル雑貨が購入できるというが、運営がTSUTAYAを手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブと聞けば合点もいく。
そもそも自動車は、馬車に代わる新しい移動手段として誕生したもの。その動力源としてふさわしいのは、蒸気か、電気か、内燃機関なのか。それを決める競争の中から自動車レースが誕生したといわれている。モータースポーツは「動力の転換」という大きな変革期に始まったのだ。
そして今、自動車産業は1886年に世界初のガソリン車「ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン」が誕生して以来の大変革期を迎えている。モータースポーツの世界でも水素エンジンやe-fuelなど、カーボンニュートラルに向けた動きが加速している。
自動車メーカーは威信をかけてレースに挑む。その熾烈な競争があったからこそ技術は進歩してきた。それはこれからも変わらないはずだ。過去から未来へと連綿と続くモータースポーツの歴史を俯瞰できる素晴らしいミュージアムが日本国内にオープンしたことは、自動車ファンにとって何よりの朗報だ。レースがない日でもぜひ足を運んでみたい。
<概要>
オープン:2022年10月7日(金) *富士スピードウェイホテルのオープン日と同日
開館時間:10時~17時
休館日 :無休(2023年3月まで)
所在地 :静岡県駿東郡小山町大御神645