手に入れる前からゾッコン! 仕事と趣味の長い時間をともにする、USカスタムのトヨタ プリウス
2022/08/26
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
手に入れる前からドハマりした愛車のカスタム
ただただ「仕事に必要だから」という理由だけで、人生初の“自分の車”を買うことを決めた。ブロンズマイカメタリックの2代目トヨタ プリウスというちょっとしゃれた選択になったのも、「友人が営む車屋さんにそれが置いてあったから」「プリウスは燃費がいいと聞いたから」というだけの、いわば結果論だ。
しかし、昨年6月に注文を入れてから納車されるまでの約1ヵ月間で、すべてが変わった。
「最初はフルノーマルで乗るつもりだったんです。まぁ当たり前ですよね、主には仕事で使うために買う車なんですから」
言い忘れたが、BONさんのお仕事は飲食店の経営。家族で、フィリピン料理の店を営んでいる。
「でも、なんとなしに車関係のインスタグラムとかを見てみたら……『えっ何? 車ってめちゃめちゃ楽しそうじゃん!』ということに気づいてしまったんですよね」
インスタグラムなどには、自分なりの思想とスタイルで車のカスタマイズを楽しんでいる大勢の人が、その結果物の写真を日々アップロードしている。そんな写真の数々を見て、BONさんは車というものがもつもうひとつの可能性、つまり「自己表現のツールでもある」という部分に気づき、そしてハマったのだ。
「もう完全にハマりましたね。まだ車は手元にないというのに(笑)。インスタを見ながら『これ、いいな』とか『いや、こっちの方向性もいいぞ!』なんて思いながら、結局はUSDMと呼ばれているスタイルで行こうと決めました」
USDMとは「United States Domestic Market」の頭文字を取ったもの。車をアメリカ国内で販売されている仕様にするというカスタマイズのジャンルだ。
「で、納車前整備をしてくれている友人のお店に、プリウスの北米市場向けパーツをいろいろ注文してもらったり、メルカリなんかを通じて自分でホイールを買ったりしましたね。繰り返しになりますが、まだ手元に車はなかったのですが(笑)」
そんなこんなで、フルノーマル状態でやって来るはずだった2004年式プリウスは昨年7月、見事な「USDMスタイルのプリウス」としてBONさんの元へ納車された。
そして納車後は、さらにハマった。
「もちろんね、当初の想定どおり仕事にもプリウスを使ってるんですよ。お店の食材を仕入れるために食肉市場とかにしょっちゅう行くんですが、後席を倒せば、豚の頭とかバラ肉の大きな塊なんかをいくらでも載せられる車ですからね、プリウスは」
だが、家族で営むフィリピン料理店での仕事が朝方に終わると、あるいは定休日である日曜日になると、BONさんと2代目プリウスとの「仕事を離れた関係」が始まる。
「午前2時に店を閉めて、いろいろな片付けをすると、だいたいもう朝方です。普通であればそのまま自宅に帰るだけなんですが、僕には、僕だけのお気に入りのスタイルに仕上げたプリウスという“相棒”がいますからね。相棒と、明け方の横須賀あたりまでふらりと行くんですよ。何をするわけでもなく、大好きな音楽をけっこうな音量でかけながらのんびり走って、馴染みの店でコーヒーを1杯飲むというぐらいのものなんですが」
それが、日々忙しく働くBONさんにとっては「本当にかけがえのない時間」なのだという。
そして店休日である日曜日には、車と同様に「買った瞬間からドハマリしてしまった(笑)」という一眼レフカメラと三脚等々をプリウスに載せ、風景写真を撮るために山を目指す。
「諏訪湖と富士山を1枚の写真に収めるために長野県に行ったときは……その当時はまだシャコタンにしていたので山道で下まわりを擦りまくってしまい(笑)、壊れるかと思いましたが、まぁなんとかなりました」
その後は車高を「ノーマルより少し低いぐらい」に戻し、山へ、川へ、明け方の横須賀へ、そして平日の食肉市場へと、ブロンズマイカメタリックの2代目トヨタ プリウスは元気に走り回っている。納車から1年もたたないうちに、BONさんが走らせたプリウスの走行距離は2万kmを軽く超えた。
「燃費がいいですからね。具体的には、特にエコドライブを意識しなくても21km/Lぐらいは走りますから、気兼ねなく、思い立ったときに、思い立った場所まで行けるというのが、プリウスという車のいいところなんでしょうね」
もちろんそのとおりではあるのだろう。だが、加えて「自分だけのスタイルに仕上げたプリウスだから」というのも、BONさんがこの車の走行距離をガンガンに延ばしている大きな理由であろうことも、想像に難くない。
BONさんのマイカーレビュー
トヨタ プリウス(2004年式)
●購入金額/カスタム費用も入れて71万円
●年間走行距離/約2万km
●マイカーの好きなところ/シンプルでかっこいいところ。普通の車に見えていろいろUSカスタムしてるところ。ウーファーも積んであって音楽を大きい音で聴けるところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/ハイブリッドなのでエンジン音があまりなく歩行者に気づかれにくい。
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/よく遠出に行く人です。ハイブリッドで燃費がいいのでどこでも行けます!
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。