【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】友人の初めての中古車購入をサポートしよう
カテゴリー: カーライフ
タグ: 高そうに見えて意外と安い? / 時事放談 / フェルディナント・ヤマグチ / 編集部 西村泰宏
2022/05/24

みなさまごきげんよう。 フェルディナント・ヤマグチでございます。
ひょんなことからタレントでヨガインストラクターのMiekoさんの悩みを聞くことになりました。
私とMiekoさんは彼女が中学生の頃からの友人で、私がホノルルトライアスロンに出場する際は、当時ハワイ在住だった彼女が応援に来てくたりしていたのです。
そんなMiekoさんから「クルマ購入の件で悩んでいる」と連絡をもらったら、そりゃ助けないわけにはいかないでしょう。
4月からカーセンサー統括編集長になった西村さんにも声をかけ、まずは彼女の悩みを聞いてみることにしました。
オーダーした新車が2年待ち! つなぎとして中古車を探してみる?

今日は忙しい中、わざわざウチまで来てもらって悪かったね。連絡をもらった“クルマの悩み”とは一体なんだろう。今日はカーセンサーの統括編集長にも来てもらったから、なんでも答えられると思うよ。

はじめまして。今日はよろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いします。私は2年前にハワイから日本に戻ってきました。日本で暮らすようになってからはクルマを所有していなかったのですが、主人と「そろそろクルマがあってもいいね」と話しているんです。

そうだね。クルマがあればいつでも好きなときに行きたい場所に出かけられる。ショッピングも便利になるし、絶対に買うべきだよ。

ハワイではレクサス RXに乗っていてすごく気に入っていたのですが、買って1年で日本に戻ってきたので、レクサスにもう一度乗りたいと思ってディーラーに行ったんです。

またRXを買おうと思ったの?

東京だともう少し小さなクルマの方が便利かなと思って、NXを買うことにしました。そうしたら納車までに1年半~2年くらいかかると言われちゃって……。

レクサスだけでなく、今は世界的な半導体不足とロジスティクスの停滞で、どのメーカーも深刻な納車待ちが続いているんだよね。

しかもNXは昨年10月に出たばかりなので、オーダーが集中しているタイミングですから。

クルマが欲しいと思ってお店に行ったのに2年近く待たなければいけないとなって困ってしまって……。「じゃあ中古車?」となってもこれまで中古車を買ったことがないし、買った後に壊れてしまったりだまされちゃったりしないか心配だし……。それでフェルさんに相談してみようと思ったんです。

Miekoさんが心配される気持ち、よくわかります。実は僕もカーセンサーの仕事をする前までは同じように考えて新車ばかり乗っていたんですよ。

そうなんですか?

大昔の中古車はどこか怪しい部分があったのは事実です。実際に私が学生時代に初めて買った中古車は、後から大きな事故を起こして色も塗り替えられていた......なんてこともありましたから。そんな負のイメージを変えるために様々な施策を打ってきたのが他ならぬカーセンサーなんだよね。

カーセンサーだけでなく業界一丸となって改革に取り組んできました。まずはMiekoさんの“中古車のイメージ”を伺ってもいいですか?

クルマに限らず、私は長女なので子供の頃から洋服やオモチャはお下がりではなく新しいものを買ってもらっていました。それもあって“誰かが使っていたもの”を選ぶという感覚がないんです。

ましてやお姉さんのお下がりではなく、誰が使っていたかわからないものだからね。

そしてクルマの知識が全然ないから、だまされたりしないか、見た目はキレイでも実は故障していたりしないか、という不安もあります。

先ほどもお話したように、今はほとんどの中古車販売店はお客さんが安心して選べるようにクリーンな商売をしています。カーセンサーもまっとうな商売をしていない販売店は掲載できない仕組みを作っています。

故障も、新しい中古車なら納車されていきなり動かなくなるようなことはないと思って大丈夫だよね?

クルマは機械なので絶対に壊れないとは言えません。これは中古車だけでなく新車も同じです。僕は先日1990年式の中古車を買ったのですが、「いつクルマが火を吹いても大丈夫なように」と消化器が付いていました(笑)。

え! そんなことがあるんですか……?

こらこら! これから中古の世界に踏み込もうかと悩んでいる人をからかうんじゃないの! 西村さんが選んだクルマはマニアックで特殊なものなんだから!

すみません(苦笑)。

中古車だと新しいものは選べない? いいえ、いろいろ選べます!

中古車販売店はお客さんが安心して乗れるよう納車前に整備を行います。ただ、この整備の考え方は大きく2種類あります。

それはどう違うのですか?

わかりやすく説明するために、新車から10年が交換目安といわれる部品を例にしますね。ひとつは乗っている間に壊れることを防ぐために、納車前にあらかじめ交換するやり方です。

予防整備ですね。安心感は高まりますが、その分整備にお金がかかります。

もうひとつは納車後に安心して乗れる整備は行うけれど、壊れていない部品は交換しない方法です。10年が交換目安といわれる部品も乗り方によっては10年以上持つこともよくあります。トラブルが発生したときに直すことでトータルの整備費用を抑えるという考え方です。

私はもし中古車を選ぶとしても、なるべく新しいものが安心ですね。ただ、中古車だと新しいものは選びづらいですよね?

じゃあ、ここで僕からMiekoさんにクイズをひとつ。Miekoさんは“中古車の定義”ってわかりますか?

え? 新車で買った人が何年か乗って手放した車じゃないんですか?

その答えだと、半分正解という感じになります。正確には運輸支局に登録されてナンバープレートの交付を受けたことがあるクルマはすべて中古車になります。

だから今年製造されて、まだ数kmしか走っていないのに「中古車」として販売されるものもあるんだよ。


他にも新車ディーラーの展示車や試乗車だったものが1年たたずに中古車として流通するケースもあります。家電量販店でテレビや冷蔵庫が“展示品・現品限り”として売られていたりしますよね。ちょっと強引ですが、あれに近いと思っていただいていいと思います。

そういうクルマは走るといってもお店の周りだけだし、隣に店員さんが座るから無茶な運転もされていない。お客さんに気持ちよく乗ってもらうためにしっかり手入れもされているから安心できるはずだ。

最近は残価設定クレジットの他に、個人リースやサブスクという乗り方もメジャーになりました。これらは比較的短期間で乗り替える人が多く、しかも手放す際の減点を避けるためにていねいに乗られていたケースが多いんですよ。こういう中古車もMiekoさんの考え方だと安心できる選択になると思います。

一口に中古車と言ってもいろいろなものがあって、新車に近いものが欲しいという私でも選べるんですね。安心しました。

今回は1年半~2年後に新車がやってくるまでの“つなぎ”として中古車に乗ってみたら? という話だけれど、もしそのクルマを気に入ったらそのまま乗り続けたっていいわけだ。高年式の中古車ならそういうふうになったときも安心して乗れるはずだよ。

そうですね。そしてせっかくこうやって専門の方とお話できたので、「これは他のクルマよりかなり安くてお買い得だよ」というものを見つけられたらうれしいなと思って(笑)。

任せてください! と言いたいところなのですが……。中古車の相場は確立されていて、他より安いものには、どこかに安い理由があります。もちろんそこに納得できればいい買い物になりますが、条件を新車に近づけていけば価格も新車に近づいていくんですよ。

なので、私たちでこういう条件はどお? というところも含めてクルマ選びをサポートしていきましょう。まずはどんなクルマがいいかというところから話してみましょうか。
ハワイ時代の愛車はリンカーン ナビゲーター!

新車でオーダーを入れたのはレクサス NX。やっぱり少し小さめのSUVというが第1希望なのかな?

日本で使うならそんなに大きくない方が便利かなと思っています。ハワイにいた頃は4人の子供と出かけることもあったので、リンカーン ナビゲーターなどけっこう大きなクルマに乗っていたんです。

それはすごい! じゃあ大きさに対する抵抗感はなさそうですね。

そうですね。でも、子供たちも大きくなって独立したので、私と主人、そしてワンちゃんくらいしか乗らないと思います。だから小さいクルマでもいいかな。

NXはニューモデルだけれど、発売されたばかりのクルマというのはこだわりたいところ?

いいえ。NXはサイズ的にいいなと思ったので、1つ前の世代のクルマでも気になりません。ただ、年式はなるべく新しいものが欲しいですね。

1年半~2年後にNXが納車されることを前提に考えるなら、あえてNXとは対象的なものを選んだ方が、今回買うクルマもNXも、両方満足度が高くなるかもしれないですね。例えばステーションワゴンとか、もっと振り切ってオープンカーやスポーツカーを選ぶとか。でも、ワンちゃんも乗るなら2ドアのスポーツカーは難しいかな。

SUVでもメルセデス・ベンツ Gクラスのようにカクカクしたデザインのものにするとか。


あ、私四角い感じのクルマって好きです。

四角いSUVがお好きでしたら、ジープ ラングラーもおもしろそう。NXとのギャップを存分に楽しめますよ。


ジープはすごくカッコいいですよね。いつか乗ってみたいクルマです。

ご主人とワンちゃんとで使う。都市部を走るのが中心。SUVとは別のタイプという条件だと、私が強くオススメしたいのはフォルクスワーゲン ゴルフです。私はいわゆるCセグメントに属するモデルは、「ゴルフかそれ以外」というほど、ゴルフは素晴らしいモデルだと思っているから。

1974年に登場したゴルフIから最新のゴルフVIIIまで、常にハッチバックのベンチマークであり続けています。


そうなんですか。今までハッチバックに乗ることをまったく考えていなかったから全然知りませんでした。

1Lと1.5Lのガソリンエンジンに加え、2Lディーゼルも発売されました。選択肢もいろいろあります。

街中でも乗りやすいサイズ感といったら、ミニもありでしょう。SUVがいいならミニクロスオーバーがある。ミニクロスオーバーは一時私も欲しいと思っていたんだよ。


ミニ、かわいいですね。家でゆっくり見たいからメモしておきます。

ちょっと考えただけでも楽しそうなクルマがたくさん出てくる。でも、ここで話しているだけじゃなかなか結論は出そうにないな。西村さん、やっぱり実車を実際に見に行く機会があった方がいいですね。

そうですね。Miekoさんの条件である比較的新しいモデルをなるべくたくさん見られるショップをいくつか探してみます。

ありがとうございます。楽しみです!

ひょんなことからスタートした、中古車がまったく視界に入っていなかったMiekoさんの中古車探し。みなさんもぜひ、自分のクルマを探すような感覚で注目してください。

コラムニスト
フェルディナント・ヤマグチ
カタギのリーマン稼業の傍ら、コラムニストとしてしめやかに執筆活動中。「日経ビジネス電子版」、「ベストカー」など連載多数。著書多数。車歴の9割がドイツ車。