シャッターを上げても、また、家の中からも絶景が望めるイギリス車のためのガレージ【EDGE HOUSE】
カテゴリー: カーライフ
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2022/04/27
ドイツ車の質実剛健さでも、イタリア車の艶やかさでもなく、イギリス車のエレガントさに魅了された施主。手に入れたのはイギリス車を収めるにふさわしい、眺望の良いガレージハウス。道路から入った側には窓が一つもないが、そこにはイギリス車にふさわしい品格と、刻々と時間とともに移り変わる絶景を楽しめる仕掛けが隠されていた。
イギリス車のためのガレージから始まった設計
イギリス車を4台収められる眺望のいいガレージハウス。これが施主の要望だった。建築家の藤原誠司さんが土地探しから携わり、見つけたのが、山の斜面にある造成地。高級住宅地として知られている一角で、南側は神戸の街並みと海を見下ろし、東側に目を向ければ美しい渓谷や山々を望む。眺望は申し分ない。
一方で、車のスムーズな出入りに欠かせない道路と水平な部分は、北側の幅約5mしかなかった。ここからガレージに愛車を収め、南や東側の絶景を眺めながら寛ぐ施主をイメージすることから藤原さんの仕事は始まった。藤原さんは、北側のガレージと玄関へのアプローチに自然石を敷き詰めた。周囲の山にある木々からは、秋になれば落ち葉が舞い降りる。コンクリートやタイルでは一枚たりとも残さず掃除をしたくなる。
しかし「石畳なら多少の落ち葉はむしろ絵になります」と藤原さん。またガレージは大開口の3台分と、1台分のガレージに分けた。1台分の方は、釣りの好きな施主が、釣り道具などを収めた趣味部屋に直行できるようにするためだ。一方で、アプローチと玄関のある北側には窓を一つも設けなかった。
理由は2つ。北側には山の上に家々があるため、下手に窓を備えると上の家々から室内が丸見えになってしまうこと。そして3台分のガレージに備えられたシャッターが“大きすぎる”こと。「イギリス車の収まるガレージハウスには、それにふさわしい気品や落ち着いた雰囲気を備えたかったのですが、このシャッターの大きさはインパクトが強すぎます」。藤原さんは、そのインパクトを抑えるためにシャッターを建物と一体化させることを考えた。そのためには窓のような開口部がない方が、シャッターと壁の一体感を出しやすいという。
先述のとおり、眺望に長けた土地だ。無理に北向きに窓を設けなくても、家の至るところで周囲の景色を切り取って楽しめる。絶景を楽しむ特等席である2階LDKは言うに及ばず、ガレージのシャッターを上げるだけでも、奥には額縁のように窓があり、一枚の絵のように山の緑が収められている。
玄関を開ければ、左手にガレージ側を見渡せる大きなガラス戸、正面に緑と空が広がる窓がある。ほとんどの空間に、周囲の景色が絵のように壁を飾っている。そのために窓、つまり“借景の額縁”の大きさや位置、飾る高さは、余計な景色が目に入らないよう計算されている。雨で窓が汚れて絶景が損なわれてしまわないように、軒を一般的な家屋よりも張り出すような工夫も。
夜景が有名な神戸の街を見渡せるLDKは、照明が窓ガラスに映り込んで夜景の邪魔をしないよう、グレアレス照明が用いられた。こうして出来上がった、イギリス車がよく似合う、優雅で眺望のいいガレージハウス。施主は2階LDKのソファで、夜景を眺めているうちによく寝落ちしてしまうことがあるというが、それはこの家の快適さの証しなのだろう。
■主要用途:専用住宅
■所在地:兵庫県神戸市
■構造:木造・金物工法
■敷地面積:421.2m²(約127.4坪)
■建築面積:121.5m²(約36.6坪)
■延床面積:220.4m²(約66.5坪)
■設計:藤原誠司(フジハラアーキテクツ)
■TEL:078-599-6105
■プロデュース:ザウス
■TEL:0120-054-354(関東) / 0120-360-354(関西)
※カーセンサーEDGE 2022年6月号(2022年4月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています