車で被災する事例が多発!? 災害対策の権威が語る「車の防災」の大切さ
2020/06/03
知識不足で車が被災するケースが増加
爽やかな5月が終われば、そろそろ梅雨に入る。そしてジメジメした梅雨が明けると、今度は台風のシーズンがやってくる。雨の日が多くなるこれからの季節、気がかりなのは災害だ。2018年には関西地方で、2019年には千葉・福島県を中心に関東・東北地方でも、台風による大きな被害が広域に発生している。こうした災害では、駐車してあった車が水没したり、運転中に被害に巻き込まれたりするケースも少なくない。
そこで、
関西大学社会安全学部 特別任命教授
河田惠昭(かわたよしあき)
1986年に創設された防災分野のノーベル賞に相当する「国連SASAKAWA防災賞」を、2008年に日本人で初めて受賞。関西大学社会安全学部の特別任命教授の他、阪神・淡路大震災をきっかけとして設立された「人と防災未来センター」のセンター長を兼務する。著書「これからの防災・減災がわかる本」(岩波ジュニア新書)は、防災の入門書として広く読まれている
「最近の傾向として、運転中に自然災害に巻き込まれる被害が非常に大きくなっています。
こうした現状は、災害に対する知識や防災への意識の不足によると河田氏は強調。
「日本の河川の堤防は土でできています。そこにアスファルトを舗装し、堤防の上に道路を作っているのです。だから川が増水すると、堤防の中の土は河川の水が浸透してゆるんでいます。そこに重い車が走れば、突然道路が凹むことも起こりえます。実際に堤防から車が川に転落し、乗っていた家族4人が亡くなった事故が報道されました。これは運転を誤って川に転落したというよりも、道路が凹んでタイヤが落ち、とっさにハンドル操作を誤ったことが原因だった可能性が高いのです」
普段は便利なカーナビが災害時に危険を招く!?
大雨や台風では河川付近だけではなく、
「1時間に50ミリ以上の雨が降ると、大雨警報が発令されます。
また、普段は何げなく使っている便利なカーナビも、災害発生時には危険を招く可能性があるという。
「
こうしたケースでは「
「高速道路が通行止めになったということは、このまま運転を続けてはいけないというサイン。それは、一般道が安全だと言っているわけではありません。しかしスピードを落としてゆっくり走れば大丈夫だと思いがちです。しかもカーナビがあるから、土地勘のない場所でも先へ進んでしまう。
大丈夫? と思ったときが知識を得るチャンス
台風や大雨が近づいているが、どうしても車で出かけなければならないとき、もしくは運転中にそれらに遭遇したとき、どのように対処すべきなのだろうか。
「
ハザードマップをしっかり確認しよう
大雨や台風に限らず、地震や津波なども含めて、あらかじめ災害に巻き込まれるリスクを回避するための知識や情報を得るには、どんな方法があるのだろうか。
「
さらに
「万一、家にとどまることが危険な状況であれば、そうした近場の安全な場所に車で避難する方が、わざわざ遠くの避難所へ行くよりリスクを抑えられます。また、
もし車を運転中に災害が発生した場合、どのような行動を取ることで被害を回避、軽減できるのだろうか。
「様々なケースが考えられますが、まずは水に関して。車を運転している最中、
一方で
「慌ててブレーキを踏むと後続車に追突され、大きな事故になります。追突事故を避けることを第一に考え、前後左右の車両に注意しながら安全な場所に待避してください。もちろん少しでも考え事をしながら運転してはいけません。瞬時に反応できないからです」
車両保険に加入することも重要な自助努力のひとつ
では万一、車が土砂災害に巻き込まれたり、水没してしまったりした場合は、どうすればいいのか。
「
こうした事態を想定し、
「もし車が立ち往生したのが夜だった場合、懐中電灯がなければ避難もままなりません。また、車から体ひとつで逃げることを想定し、スニーカーなど紐靴で運転する方が良いです。家から車で家族と一緒に避難しなければならないケースも考えて、ペットボトルの水や日持ちする備蓄用品、5~6mのロープや細引きを車のトランクに積んでおけば安心です。傷薬や目薬、ウエットティッシュなど、災害に遭ったときに必要で場所を取らない物は、ダッシュボードに入れておきましょう。それから、道路が浸水して停車を余儀なくされた場合、人によっては車外に出るだけで怖くて身がちじこまることも。避難するときに手をつなぐだけでは不十分です。ロープや細引きで腰同士を結び合ってください。そして、給油するときは必ず満タンを心がけましょう。渋滞が長く続くと燃料切れが心配です」
「自助・共助・公助といわれますが、災害から身を守るためには自助努力が一番大切です。愛車を守るなら車両保険に入るということも、重要な自助努力のひとつ。災害が起きたときに安全を考えても手遅れになります。だから起きる前に、正しい知識を身につけ、日頃から準備しておくことが、命と愛車を守るのに一番効果的です」
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