▲陰影がクッキリしていて、ボディのプレスラインもハッキリ。躍動する雰囲気が十分に伝わってきますね ▲陰影がクッキリしていて、ボディのプレスラインもハッキリ。躍動する雰囲気が十分に伝わってきますね

車をカッコ良く撮影する方法をプロカメラマンに教わってきた

芸能人など番組で披露する幼少時の写真に、車と一緒に撮影されているものをよく見ます。今も昔も、愛車の姿を残しておきたいのは変わらないようです。ただ、最近では記念に残すだけではなく、納車時やドライブの写真をSNSで友人などと共有することも多いよう。そうなると、やっぱり「いいね!」と言って欲しいですよね。

人物撮影ならライティングやポージングで、よりステキになりますよね。車もちょっと工夫すれば、カッコイイ写真が撮れるんです。そこで、カーセンサーを始めとして、数多くの媒体で車の撮影を手がけるカメラマンの篠原晃一さんに、簡単にそれなりの写真をiPhoneで撮るコツを伺いました。

まずは、私の写真を見てもらってアドバイスを貰いましょう。iPhone6で写真をパチリ。うん、いい感じです。

▲どうですか? このニューアテンザ! 私もなかなか上手でしょう?▲どうですか? このニューアテンザ! 私もなかなか上手でしょう?

「車に近づきすぎですね。形がずんぐりと写っています」と篠原さん。なんでもiPhoneの特性上、近づきすぎるとフレームの端にゆがみが出やすくなるのだとか。集合写真の端に移った人が歪んで見えるのは、そのためなんです。

「じゃあ、私が一枚とってみましょう」と篠原さんがパチリ。プロのお手前を拝見です。

あれ……。明らかに私と違う…。何というか車の全体像がしっかりとわかる写真です。

▲プロが撮った写真はひと味違いました。さきほど「なかなか上手……」なんて言ってた自分が恥ずかしくなります ▲プロが撮った写真はひと味違いました。さきほど「なかなか上手……」なんて言ってた自分が恥ずかしくなります

「まず根本的なことですが、後ろに別の車が写り込まないように車の位置を移動しました。次に、歪みが出ないように少し離れた場所から、画面の真ん中に車が来るような構図で撮影しています。写真を撮る際、多くの方が車に近づきすぎてしまいます。これを意識するだけでも、結構変わりますよ」

本来は「ボディに異物が写り込まない場所に移動した方が良い」とのことですが、これでも十分カッコ良い~。

リアは撮るのが難しいので、少し工夫が必要

「それじゃ、次はバックショットを撮影してみましょうか」と篠原さん。少し離れたところから画面の真ん中に車を配置して撮影、というセオリーを守って、パチリ。うん、いいんじゃないの。

▲私が撮影したリア。今度こそなかなか良い写真が撮れたんじゃないですか? ▲私が撮影したリア。今度こそなかなか良い写真が撮れたんじゃないですか?

「ちょっと平凡すぎますね。実は、リアの撮影は難しいんですよ。フロントはノーズのデザインやグリルの形状がそもそも格好いいので、セオリー通りに撮ればそれなりの写真になります。しかし、リアは分厚くて四角い車が多いため、セオリー通りに撮ると、どうしてもでっぷりとした写真になりがち。だからこそ、格好良い1枚をSNSにアップすると一目置かれるかもしれません!」

いや、撮る前に言ってくださいよ……。

そんないけずな篠原さんの1枚がこちら。

▲プロが撮ったリアビュー。今にも走りだしそうな躍動感があります ▲プロが撮ったリアビュー。今にも走りだしそうな躍動感があります

同じiPhone6で撮った写真だけど、雰囲気が大分違いますね。プロカメラマンのすごさを改めて実感しました。

「まず、陰影をつけてデザインをクッキリみせるために、露出を絞って少し暗めで撮りました。女優さんがシワを飛ばすときに、よく明るいライトを使うでしょう。あれと逆のことをしたんです。iPhoneでは、ios8からカメラの露出変更ができるようになりました。ピントが合った状態で画面を長押しすると変更できるので、覚えておくといいですよ。次に構図ですが、左側にスペースをもたせ、車を少し斜めにして、これから走り出そうとする躍動感を表現。奥に写る建物のデザインもアクセントにしています」

コンデジを使えば、逆光でも素敵な写真が撮れる

では、iPhone6を使った撮影のポイントをおさらいしましょう。

【ポイント】
・あまり被写体に近づかない
・画面の真ん中に車が来るような構図にする
・ボディに異物が写り込まない場所に移動する(可能なら)
・露出変更を上手く使ってデザインをクッキリ見せる(ios8なら)
・リアビューは車を斜めに撮ると躍動感がでる


こうなると、もっとカッコ良い写真を撮りたいと思ってしまいます。とはいえ、一眼レフはハードルが高いし。そこで、マニュアル設定ができるコンデジ(ソニー DSC-RX100M3)を使った撮り方を聞くと、篠原さんは快くパチリ。

「iPhone6より高性能なカメラだったので、露出を絞っただけでなく、あえて逆光で撮影しました。順光のほうが車全体に光が回るのですが、逆光は細かい凹凸まで際立たせて、重厚感のある雰囲気を醸し出してくれます。コンサートなどでも、上手く逆光を使ってますよね。今回は少し斜め後ろからの逆光にすることで、ボディの右端から正面の一部を強調しました」

ほかにも、ヘッドライトとフォグランプを点灯させることでグリル周辺のシルバーを際立たせたり、ローアングルから撮ることでスポーティーな雰囲気を演出したりと、こだわりがあるのだとか。ちなみに、ローアングルにしすぎるとカッコ悪くなるので、「屋根の流線がしっかりと見える程度の低さ」で撮ることがポイントです。

ちょっとしたポイントさえ覚えれば、車の写真はもっとカッコ良くなるんですね。愛車を撮影するときの参考にしてください。

▲雰囲気、出ています。逆光の中での撮影でしたが、プロはそんな状況さえも味方につけてしまいます ▲雰囲気、出ています。逆光の中での撮影でしたが、プロはそんな状況さえも味方につけてしまいます
▲「魂動デザイン」のイメージカラー「ソウルレッドプレミアムメタリック」が一段と映えています ▲「魂動デザイン」のイメージカラー「ソウルレッドプレミアムメタリック」が一段と映えています
▲私が撮ったダメなローアングル。車全体が平たくなってカッコ悪い…… ▲私が撮ったダメなローアングル。車全体が平たくなってカッコ悪い……
text/コージー林田 photo/篠原晃一、コージー林田