ドライバーなら誰しも夢見る「渋滞のない世界」は、割とすぐそこまでやってきている。ホンダが2012年9月~2013年2月にかけてインドネシアで行った公道実験によると、車にとある「専用アプリ」を搭載することで、渋滞発生を最大6分遅らせることができ、燃費も20~22%向上できるという。

専用アプリの内容は、当該車両の加減速変動パターンをモニタリングし、車両が「渋滞発生につながる走行」をしているかどうかを判断するというもの。「渋滞発生につながる走行」というのはつまり「急激な減速」のことだ。

前方を走る車が何らかの要因で速度低下を起こしても、後方を走る車が周囲と同調した穏やかな減速をすれば、前方の速度変化をうまく吸収することができ、結果として渋滞は発生しにくい。反対に急激な減速を行ってしまうと車間距離が詰まり、あっという間に渋滞が完成する。

ホンダが実験に用いた専用アプリは、渋滞が発生しにくい運転ができているときは画面に緑色を表示し、そうでないときには青色を表示するというもの(写真右)。参加したドライバーは表示に従い、周囲と同調した走行に気をつけながら走ってみる……という公道実験であった。

結果は、スマホ同士を連携させない「単体型」では、渋滞の発生を平均3分/最大6分遅れさせることができ、燃費は20%向上。複数のスマホをクラウドサーバに接続して監視する「通信型」ではさらに、渋滞発生が平均4分/最大6分遅れ、燃費は22%向上したとのこと。

またビンタロ付近の高速道路では「交通量が3分間につき200台を超えると平均車速が急激に下がり、渋滞が始まる」ことを観測したが、このシステムありの場合は「交通量が3分間につき200台を超えても、しばらくすると平均車速が上がり、渋滞を最小限に抑制できる」ことを確認した。

イライラの素であり、それがゆえに事故も増え、二酸化炭素も増える交通渋滞。それが様々な自動化により根絶される明るい近未来をイメージしつつ、今日のところは“手動”で、周囲と同調したスムーズな安全運転を心がけていきましょう!

前方を走る車が速度低下を起こした際、後続車が急減速するのではなく「周囲と同調した穏やかな減速」をすれば、渋滞は発生しにくい

前方を走る車が速度低下を起こした際、後続車は急減速するのではなく「周囲と同調した穏やかな減速」をすれば、渋滞は発生しにくい

ホンダがインドネシアで行った公道実験で使用されたスマホの画面。「渋滞の発生につながらない運転」の場合はディスプレイは緑色に

ホンダがインドネシアで行った公道実験で使用されたスマホの画面。「渋滞の発生につながらない運転」の場合はディスプレイは緑色に

「渋滞につながる走行」をしているとディスプレイはこのような青色に。ドライバーはそれを見て減速などを調整する

「渋滞につながる走行」をしているとディスプレイはこのような青色に。ドライバーはそれを見て減速などを調整する