▲しっとりした乗り味は万人に分かるタイプではないが、分かる人は存分に堪能してほくそ笑んでいただきたい。リアの窓が全部下りない以外は、ドライバー以外の乗員にも快適で優しい車。かといって選び手のワガママ度も低くない、そこがDSの特異かつ得なキャラクターだ ▲しっとりした乗り味は万人に分かるタイプではないが、分かる人は存分に堪能してほくそ笑んでいただきたい。リアの窓が全部下りない以外は、ドライバー以外の乗員にも快適で優しい車。かといって選び手のワガママ度も低くない、そこがDSの特異かつ得なキャラクターだ

DS4のマイチェンから本格始動するDSブランド

シトロエンから独立したDSブランドは、新興国市場で先行ローンチされたため、先進国での本格展開はまだこれから。独立第1号モデルとして日本市場で先陣を切るのは、東京モーターショーや表参道のポップアップストアで披露された、DS4のマイチェン版とDS4クロスバックだ。

今回はガソリン仕様のDS4と、ディーゼル仕様のDS4クロスバックに本国で試乗した。前者は1.6LターボのTHP210ps仕様で恐らく日本には縁がないであろうMT6速。後者は来春上陸の期待大な、最新のディーゼルBlue HDi 180ps。2Lターボのスタート&ストップ付き+アイシンAW製6速ATだ。

というわけでDS4クロスバックのディーゼルの印象だが、400Nmという分厚いトルクは車重1420kgに対し不足はないが、2000rpmの最大値発生域はディーゼルとしてはやや高め。操舵に対するロールの仕方も量も適切だが、ノーズの反応は軽快さより、いい意味でどっしりしている。先代からキャリーオーバーの足回りとはいえ、C4がソフトにすぎると思うクチにはちょうどいい塩梅だ。

でもガソリン仕様のDS4の、車高と重心が3cm下がった足回りを知ると、悩ましい。MTのせいもあるが、切れ味と乗り心地のバランスがやはり一段ヌケている。車重は、1313kgと100kg以上も軽く、全体的に軽快さが際立つ。THP210のピークがある加速感もいい。

逆に、DSらしいレザーシートと手仕事で8時間かかるというダッシュボードのインテグラレルレザーが、重厚なディーゼル仕様に組み合わされていたら、車全体の印象が変わるはず。鷹揚なディーゼルとパンチ力のガソリンという。いずれDSには最初から濃いめキャラが揃った。
 

▲前後LEDコンビランプなどが特徴の、ルミナス・シグネイチャーと呼ばれる明るく目を引く外観 ▲前後LEDコンビランプなどが特徴の、ルミナス・シグネイチャーと呼ばれる明るく目を引く外観
▲運転席まわりは航空機の操縦席をイメージ。腕時計のベルトがモチーフのクラブレザーも用意される ▲運転席まわりは航空機の操縦席をイメージ。腕時計のベルトがモチーフのクラブレザーも用意される
▲アーチトリムやブラックパーツで演出されたDS4クロスバック。アイポイントはDS4より30㎜高い ▲アーチトリムやブラックパーツで演出されたDS4クロスバック。アイポイントはDS4より30㎜高い

【SPECIFICATIONS】
■グレード:THP210 Sport Chic ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1598cc
■最高出力:211/6000[ps/rpm]
■最大トルク:280/1750[n・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6MT
■全長×全幅×全高:4284×1810×1497(mm) ■ホイールベース:2612mm
■車両重量:1313kg

text/南陽一浩
photo/DSコミュニケーション、ニコラ・ツヴィッケル