世界レベルのMade in JAPAN! アウトランダーPHEVがついに成熟の域に突入した。2019年モデルは驚異的な完成度だ!!
カテゴリー: 三菱の試乗レポート
タグ: 三菱 / アウトランダーPHEV / 松本英雄
2018/07/26
毎年進化を重ねてきたアウトランダーPHEV。2019年モデルはその集大成
意外と知られていないかもしれないが、世界で最も販売されているプラグインハイブリッド SUVは三菱のアウトランダーPHEVである。
コストを抑え購入しやすい価格で販売しつつ、最高のパフォーマンスを提供する。まさに日本の技術力を世界に知らしめる1台である。
2013年に発売してから毎年進化を遂げてきた。そのたびに試乗して安定したコーナリングと加速を体験してきたが「もっとパフォーマンスを向上できるのではないか?」そうエンジニアに問い詰めると「来年はさらに旋回性能が向上すると思います」など、エンジニアの湧き上がるアイデアがあることを十分理解していた。
フェイスリフトした2016年モデルは静粛性や質感も向上したが、リアハッチのボディ剛性不足が課題だった。そこを2017年モデルで接着技術を使って剛性を向上させた。加えてサスペンションのダンパーの動きがとてもスムーズになり、ハンドリングも正確さが増した。
また、普段乗るには十分過ぎる静粛性だが、エンジンが高負担の時の振動は大きかったことも課題に感じていた。
毎年改良を行ってきた集大成が、この夏に発売する2019年モデルのアウトランダーPHEVである。
ボディ剛性やハイブリッドシステムなどを強化し走行性能が向上した
今回の改良はボディ剛性をさらに強化し、長距離でも細かく身体に受ける振動をサスペンションでいなすことによって基本性能を向上させた。
新たな駆動バッテリーを採用してEV走行領域を拡大し、時速135km/hまでEV走行が可能となった。また静粛性の高い2.4Lエンジンを採用して、質と出力向上を狙った。
極め付けはツインモーターによる4WDシステムが一層スポーティになった点であろう。従来型にはなかったスポーツモードを設定したのだ。
コーナリング性能も高いアウトランダーPHEVにスポーツモードがなかったのがふに落ちなかった。なぜなら様々なラリーやレースで活躍した三菱の4WD技術とモータースポーツの歴史を見てきたからだ。
前後の動力を、シャフトなどでつながない、バイワイヤで制御する4WDのパフォーマンスの進化は、一般道で体感することが難しい。そのことから、ショートサーキットや雪上で試乗を行っていた。
そして今回、パフォーマンスを試すべく袖ヶ浦フォレストレースウェイで、“S-Edition”と“G Plus Package”の試乗ができたのでお伝えしたい。
今サスペンションをのぞくと独特なイエローのストラットユニットがちらつく。これはビルシュタイン製のダンパーである証しだ。よってスポーティな味付けであることが理解できる。
試乗はコースを3周することができた。まず1周目はノーマルモードで走らせてみる。
一気に時速70km/hまで上げて第1コーナに差しかかると、とても姿勢が安定している。コーナリング中でもステアリングの感触がしっかりとした印象で、重厚さが増したようだ。
ボディ剛性も路面状態が良いとはいえ路面からの入力に対して実にリニアなサスペンションの動きをして、スムーズである。
次に時速100km/hの高速コーナーから一気に40km/hまで減速し、ステアリングを最小舵角に抑えながら出口に向かって加速する。
滑らかなコーナーからの脱出で感じたのは、四輪の動力性能やねじり剛性が向上したこと。結果、安定性はかなり改善し、質が向上した印象だ。ロールさせながらブレーキングしても車体は極めて安定しているので、ドライバーも慌てなくても済むような操縦性である。
高速域からアクセルを踏み続けているので、さすがにエンジンも始動して電力を供給しているが、以前とは比べ物にならないほど静粛性が高く振動も抑えてられている。
2周目はスポーツモードでの走行だ。シフトレバー下のボタンで走行モードの切り替えを行う。高速コーナーの速度が高くても、アクセルを踏んで負荷をかけていれば安定感は抜群である。これはもうSUVという感じではない。車高の高いハイパフォーマンスカーだ。
動力を路面に最適に伝えるので、ハードなドライビングをしているにも関わらず、タイヤの傷みも少ない。
“G Plus Package”は走り出しからソフトな印象だ。S-Editionに比べて第1コーナでのロールは大きいが快適性は高い。
S-Editionよりも安定感は得られない。しかし、ブレーキング時のフロントの剛性感は高く、回生時の音なども従来型よりも静かになった。
そして、どちらのモデルもシートのホールド性が高いものに変更されているが、この効果は絶大である。横方向のホールド性は横揺れの疲れを軽減してくれるに違いない。
常にベストを尽くしたエンジニアの改良の効果は年々向上してきたが、今回の2019年モデルは今までとは違い、本質的な部分をより高性能にして安定性をかなり向上させた。
外見こそ従来型に似てるけれど、非なるパフォーマンスを公道でも体感したい。
【SPECIFICATIONS】※試乗車
■グレード:S-Edition、G Plus Package ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+モーター ■総排気量:2359cc
■最高出力:94(128)4500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:199(20.3)/4500[N・m(kgf・m)/rpm]
■モーター最高出力 前/後:60(82)/70(95) [kW(ps)]
■モーター最大トルク 前/後:137(14)/195(19.9)[N・m(kgf・m)]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:-
■全長x全幅x全高:4695 x 1800 x 1710(mm) ■ホイールベース:2670mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/45(L)
■JC08モード燃費:18.6(㎞/L)
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